「中丹文化会館への道」 ますだゆみ

ふぁんハウスは「夢と勇気と希望」を
柱とした作品を、27年間上演してきました。

私も演じながら、作品から勇気や希望を貰う事がありました。

そんなふぁんハウスの作品ですが、
今回ほど「夢」を貰えた瞬間を体感した事はありません。

思えば、2023年の初演時。
「せっかく演るのだから、物語の舞台となる綾部に行ってみない?」
というメンバーの一言から始まりました。
紅葉がとても美しい季節でした。

始めて降り立った綾部駅は山に囲まれ
穏やかな空気が流れる自然豊かな街で
知らないはずなのに、どこか懐かしく
スッと心が癒される、そんな素敵な場所でした。

街を散策しながらも
「きっと知世さんはこんな感じのスナックで歌っていたんだろうなぁ」とか
「田代主任と照代さんはこのスーパーで働いているのかも!」
なんて想像を膨らませた日々が懐かしいです。

そして演劇人あるある
「地元の劇場を見てみたい!」という好奇心から、
調べてみると、丁度その日に「中丹文化会館」という大きなホールで
入場無料のイベントが開催されるという情報をキャッチ!

「古典芸能へのお誘い」というその会は
日本舞踊や尺八、謡曲、仕舞などの伝統芸能に携る方々の発表会でした。
踊りをやっている私としては、尚更見てみたい催しです。

会館へはバスで行けるとわかり時間を調べたところ30分近く待つようでした。
地図で調べると歩いても30分位の距離だったので歩いて行く事に。

途中グンゼ記念館を見つけたり、
由良川を渡りながらてくてく歩いて行くと
何と、会館への最後の道は長い長い登り坂でした!

これはきついかもーと、思いつつも
気合いを入れて登り始めました
が、そのうち足は重たくなり、
乗るはずだったバスにも追い越され
ヘロヘロになりながら、ひたすら坂道を登り続けました。
すると、ようやく開けた先には
立派な「中丹文化会館」が立っていたのです。

受付の方に「拝見しても良いですか?」と
お尋ねすると「どうぞ、どうぞ」と、快くご案内頂き、
ドアを開けて中に入ってみると大きなステージに広い客席。
とても立派な劇場に感動し、
思わず「ここで、ふたりのゆめが上演できたらいいね~」と呟いたのでした。

それが・・・
まさか・・・
現実になるとは!

『夢は一度諦めても、捨てずに持ち続けていればいつか叶う』
これは私の座右の銘ですが、これほどまで大きな夢が叶うとは!

公演が決まってからの道のりはなかなか大変なものではありましたが
多くの方のご協力とご尽力と熱意のおかげで
私たちは今、この舞台に立つ事が出来るのだと、感謝の気持ちでいっぱいになります。

あの日、長い長い坂道を登った先に
「夢の叶う場所」が待っていたなんて!
いよいよ本番を控えた今、昂まる気持ちを抑えつつ
綾部の皆様に楽しんで頂けるお芝居を
心を込めてお届けしたいと思います。
「ふたりのゆめ 綾部公演」
間も無く開演致します!


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