Page2–「進化していく『夏よぞ』」
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団長の独り言 2025.11.02
11月2日(日)
「進化していく『夏よぞ』」
先週の2日間、全員が座ったまま芝居を行う
「読み合わせ」という稽古を行った。
「読み合わせ」を行っただけで、
「こういう芝居が得意なんだな」とか、
「こりゃ~参ったなぁ・・」
なんてのもすぐに表れるもで、
その人の実力やセンスなんかも大体は把握出来る。
だから最初の読み合わせって、
とってもかなり緊張するものでして、
期待と不安の入り混じる緊張感の中、
座組で初めての「読み合わせ」を
先週2回に渡って行ったら、
結果はワクワクせずにはいられないほどの
ハイレベルなものだった。
「こりゃ~いつまでも
読み合わせを行うのももどかしい」
と思い、
今週の稽古では早々に立ち稽古を行う。
ただ立ち稽古初日だというのに、
よりによって昨日はいつもの部屋よりも
かなり狭い部屋。
設立したばかりの27年前は、
こちらの部屋でも十分広く感じたけど。
まぁ~でも稽古場があるというのは、
大変ありがたいもの。
狭いながらもそれなりに工夫を凝らし、
「3人掛けソファー」
「1人掛けソファー」
「テーブル」「丸椅子」
等の代用品として、備品であるパイプ椅子を
あちらこちらに並べ、「旅館希望の星」
のカウンターは、「長テーブル」を用いての
立ち稽古となる。
キャストの大半は、
4月に「夏の夜空へ・板橋公演」を
経験しているので、
「パイプ椅子が並んだだけ」
の仮・セットでも、
なんとなくイメージ出来るかもしれないが、
「夏の夜空へ」は初めてとなる
「乾物屋の田端さん」役の溝口さん(溝口敬居子)、
「旅館の一人娘・蛍」役のふみかちゃん(中村ふみか)、
「警視庁刑事・長尾敦夫」「旅行会社勤務の晃さん」、
「旅館の常連客・平仲さん」の3役を演じる
櫻井君(櫻井太郎)達にとっては、
いまいちセットの具合など
は把握出来ないと思ったので、
昨日の立ち稽古初日では、
「田端さん」「蛍ちゃん」の動きをメインに、
各シーンごとに動きを確認する
「荒立ち」という稽古を行った。
2人とも、狭い部屋にただパイプ椅子が
あっちゃこっちゃに置かれている
カオスな状態であるにも関わらず、
勘の良さとセンスの良さを発揮して、
共演者の動きに合わせ、
この空間を自由自在に使って
演じてくれるので、
芝居自体はポンポンと進んでいったけれど、
今回の上演予定の「麻布区民センター」と、
前回の「板橋区立文化会館」とでは、
舞台の大きさや創りが
まるで違うという事から、
動きに関しての問題点が次々と出てきた。
「板橋で出来た芝居が麻布では難しい!」
その都度芝居を止めては、
役者の位置関係や、出ハケ(登・退場)の
方法等を麻布バージョンに変更していくという
作業にかなりの時間を割く。
その中でも
特に難儀だったのが舞台下手での出ハケに絡む芝居。
麻布区民センターのステージというのは、
間口を一杯に使うとなると、
折り畳み式のプロせミアムを
収納しなきゃいけないわけで、
そのプロせミアムを収納してしまうと
舞台袖に巨大な壁が出来る
構造になっていて、
「下手」の出ハケがかなり制限されてしまう。
しかも板橋の劇場では、
上手・下手にある花道を使っての
シーンもふんだんに取り入れていたのだが、
麻布には当然ながら花道はないうえに、
舞台面から伸びた仮設ステージ(張り出し舞台)も、
特殊の演出には効果的に使えるだろうが、
平野作品ではやっかいな創りとなっている。
だから板橋と同じ動きってわけにはいかず、
何から何まで動きや芝居を
大幅に変更しなきゃいけないという状況なのだ。
あとは緞帳幕!板橋区立文化会館では、
フルにセットを組んでも
緞帳幕が使える奥行があったので、
1幕が終わると一旦緞帳幕を下ろし、
その間に舞台上で大転換を施す事が出来たのだが、
今回は、プロせミアムを
折りたたんだ事で緞帳幕すらも使えない。
「緞帳幕のない状態で、
休憩中、場面を大転換するには?」
という問題にもぶち当たったけれど、
そこも堀越先輩(堀越健次)のアドバイスによる
「なるほど!」という逆転の発想的で、
緞帳幕なし状態での
休憩中の場面転換も行う事にした。
知恵と工夫で、私のような昔ながらの、
いわゆる「お芝居」を創るものにとっても、
なんとかなるのが演劇というもの。
シーンごとに動きや芝居を変更し、
この日は、パイプ椅子が乱雑に
並ぶ狭い稽古場の部屋で
イマジネーションを膨らませ、
その都度ある程度の動き決めて、
「蛍ちゃん」「田端さん」のシーンを固めていく。
翌・日曜日、
今日は、「いつもの広い部屋」の予約が取れたので、
本番とほぼ同じ距離感を再現した稽古場に、
倉庫から持ってきた
仮設・テーブルと丸椅子をセットすると、
それだけでかなり雰囲気が変わり、
いい環境の中、
順を追って「蛍」「田端」の動きを中心とした
立ち稽古も順調に進み、
いよいよクライマックスシーンへと
突入したその時、感情が昂った
「蛍」演じるふみかちゃんの目から大粒の涙が!
立ち稽古2日目の
「荒立ち」段階でのこの集中力!
彼女は、それだけ「蛍」を
好きになってくれたんだろう。
脚本を描いた私としては、嬉しい限り。
一方の溝口さんも本領発揮!
特段指示をしたわけでもないのに、
稽古場が広くなった事により、
水を得た魚の如く自由に動き回り、
溝口敬居子の「田端」を
ガンガン見せてくれるので、
その変化に新たなる演出も加わる。
こうして、まだ荒立ちの段階だったのに、
「夏の夜空へ」は新たなる進化をしている。
こりゃ~益々、期待が持てるなぁ~と、
次回の稽古も楽しみな団長でした。


