Page14–「また出た土曜日病」
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団長の独り言 2024.7.6
7月6日(土)
「また出た土曜日病」
7月に入った。
本番まで3週間、稽古回数が
あと5回となった土曜日。
稽古場には、
舞台監督の高橋哲彦さん、
音響の野中正行さん、
照明の大塚栞さん、
舞台美術の三井優子さん、
舞台スタッフの木村舞子さん、
そして音声ガイドの
平野美鶴さんという、
スタッフさんが大集結した。
普段、演出席には
私一人がポツンと座っているけれど、
今日は就職試験の面接官が
ズラズラァ~と座っているかの如く、
皆さんが正面に並んで座り、
それはそれは結構な迫力だ。
私が絶対的な信頼を寄せている
気心の知れたスタッフさん達なので、
こうして稽古場に登場してくれるのは、
なんとも嬉しい限り。
それにしても、
スタッフさんが一斉に集合すると、
さすがに稽古場の雰囲気は、
いつもと全然違う。
このピリッとした緊張感の中、
数か月間、
懸命になって稽古してきた成果を、
全スタッフの皆さんに初披露すべく、
本番どおりの衣裳を身に纏った役者達は、
通し稽古を開始すると…
まいったなぁ~
最初の「有料老人ホーム」のシーンから
全体的にテンポが悪い。
一人がセリフを言うのに
ヘンテコな間をとってしまうと、
そのヘンテコな間が伝染し、
芝居全体に勢いを付けなきゃいけない
シーン1からすでに崩れ出し、
またそれに出演者が気づかないものだから、
ドンドン間延びした芝居を繰り広げ、
面白くもなんともなくて、
睡魔も襲ってくるし・・・。
はぁ~・・・と私は頭を抱える。
折角、
全スタッフさんがお越しなのだから、
ちょっとはカッコいいところを
観せて欲しかったのにねぇ。
はいはい出ました、劇団ふぁんハウス名物、
「土曜日病」ってところ。
「土曜日病」というのは、
土日2日間の昼夜稽古で、
「これでもかぁ!」と稽古を行い、
テンポも芝居もいい感じで整い、
「よっしゃ!!」
って自信が付いたところで、
日曜日の稽古を終え、
それから月、火、水、木、金・・・と、
稽古のない期間が続き、
久々の稽古となる土曜日、
自信たっぷりに、
まず「通し稽古」を行うと、
「なんじゃ?これは?
先週の稽古はなんだったんだぁ?」
という、
ひどい芝居を披露してしまう現象の事。
テンポのいい芝居が
出来ないわけじゃないんだよね。
だって先週の昼夜稽古で、
かなりいい感じになったんだから。
それなのに、今日の通し稽古で
「なにやっとんねん!」
の芝居になってしまうというのは、
芝居への油断とおごりなんだと思う。
これが、毎日稽古をやっているとか、
土、日のみの稽古だとしても、
久々の稽古となる土曜日には、
まずは「おさらい稽古」を
1時間くらいみっちりやって、
エンジンがかかったところで、
「通し稽古」を開始したならば、
恐らく「土曜日病」もさほど出ずに、
全然違った「通し稽古」に
なるっているのかもしれない。
ただねぇ・・・毎日稽古を行うとなると、
ただでさえ、
平日に自主稽古の声が上がっても
誰も彼も忙しくて集まらない状況なのに、
本稽古を平日に行うなんてのは、
出来るはずもなく、
土曜日の「通し稽古」の前に、
エンジンがかかるための
抜き稽古を1時間も行うってのも、
この時期ともなると、
それは時間の無駄の何者でもない。
だからこそ、稽古を行わない日常は、
個々の意識が重要になってくるのだが、
皆さんは危機感がなさすぎるように思う。
どこかで
芝居を舐めているとしか思えないから
「土曜日病」が現れる。
例えばこれが、
常に「役を降ろされるかも!?」、
「セリフを他の役者に取られるかも!?」
等の緊張感と恐怖?に
満ち溢れた環境下での稽古であれば、
もしかしたら「土曜日病」も
起こらないのかもしれないけどね・・・。
ただなぁ~
劇団ふぁんハウスを、
そんな「何様劇団」にしようとは、
思わないんのですよねぇ。
私の今の演出スタイルとしては、
どうやったら、役者の個性や
魅力を最大限引き出せるのか?
どうやったら、
私の意図する事を理解してくれるのか?
って事をいつも考え、
時に稽古場自体を
エンターテイメントな空間にして、
みんなが「興味」を持って芝居に
取り組んでくれるような雰囲気創りに
神経を使っている。
な~んて、なんか知らんけど、
いい人ぶった「おっさん」になっているが、
15年以上前までの劇団ふぁんハウスでは、
何度言っても出来ない役者は、
容赦なくキャストをガンガン代えたし、
セリフもガンガンカットしたし、
稽古場でも劇場でも、
しょっちゅう
私の怒鳴り声が響いていた。
だから当時劇団ふぁんハウスに
在籍していたメンバーがこれを読んだら、
「団長、どうしちゃったの?」
ってきっと思うはず。
しかし月日は流れ去り、
私も還暦を過ぎ大人になり、
そんな「何様」的な稽古はなくなった。
そりゃ~
時には個々の役者の技量に応じて、
厳しいダメを出す事もあるけれど、
それでも基本的に、真剣だけど、
楽しい稽古になっているはず。
しかし、その「楽しい稽古」ってのが、
個々の油断を招いているのも事実。
「上手く行ったからって油断していないか?」
「いっぱしの役者になったと
勘違いしていないか?」
自分自身に問いてもらいたいなぁ。
それは何度も言うようだけど、
全ては期待して下さっている
お客様に楽しんでいただける
お芝居をお届けしたいから。
しんどいとか、忙しいとか、
用事がどうのこうの・・・
個々の事情もあるでしょうけれど、
稽古回数はあと僅か・・・。
悔いが残らないように、
本気で「一生懸命」出来ればいいですね。
(ちなみに、次回、第46公演
「夏の夜空へ」のテーマは
「一生懸命」です。)


