Page18–「場当たり開始」
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団長の独り言 2024.7.19-3
7月19日(金)夜・「場当たり開始」
午後6時すぎ、ほぼスケジュール通り
「場当たり」がスタートした。
場当たりというのは、
完成した舞台セット、完成した照明、
完成した音響の中で、
舞台転換等、本番と同じ状況で、
全て上手く出来るのかどうか?や、
演出のイメージ通りのものになるか?等の
確認を行う、スタッフさんのための
「きっかけ稽古」の事を言う。
舞台監督さんは元より、
照明さんも音響さんも舞台転換スタッフも、
明るい稽古場で「暗くなるつもり~」
でやっていたのとは、
当たり前だけどまるで違う
本番の舞台での確認作業なわけで、
スタッフさん達の緊張感たるや
半端じゃない。
そんな中でも、
劇団ふぁんハウスの現場では、
舞台監督の高橋さんを中心に、
穏やかな雰囲気の中、場当たりが進む。
音響の野中君と高橋さんとの付き合いは
約20年くらいかな?
照明の大塚さんも、高橋舞台監督の下で
行うのが今回で4度目となり、
みなのチームワークは最高にいい。
皆さんは「ツー」と言えば「カー」
みたいな感じなので、全てが早くて的確!
いい雰囲気で、
場当たりは進んでいく。
ただ穏やかだけど、限られた時間内に
場当たりは終わらせねばならないわけで、
高橋さんは常に時計とにらめっこ。
しかし、そんな中でも
役者のわがままにもちゃんと応え、
様々な事案についても、
いつも冷静に対応している。
これがイライラ癖のある
舞台監督さんとかだったら、
「役者!早くしろぉ!」
「そんなことは自分で考えて!」
「あの!さっき言ったよね!」
「立ち位置、そこじゃないよね!」等、
結構きつい口調で言う人もいるし、
暗転時に役者が退場する際、
「くらーい!」とか、
「セットがみえませーん」とかの
「寝言」を役者が言おうものならば、
「暗転は暗いのが
当たり前だ!ばかやろ~」
と怒鳴られてしまう事もあるが、
でも高橋舞台監督は
勿論、そんなタイプではないし、
私の癖や性格も、
よぉーく把握して下さっているので、
それこそ私が「爆発」する前に、
先に先に動いてくれるので、
とっても感謝している。
でもね、だからと言って
役者陣は何でもかんでも、
やってもらうのを当たり前だと
思ってはいけない。
時間のない中、
「場当たり」は行われているわけで、
そこは理解しなきゃいけない。
そんなわけで、
「場当たり」はサクサク進んでいくが、
それでも演出的にどぉ~しても
「照明がイメージと違う」とか、
「効果音の入り方が違う」とか、
転換が上手くいかない箇所も、
当然ながらある。
そんな時は、
遠慮なくダメを出させていただくが、
各スタッフさんは、
「はい、分かりました」
との一言で、私の想いに応えようと、
ビシッと決めていってくれるのは
本当に頭の下がる思い。
「でも、しかし、だって」
を言う人は誰もいない。
その「場当たり」が、
高橋さん主導の下、始まった。
私は客席の一番後ろに演出席を設け、
「よしっ!」と気合を入れる。
最初は客席の明かりがちゃんとついていて、
「ボイス・エマノン」さんの
場内アナウンスが入り2ベルが鳴る→
演奏が始まる→場内が徐々に暗くなる→
舞台上に明かりが入る→芝居が始まる・・・
と幕開きは端折らずキチンと行う。
幕開きってのは、
作品の印象をお客様に伝える
重要なところなので、
場当たりの中で一番緊張する。
アマティアズとかぶちゃんの
ピアノとヴァイオリンが奏でる
「ゴンドラの唄」が静かに流れだすと、
ゆっくりと客席が暗くなっていき、
舞台上が黄昏色になった中に、
ゆみさん演じる「知世」が、
杖をつきながらゆっくりと入ってくる。
幕開きから、
照明と音楽のコラボがピタリとはまり、
出だしからなんともいえない
感情が湧いてきて、
もう泣きそう!素晴らしい!
幕開きシーンが終わり、
舞台上が暗くなると、
今度は激しい音楽と共に
元気に明るい場面へと変化したところで、
高橋さんが「はい、とめまーす」
と言って芝居を止めて、
問題があるかどうか?を各セクションに
確認をして、「問題なし」となれば、
「では次です」と照明さん、音響さんが
絡む次の場所へと進める。
「社長」演じる
見えないメンバーの竹本も、
共演者「岸本良美」演じる
あゆみちゃんとの息がぴったりで、
スタンバイするのも問題はない。
こうして前半は、特段問題もなく、
場当たりがサクサクと進んでいき、
午後9時、
この日の場当たりは終了する。
明日はいよいよ初日だ。
みな早朝からの作業で
ヘロヘロだけど、
なんだか目が輝いていた。


