Page22 -「稽古や公演を振り返って・・・」(小山 恵子)

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団長の独り言 2021.07.31

「稽古や公演を振り返って・・・」 (小山 恵子)

「団長の独り言」をご愛読のみなさま
こんにちは。小山恵子です。

お蔭さまで第39回
「ざ・クリーンキーパー板橋公演」は、
今回も大成功を収めることができました。
公演関係者のみなさま、そして大変な状況の中、
観劇にお越しいただいたお客様、
誠にありがとうございました。
心より感謝申し上げます。

この「ざ・クリーンキーパー」に
出演させていただいたのは、
2010年7月ちょうど11年前です。

今つくづく感じる事は、
本当に良い作品というのは
どんなに年月が経とうとも
決して色褪せることなく、
言葉のひとつひとつが深く人の心に届き、
共有している状態を
生み出してくれるということです。

この作品の良さが、ちゃんとお客様に
伝わるのだろうかと思うと・・・
私じゃなく、演技の上手な役者が演じる方が
いいに決まっている、
劇団ふぁんハウス23年の歴史を考えると
プレッシャーがどんどん強くなり、
不安になることばかりでした・・・

そんなある日、
稽古中に同じユニフォームを着て
動き回っている
役者(クリーンキーパー)達を見ていたら、
みんなで一緒に作っていく、
だから自分なりに一生懸命にやるだけ!
という気持ちに切り替えることができました。

作品の良さを伝える為には
脚本の言葉をきちんと丁寧に発声する。
それを心掛けるようにして、
いつも通り、稽古通りと言い聞かせていると、
上手く演じるという気持ちから解放され、
少しだけ楽になった気がしました。

ふぁんハウスで、
長い間演劇活動を続けているにも関わらず、
その時々で、
まるで初めて舞台に立つように
心配ごとが出てきます。

それは、頂いた役やその時の生活環境、
体調によって変ってきます。

当たり前の事ですが、
稽古には生活や感情を持ち込まないように
しています。

時間ギリギリまで家の事をして、
稽古するのを避けるために、
早めに稽古場へ向かうようにしています。

その方が独りきりの時間も持てますし、
切り替える時間にもなります。

でも今回初めて稽古に集中出来て
いなかったと思う事がありました。
それが一番の反省点です。

セリフが出てこないは、
噛みまくるはで散々でした。

もう一人の自分が、落ち着いてと
言い聞かせているのに全然駄目で・・・

こんなこと初めてなので怖くなりました。

後で思い当たることを考えると、
本番1ヶ月前くらいから忙しくなり、
生活パターンが変化し、
定期的に続けていた運動が
出来なくなりました。

その結果、運動不足で
稽古中に足を痛めて湿布をしていました。

そして家事、主に掃除が疎かになり、
散らかる原因になっていることから、
使ったものを元に戻さない子供に
きつく叱り、クリーンキーパー役なのに
部屋が汚いなんて・・・
ちゃんと役作りが出来てないからだと考えると、
なおさら情けなくなりイライラばかり。

劇団の仕事、家事、仕事でキツキツに
気持ちに余裕がなくなっていたようです。

「三足の草鞋」でずっとやってきたのに、
こんな事は初めてでしたが、
思えば劇団活動を始めてから
十何年も経っているので、
体力もそれなりに衰えているのでしょう。

そしてコロナ感染のこともあり、
神奈川の実家にもずっと帰れず、
何処にも出かけない中、
自分なりに気分転換が出来ていなかった事も
あると思いました。

これからも劇団活動を続けて行くうえで、
色々な困難が待ち受けているかもしれませんが、
決して諦めることなく、
自分なりに今出来る事を精一杯に取り組んで、
真面目にコツコツと進んでいきたいと思います。

今、団長が新作を執筆中です。
ストーリーや「夢」「希望」「勇気」のテーマ、
お客様に喜でんいただくのはもちろんのこと、
出演者一人一人のセリフの量や見せ場を考え、
申し訳ないくらいに細やかな気をとことん遣い、
言葉と格闘しながら書いてくださっています。
こんなに思いやりの詰まった脚本はどこにもありません。

とても贅沢です!
私の役者としての活動は、
ふぁんハウスで団長が書く脚本に
百パーセント助けられています。

ですから魂である言葉を
正確にきちんと伝える為にも、
基礎である発声や滑舌の訓練はしっかりと
ずっと続けていきます!


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