Page5 –「殺陣と踊りと歌と・・・」
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団長の独り言 2022.06.19
6月19日(日)「殺陣と踊りと歌と・・・」
今、稽古を行っている
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」
という作品は、
山深い、ひなびた温泉街の片隅にある
小さな芝居小屋のお話。
「芝居小屋」というのは
ようは劇場の事なんだけど、
私が今回イメージする「芝居小屋」は、
木造でもコンクリートでもいいのだが、
豪華絢爛とは程遠い、古くてぼろくて
薄暗い雰囲気の建物で、
入口付近には色褪せた看板が掲げられ、
破れかけたのぼりが十数本はためいている。
観客は
100人も入れば満員になるようなところ。
そこに、
人生の重みと渋みを感じさせる
超マイナーなエンターテイナー達が集まって、
華やかだけど物悲しいショーや、
人情時代劇を行っている。
それでもちゃんとファンがついていて、
湯治に来た宿泊客がふらりと立ち寄ると、
なぜか必ず魅了される
不思議な場所ってところかな?
そもそも「芝居小屋」という言葉の語源は、
江戸時代に歌舞伎を行う場所を
「芝居小屋」って呼んでいた
そうなんだけど、
百数十年経ち、歌舞伎座は「芝居小屋」
という雰囲気じゃなくなり、
その他の「小屋」と呼ばれる劇場も、
どんどん立派になっていった。
しかし舞台関係者達は、
今でも大劇場だろうが近代的な装置を備えた
未来志向の立派なホールであろうが、
劇場の事を「小屋」と呼んでいる人が
圧倒的に多いのは、
スタッフと呼ばれる「職人さん」が、
日本の芝居文化を継承しているから
なんだろうねぇ。
そんな世界、私は好きなんです。
(日本武道館の事も
小屋って、呼んでいるかもなぁ・・・
今度舞台監督さんに聞いてみよう。)
ちなみに私も劇団内では、
劇場の事は「小屋」って普通に使っていて、
特にスタッフさんと打ち合わせ等で
話をするときも、「小屋」って言葉が自然と出る。
例えば、稽古場でずーっと稽古を行ってきて、
いよいよ劇場に乗り込むという日の事を
「小屋入り」って言うし、
「ここは〇〇があるので、
舞台セットが組みやすくていい小屋だね。」
とかね。
しかし、劇場の事を「小屋」と呼ぶのは、
あくまでも「舞台のプロ達」だけ。
だから私は、
演劇関係者以外の方と劇場の話をする際、
「小屋」って言葉は使わないように心掛けている。
ほら、どこでもかしこでも「小屋」なんて言うと、
カッコつけて演劇人ぶっているようで、
なんか嫌味な感じがするからねぇ・・・。
あっ!
ちょっと話が脱線したので戻しますが、
えーその2月に行う公演
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」は、
まさに「芝居小屋」の楽屋で繰り広げられる
笑いと涙と夢がいっぱい詰まったお話なんだけど、
「芝居小屋」の話なので、
当然ながら歌あり、日本舞踊にダンスに、
漫談、そして派手な殺陣の立ち回りのある
エンターテイメント満載の作品なんです。
日本舞踊に関しては、由緒ある流派の
名取さんでもあるメンバーがいるので、
自信を持ってお客様に御覧いただけるのだが、
ダンスや歌に関しては、一般の人よりも
そこそこ「出来る」メンバーはいるけれど、
ほとんどがそうじゃないメンバー達。
それでも歌って踊るシーンはあるし、
また殺陣の激しい立ち回りもあるが、
殺陣の経験者は私だけ・・・・。
その私も、そりゃーねその昔、
殺陣の基礎をキチンと学び、
その後、大劇場や映画、テレビの時代劇の現場で
竹光の刀を振り回し、大物の俳優さん達から、
数えきれないくらい
切られまくった経験はあるのだが、
それは、20代から30代前半までの話だし、
そもそも木刀や竹光を握るのも、
20年前に劇団ふぁんハウスで行った
「人生芸夢」の時以来・・・。
だからね、
今回「人生芸夢〜夢のとおり道〜」を行うと決めた時、
「立ち回り、出来るかなぁ・・・」
って事が最初に脳裏をよぎった。
20年前の「人生芸夢〜夢のとおり道〜」には、
殺陣の大立ち回りがあった。
あの時もみんなで訓練して、
私が芯となり、メンバー達をバッタバッタと切り倒し、
客席から大きな拍手を頂戴したのだが、
その時は私も若かくて、動きもシャープだったし、
最後に剣を交える相手は剣道有段者で、
剣裁きに関しては素人よりも全然出来たので、
迫力のある立ち回りを行う事が出来たけれど、
今年私は60歳・・・
剣を握るのも20数年ぶり・・・
出演者達も、初心者ばかりで、
唯一の剣道経験者も、小学生の頃習っていたレベル。
大丈夫かなぁ?と思うけれど、
「チャレンジ精神を無くして進歩向上はない!」、
今は便利な事に「殺陣」ってネット検索すれば、
たーくさんの動画が出てくるので、
動画を参考に日々イメージトレーニングを行い、
その成果を稽古でみなと共有しつつ、
「はぁーはぁーぜーぜー」
言いながら、基礎訓練を徹底的に行い、
殺陣の稽古は4回目となる本日、
まずは1対1、次に1対2と、
対戦相手を増やしていって、
最終的に4人を相手する
立ち回りを行ってみたら、
「やる気」のあるメンバー達も
なんとなく様になってきて、
この私も思ったよりも、
かなりスピーディーに身体が反応し、
いい感じの立ち回りが出来た。
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」は、
殺陣のシーンをカットすると物語が進まないので、
どうしても無理ならば、殺陣軍団の専門のチームの方々に、
「絡み」を依頼しようかとも考えたけれど、
今日皆さんの動きを見せてもらったら、
出来る人にはそれなりの手をつけて、
苦手な人にもそれなりの手をつければ、
なんとかなるかも?という光が、
すこーし見えた気がしてきた。
だからと言って無茶は禁物。
無茶の出来る年齢じゃないメンバー達が
大多数なのだし、
ここは無茶せず、
でも「本物」を目指し、
歌に踊りに、そして殺陣に!
日々努力をして稽古に精進し、
ちゃんとしたエンターテイメントを
皆様にお届けいたしますので、
どうぞご期待くださいね。


