Page23 -「感謝。上演できた奇跡」(鈴木千秋)

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団長の独り言 2021.08.08

「感謝。上演できた奇跡」 (鈴木千秋)

前回の赤坂公演に続き、コロナ禍、
緊急事態宣言下での公演となった
「ざ・クリーンキーパー 板橋公演」。

コロナ禍での公演は簡単ではありませんが、
お客様、関係者の皆様に、
感染症対策など様々な面でご理解ご協力いただき、
無事に開催することができました。

どんなに感染症対策を徹底していても、
いつどこで誰が感染してもおかしくない世の中で、
最後まで公演をやり遂げることができたのは
奇跡と言っても過言ではありません。

そのような時代に公演を行えたこと、
心より感謝申し上げます。

さて、その「ざ・クリーンキーパー 板橋公演」の
千秋楽を終え、カーテンコールでの挨拶のときに、
私は涙で言葉を詰まらせてしまいました。

アマティーのピアノ、美和ちゃんのフルート演奏に
合わせて皆がステップを踏み、
手拍子をしているところで、
私はマイクを持ってお客様に
ご挨拶をする役を仰せつかりました。

曲に合わせて挨拶をしている最中、
(客席を半数に減らしてはいますが)
満員のお客様のお顔が見え、
このような時期にこんなにたくさんの
お客様が足を運んで下さった事、
そして劇場内の温かい空気に思わずグッときて、
一瞬言葉が出なくなりました。

しばらく時間を置いて、
話を再開することができればいいのですが、
困ったことに、
私の話をする時間は限られています。

音楽に合わせて、
その尺の中で挨拶をする必要があるため、
上ずった涙声のまま、なんとか
「ありがとうございました!」と言って
お辞儀をし、お客様へ手を振りました。

マイクを持って挨拶をするときに、
涙で言葉が詰まったのは初めてのことで、
自分でもびっくりしました。

いい感じでカッコ良く終えたかったのですが、
なかなかうまくは決まりませんね(笑)。

そんな私ですが、
比較的うまくいったのが早着替えです。

「ざ・クリーンキーパー」では、
劇中何度かの場面転換がありました。

舞台前方の紗幕前が
「地下駐車場のトイレ」になったり、
緞帳幕の前が「夜の道」になったり…。

照明や音響などの効果、衣裳や役者の芝居で、
その場面が表現されるのも、
舞台の魅力の一つだと思います。

一方で舞台セットの配置を
大きく換えることもあります。

「ざ・クリーンキーパー」の大転換といえば、
一幕のメイン舞台・清掃員控室から、
二幕が始まると、一気に役員室へと
変わるところです。

一幕と二幕の間に10分間の休憩があったので、
その休憩の間に問題なく転換を済ませることが
できます。

役者もクリーンキーパーの制服から、
役員室に出入りする人の格好へと
変身しています!

一幕でもちょいちょい早替えがありましたが、
役者の工夫と技術と努力で、
お客様には違和感なく見ていただけたと思います。

さて二幕の始め、
ここで団長演じる坂本と、
鈴木演じる節子の早替えがあります。

幕開きは『梶山と良子』のシーンがあり、
次に『坂本と節子』のシーンがあります。
当初はこのシーンの順番は逆だったのですが、
急きょシーンの順番を、入れ替えることに
なりました。

これが決まったのが、
前回の赤坂公演での稽古も佳境に入った頃。

団長から
「シーンの順番を入れ替えようと思う
が出来る?」

という内容の連絡がありましたが、

ほんの数秒で着替える必要があるため、
どうかな?と思いましたが、
上手く出来そうなイメージが
すぐに浮かんだので、
挑戦してみますと返信をしました。

早速、その週の「通し稽古」でやってみると、
問題なくできる、という感触を得られました。

ただ一つでも
手順を間違えると間に合わないので、
残された稽古で、
他の出演者のみんなにも手伝ってもらいながら、
スピードも精度も上げることができました。

しかし!スーパー早替えが
うまくいったところで終了ではありません。

むしろここからが、
二幕の役員室(劇中劇)の始まりで、
クライマックスへ向けて、
集中すべき場面の連続ですので、
とにかくテンポ良く芝居することを意識しました。

そして二回目の大転換です。
静かに緞帳幕が下り、
アマティーのピアノソロステージで
盛り上がりを見せているその裏で、
役員室から清掃員控え室への大転換を行います。

舞台上はスタッフさんと、
着替えのない役者達で大忙し!

クリーンキーパー役の役者達も
衣裳の早着替え!

ほとんどの役者が一斉に着替えるので
舞台裏はとても慌ただしいです。

それでも全員が集中して、
無事に着替えを済ませ、
物語の世界へと向かいました。

今回のスーパー早替えも、
ふぁんハウスの舞台に立つ随分前から、
早替えの多い役などをやってきた経験や、
これまでの積み重ねが、
今に活きていると感じました。

さてさて、
次回の劇団ふぁんハウス作品は新作です!

出演が決まっている役者への
あて書きもあるようですが、
はてさて、どうなるのでしょうか? 

楽しみでもあり、
コワいような気持ちもあり、
稽古初日を今から心待ちにしています。

次回の劇団ふぁんハウス作品も、
心をこめてお届けいたします!

お楽しみにしていてくださいね。


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