Page14–「劇場でお待ちしております。」

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団長の独り言 2025.04.13

4月13日(日)
「劇場でお待ちしております。」

劇場入りを控えた最後の土日も、
13時~21時30分まで稽古を行う。

まず昨日の土曜日、私は仕事のため、
稽古場到着は18時を確実過ぎるのは
予測出来たので、私のいない
昼間は徹底的に1幕をやって、

夜は舞台監督の高橋さんが
お見えになるので、18時開始で
「通し」を行うように指示はしておいた。

平野カー満載の道具類に関しては、
美鶴さん(平野美鶴)に
稽古場まで乗って来てもらい、
道具類を降ろしたあと、
稽古場におきっぱなしにするのではなく、
池袋の駐車場まで移動して、
そこに停めてもらう。

仕事を終えた私が、
電車で稽古場に向かうと、
歩いたり電車を乗り継いだりだと
30分くらいは余裕でかかる。

しかし車で向かうとなれば、
10分~15分で稽古場に着くので、
仕事を終え、
一刻も早く稽古場に駆けつけるには
池袋に車があったほうが
絶対にいいということで、
美鶴さんには苦労を掛けた。

仕事を終えて稽古場に到着したのは、
18時30分。

そろーりと扉を開けると、
私演じる「木島」の登場する
1つ前のシーンがちょうど終わるところ。

「間に合った!」

舞台監督がお越しなのだから、
絶対に「通し稽古」に間に合わせたかったので、
計算通りに間に合ってホッとする。

芝居が始まってから
ちょうど30分後に木島が登場するので、
通し開始時間を
18時に設定したのは大正解!

到着してすぐ、私は「木島」になり、
昼間、皆さんがどれほどの
稽古をしたのか?
その成果を演じながら観させてもらう。

テンポはいい!
ただテンポを重視し過ぎて、
みんな怒鳴った感じで
セリフを言っている。

テンポを出すために
勢いを付けているのだろうが、
怒鳴りすぎて、何を言っているのか
分からないシーンがちょくちょくあり、
まぁ~それでも
「えー」「あー」「うー」という
変な間がないのは何より。

通し稽古を無事終えて、その後抜き稽古を行い、
私にとっての超ハードな1日が終わり、
家に帰り、食事をしてソファーに横になると
そのまま意識を失ってしまい、
気が付けばおお!朝だ!

迎えた本日、「最終通し稽古」となる。
これまで稽古をしてきた
集大成となるのが「最終通し稽古」。
いつも以上にピリピリした
空気が稽古場全体を包み込んでいる。

しかも今日はいつにも増して、
稽古場には関係者が詰めかけている。

新聞の取材の記者の方、
平野美岐、
そしてお久しぶりの小山恵子。

取材というのは、
いつもお世話になっている
朝日新聞ASA板橋加賀十条が発行している
コミュニティー新聞が、
この度劇団ふぁんハウス特集を
して下さるとの事で、
川崎所長のご配慮により、
記者の方がお越しになられた。

美岐は本番を観る事が出来ないので、
せめて通し稽古だけでも観たい!
という事でやって来てくれて、

恵ちゃん(小山恵子)は、急きょ
音声ガイド操作をしてくれる事となり、
数年ぶりに
劇団ふぁんハウスの稽古場に
来てくれたのだ。

二人とも18年前の
初演「夏の夜空へ」に出演しており、
美岐は、初日に弟の恒士郎と
ダブルキャストで「元気君」役を演じ、
楽日は尾崎君とのダブルキャストで
「ひろみ」を演じるという、
二役を見事にこなしてくれた。

一方の恵ちゃんは18年前の初演に続き、
13年前の再演、12年前の再再演でも、
「智代」役を好演した。

だから二人にとっても
「夏の夜空へ」という作品は特別なもので、
その二人が「夏の夜空へ」の
最終通し稽古を観てくれるというのは、
とても頼もしい気持ちになる。
(今回、「元気君」は「蛍ちゃん」として、
須藤あゆみが演じ、
「ひろみ」は、「ゆかり」となり、
福岡美佳が演じて、
恵ちゃんが演じた「智代」は、
鈴木美千代が演じる)

さて、
いよいよ最終通し稽古開始。

昨日、通し稽古を終えて、
鬼のようなダメ出しをした
甲斐があったようで、
幕開きからとってもいい感じ。

シーン1が
これまでの鬼門だっただけに、
ここでいい芝居をしてくれると、
あとに続く芝居もすっごく良くなり、
1幕はミスなし!テンポ良し!
申し分ない出来栄えで終え、
10分間の休憩後、2幕を始まると、
これまで危なっかしかった箇所も
いい感じで進んでいく。

1幕に続き、2幕も全体的にビシッ!と
集中出来ているので、
役者のエネルギーがバンバン伝わってくる。

最後のクライマックスシーンでは、
みなの迫真の演技に取材記者の方は、
取材を忘れ芝居に入り込み、
涙を拭われる。

私的には65点くらいだと思ったけれど、
一応は人様にお見せ出来るレベルかな?
と思いながらも、
辛口評論家の美岐に恐る恐る聞いてみると、
彼女が気になった2、3か所を
教えてもらいつつも、
総合評価は、「良かったよ!」との事。

彼女はホントに辛口評論家で、
褒めるって事はまずないのだが、
ただ言っている事は「確かに」って
事ばかりなので、美岐の意見は、
毎回すごく参考にしているのだが、
その美岐が「良かった」って言う。

そして美岐と同じくらい
辛口評論家の恵ちゃんも、

「団長の独り言でダメだ・・
みたいな事が描かれていたけれど、
〇〇が〇〇であーでこうで、
すごく良かったです」

とのご意見。

「夏の夜空へ」への
思い入れの強い二人からの合格点と
記者の方の涙で、
「行ける!」と胸を撫で下ろすが、

これからいよいよ始まるわけで、
油断している場合じゃない。

更に気を引き締めて、
さぁ!
いよいよ劇場へと向かうのでした。


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