Page17–「仕込み」

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団長の独り言 2024.7.19-2

7月19日(金) 「仕込み」

毎度の事だけど、仕込みの時って、
私は完全にフリー状態。
そんな私だが、26年前の設立時から
10年間くらいまでは、
仕込みの時は大道具さんとなり、
トンテンカンやりつつの、
受付周りのチェックやら
あれやらこれやら・・・

昼ご飯休憩もなく、
朝から午後までの道具の建て込みを行い、
そして照明さんのシュート時も、
私は何やかんややっていて、
夜の場当たりでは怒鳴りながら
イライラし・・・

とにかく仕込みの日は、昼も夜も
休憩なしなんて事はしょっちゅうで、
激しく準備作業を行っていた。

それが今や私の心は穏やかで、
本当にほぼ何もやる事がない。

何故か?それは
「何をやればいですかぁ?」とか、
「何かやる事ありますかぁ?」
なんて事を言う人が、
劇場の中には誰もいないから。

要するに各セクションのリーダーが
的確な指示を出しているのと、
それぞれ作業を行うメンバーが、
何をやらねばならないのか?
キチンと把握して
自主的に動いているので、
その結果、私はどのセクションにも
属す必要がないからなんだけどね。

まぁ~でもね、
舞台監督の高橋さんの
存在は大きいよね。

彼が劇団ふぁんハウスに
来てくれてからは、
ホントに私は楽になった。

機転が利いて仕事も早く、
「監督」なんだけど偉ぶらず、
威圧的な態度もとらず、
イライラをぶつける事もなく、
常に沈着冷静。

どんなに忙しくても、
急なお願いをしても
快く引き受けてくれる。

高橋さんが
舞台監督をして下さっているから、
劇団ふぁんハウスの公演が成功する!
と言っても過言じゃない。

だから舞台面は、高橋さんに完全に
お任せしておけばいいわけで、
私が横からつべこべ言うと、
かえって邪魔をする事にもなるので、
今では私、
ガチ袋すら持って来なくなった。

お任せしているのは
舞台面の仕込みに限らず、
全ての作業でも、劇団メンバー達に
完全にお任せしているんだけどね。

ただ、それでも
皆の目が向かないところもあるので、
現場の作業状況を見てまわっている私は、

「その作業が終わったら、
ピアノの足を組み立てをお願いします」
とか、
「音声ガイドブースを頼みますねぇ。」
等々の指示を出す事もある。

その舞台面での作業だが、
すごくゆったりと進んでいるようだけど、
高橋さんは常に時間を見ていて、
タイムスケジュール通りに
事が進んでいるんですねぇ。

勿論、「休憩」時間もちゃんと
確保しての事だからね。
これはホントすごいよねぇ。

お昼くらいかな?スケジュール通り、
舞台セットが建ちあがると、
ここからよくやく私の出番!

「団長、机の位置や、
役者の立ち位置の確認をお願いします」

との声が高橋さんからかかるので、
「よっしゃ!」とばかりに、
張り切り始める私・・・。

客席の後ろに行ったり、
舞台上に上がったりしながら、
「テーブル、もうちょい上手!」
「椅子を引いたら後ろって、人通れる?」等、

芝居に影響する事なく、
尚且つ客席のどの位置からでも、
お芝居がちゃんと見えるような
道具類の位置を決めていき、
決定すると、
高橋さんがテープで印を付けて行く。
(バミる・・という。)

今回の芝居の転換時では(も)、
スタッフが暗闇の中、
テーブルや椅子を設置するので、
暗くなると光る「蓄光テープ」を
床に張り付ける作業も、
全て高橋さんがやってくれる。

そんなこんなで舞台面が仕上がると、
ここからは照明さんに
舞台をお渡しして、シュート作業の始まり。

「シュート」とは、
照明さんが数時間掛けて細かく丁寧に
「照明の色合わせ」作業を行う事で、
シュートが始まれば、
基本的に舞台上での他の作業は
出来ないので、
誰もいない静まり返った舞台セットには、
明かりが点いたり消えたり・・・
突然真っ暗になったかと思えば、
まばゆいばかりの明かりが
舞台上に広がり、色取り取りの
幻想的な世界が繰り広げられる。

私はこのシュートを
客席から眺めるのが結構好き。

早朝から大汗を流し、
ワサワサと動き回っていた心と身体が、
静かに変化する色取り取りの
照明を眺めていると心が落ち着き、
これから始まる「場当たり」に向けての
心の準備なんかも出来るんですねぇ。

ただ今回は、
そのシュートの時間を利用して、
芸能事務所・マネージャー岸本が登場する
シーンで芝居を変更した箇所のチェックを
行わねばならないので、
「光の祭典」を眺めている場合じゃない。

私とあゆみちゃんとゆみさんはロビーにて、
動きの確認作業を行った。

ここのシーン、
通し稽古を撮影したビデオを観ていて、
なんともシックリこなかったのだが、
劇場入りの数日前、フッと
アイディアが浮かんだのだ。

「そうだ!芝居の始まりは
(あゆみちゃん演じる)キッシーが、
電話しているところから
始めればメリハリがつくか!」

早速、ふたりの役者に電話をして、
変更する動きとセリフのみ伝え、
あとはシュートの間に
芝居を固めようという事にしていた。

難しい変更ではないので、
あゆみちゃんは
難なくこなしてくれたけれど、
ゆみさん演じる「知世」との
動きを合わせなきゃいけないので、
何度となく繰り返し、
芝居が固まったところで楽屋に戻り、
来るべき「場当たり」に備えるのでした。


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