「ああ人生に」 佐藤健治
今回から時々週替わり日記を担当させていただくことになりました、
劇伴メンバーの佐藤健治です。どうぞ宜しくお願いします。
暗い話になりますが、
何かにつけて僕の人生には視覚障害が重くのしかかってきます。
今回、縁あって劇団に所属することになりましたが、
劇伴担当という枠がなければ、
ネガティブな性格の僕は絶対にその選択をしませんでした。
舞台上で上手に動いて演じる自信がないからです。
自分にもできそうな音楽という枠ならば、
視覚障害のない人々と同じ土俵に立てるかもしれないと思ったのが
劇団に入ってみるきっかけでした。
でも更に以前の僕はもっとネガティブだったのです。
「目の見えない自分には映画やドラマや芝居の良さは分かるまい」
と思っていたのでした。
そんな気持ちをがらりと変えてくれるエピソードに出会うことができました。
初代水戸黄門を演じた東野英治郎さんと八兵衛役の高橋元太郎さんとの話です。
高橋さんは歌手から俳優に転身した方です。
そんな彼が自分のシーンの撮影を終えて休んでいると、
ベテラン俳優の東野さんが声を掛けました。
「君、いい演技をしていたね。」
高橋さんはとても驚きました。
撮影中、東野さんはその場にいなかったのですから。
「どうしてお分かりになるんですか?」
問いかけた高橋さんに東野さんが答えます。
「そんなのは声を聞けば分かるんだよ。」
この話を聞いて以来、僕は、
「役者さんの声を聞いて感動したならば、
それはお芝居の美しさを感じ取れたということなのだ。」
と思えるようになったのでした。
根暗な僕の人生に光明を与えてくれた様々な出会いについて、
今後もここに綴っていきたいと思っております。
どうぞ宜しくお願いします。


