Page3–「時間があるようでない。」

『団長の独り言』PDFファイル(A4サイズ)
↓ こちらからダウンロードできます。
団長の独り言 2025.01.26

1月26日(日)
「時間があるようでない。」

昨日の土曜日、前回お伝えした
「荒立ち稽古」のような本格的な立ち稽古で、
全てのシーンの動きを、一通り付ける事が
出来た。

しかしこれから稽古が進むにつれ、
ドンドンと芝居も動きも
変わって行くのは
間違いないんだけどね。

だからあくまでも基本ラインとして、
「こう動いてもらいたい!」
という役者達の道しるべ?的な
動きを付けたって感じで、

あとは
皆さんが役作りを行っていく上で、
稽古を重ねセリフも入り(覚え)、
「もっとこう動きたい!」
「身体がこう反応した!」

となれば、
そこは自由にやってもらい、
それが「基本的な動き」よりも自然で
面白ければオッケーなのであり、

何が何でも
「荒立ちでつけた動き通りに
動いてもらわにゃいかん!」
という事は全くない。

だからと言って、
無理やり「荒立ち」とは全く違う
動きをする必要もないわけで、
あくまでも荒立ち稽古で付けた
動きを元に稽古は進めて
行くつもりではある。

そんなわけで、
とりあえず芝居全体の動きを
付ける事が出来たので、
本日の稽古では、
物語の最初のシーンから
動きやセリフの言い方など、
細かく突っ込んで進めて行く予定。

午後5時30分、
いつものように稽古開始の
約30分くらい前に稽古場に到着。

部屋に顔を出せば、
来るべきメンバーはすでに全員来ている。
いいですねぇ~この皆さんの「やる気!」。

ただ

「みんな揃ったことだし
始めましょう」

っていうには、いくらなんでも
ちょっと早いので、自動販売機で
あったかーい
ココアを購入しようとしたら、
「豊昇龍!優勝ぉ~」と、
アナウンサーの叫ぶ声が耳に入ったので、
ロビー備え付けのテレビに目をやると、
気合の入った豊昇龍の顔と
「豊昇龍!優勝」のテロップ!!
「しまったぁ~」と思わずつぶやく私。

私は大相撲の熱狂的なファンって
わけじゃないけれど、なんだかんだで、
毎場所「ここぞ!」という取り組みは
リアルタイムで観ているし、

観られない場合でも、
気になる取り組みは、
NHKプラスというネット配信で
観ているので、
誰が優勝争いをしているのか
くらいは把握していて、
自分が応援する力士の活躍も
楽しみにしている。
(今回は豊昇龍を応援していた!)

そんな
「プチ相撲ファン」の私なので、
今日が千穐楽ってのは当然知っていたし、
金峰山が二敗で頭一つリードして、
今日勝てば「初優勝」って事も、
豊昇龍にもまだ優勝の目があり、
優勝すれば「横綱」になるやもしれない
大事な取り組みがあるのも
勿論!承知していたから、
千穐楽はとても楽しみにしていた。

あ~それなのにそれなのに!
車に乘りこむなり、
「稽古どう進めるか?」等、
頭の中は芝居の事でいっぱいになり、
稽古の事や芝居の事をずっと考えながら、
車を走らせる事、約50分、
稽古場に到着。

この移動時間に、
ラジオで相撲中継を聴く事が出来たのに、
完全に相撲の事なんて忘れてしまっていて、
それでいきなり「豊昇龍・優勝」という
結果を観てしまったでしょ?
そりゃ~ショックですよ。

あのね、結果さえわかれば
いいってものじゃないんです。

優勝がかかった取り組みに
向かうまでの力士の表情の変化とか、
気合とか、相手との駆け引きとか、
今回ならば「三つ巴戦」にも
なる可能性があるわけだし、
彼らが背負っている
バックボーンを考えつつ、
筋書のないドラマを楽しみに
していたんですよねぇ。

百歩譲って?
どうせ観るのを忘れていたのならば、
徹底的に忘れたまま家に帰って、
「今日の千穐楽、どうなったかな?」
って思い出し、勝敗の分からない状態で
NHKプラスを観た方がよほどか良かった!

あっ!でもダメだわ。
メンバーの小路さんが稽古場に来るなり、
「豊昇龍優勝しましたね!」
「これで横綱間違いなしですね!」
って、無邪気に言ってきたから、
遅かれ早かれ「結果のみ」を
知ってしまう事になっていた。

私は結果は知ってしまっていたので、
小路さんが語る「相撲話」には
「余裕」で答える事は出来たけど、
家に帰ってから、
じっくりNHKプラスを観て、
「千穐楽」を楽しもうって思っていたら、
小路さんの笑顔を素直に受け入れる事なく、
平常心で彼の「相撲話」にお付き合いする事は
出来なかったよなぁ~(笑)。

そんな事がありながらでも、
稽古開始の時刻となったので、
頭を切り替えて、
全神経を「夏の夜空へ」に注ぐ。

早いもので稽古を始めてから
5回目となる本日の稽古では、
ほとんどの役者陣は
セリフを入れて(覚えて)来ている。

先程も描いたけれど、動きの基本ラインは
みな把握しているので、
まずはお好きにやってもらうと・・・
「全然だめ」。

テンポが悪すぎ。
意味不明な動きをする役者が多い。

そんな事を思いつつも、
私自身、約20年前の初演、
12年ほど前に再演での成功例を、
知らず知らずのうちに追い求めている節も
あるにはあったので、
本番までお見せ出来ない小道具や衣裳もあるのですが、
まずは私自身が、過去の「夏の夜空へ」に
とらわれるのを辞めて、
新作に向き合う気持ちで、
みなの芝居を何も言わずに観ていると、
新なる発見が結構あり、

今更ながら同じ脚本でも、
「役者が代われば、芝居も変わる」
ってのを実感する。

しかし、
いずれにしても今の状態では、
とてもではないが初演、
再演を超える事は厳しい。

時間が
あるようでないという自覚を持ち、
ガムシャラになり、劇団史上最高の
「夏の夜空へ」を創ろうと思うので
ありました。


共有: