Page7–「平野恒雄の芝居の創り方」
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団長の独り言 2025.07.27
7月27日(日)「平野恒雄の芝居の創り方」
「ふたりのゆめ」綾部公演を
主催してくださる京都府綾部市
「演劇まちづくりの会」
有志の皆様が集まって、
舞台大道具の制作が行われたのは
前回お伝えしたが、
その後も
SNSやグループラインには
続々と道具制作の写真がアップされて、
また
「ふたりのゆめ綾部公演」のポスターが
綾部の街中に貼られている写真や、
チラシを置いて下さっている
施設や店舗の写真、
あとは宣伝動画の撮影風景等が
ドンドンとアップされているのを
拝見するにつけ、
嬉しさと感動で心が震え、
それと同時に
「これだけの人達が、公演成功に向けて
一生懸命になって下さっているのだから、
ちゃんとした芝居を創らなあかん!」
という思いから、責任という言葉が
ドッと私の肩にのしかかる。
それは勿論私だけではなく、
劇団ふぁんハウスのメンバー全員が
そう感じているわけで、
そういった意味からも自ずと
稽古に挑む姿にも、いつも以上に
気合が入っているように感じる。
稽古開始の30分前には、
ほぼ全メンバーが顔を揃え、
誰からともなく、
稽古場となる「部屋」に設置してある
テーブルや椅子を片付け、
稽古用のテーブルや椅子等を並べ、
稽古が始まるのを
今か今かと静かに待っている
緊張した雰囲気からも、
「いいものを創る!」という
メンバー達の本気さが伝わってくる。
稽古開始の時刻、
この緊張感たっぷりの状態から
いきなり稽古を始めてもいいのだが、
誰もが強張った表情のまま、
稽古を始めるのも
どうも私の性に合わない。
まずは
皆さんに笑顔になってもらうべく、
最初は世間話等をして、
稽古場をすこーし暖める。
あ、あの言っておきますが、
稽古開始前、みんなが
静まり返っているからって、
メンバー同士不仲って
わけじゃないのですよ。
休憩中や帰りの電車では、
各々コミュニケーションはとっているし、
ギスギスした空気は一切ない。
さて、劇団ふぁんハウスにとって、
「ふたりのゆめ」という作品自体は、
今回の上演で3回目となるのだが、
キャストが
大幅に代わったって事もあるけれど、
稽古が毎回新鮮でねぇ~。
当然ながら
キャストが代わったシーンは、
前回、前々回の「ふたりのゆめ」とは
全く違ったシーンとして蘇る。
平野演出というのは、
「こうあるべき!」
「こうでなければダメ!」
という私の考え方を
一方的に押し付けるというような
演出は基本的にしない。
やりたいように
やってもらうというスタイルなので、
役者達は、
まぁ~色々とやってくれるんです。
その「色々」が
意表をついて面白ければ、
当初私が考えていた事と
相反していてもオッケーにするし、
「そう来たのならば!」って事で、
直感的に更なるアイディアを
役者に提案する事も多々ある。
すると益々芝居が変化して、
同じ脚本、同じセリフでありながら、
前回、前々回とは
全く違った新しいシーンが生まれる。
しかし、なんでもかんでも
「やればいい」ってわけではなく、
作品の本質を考えない浅い役作りや、
ピントのズレた芝居に対しては、
「やりすぎ」「間延び」も含め、
遠慮なくダメを出す。
ただ・・・世の中にはダメを出すと、
「でも」「しかし」「だって」を連発し、
「議論」を吹っ掛ける役者もいると聞く。
私の場合、
そういうタイプの役者がいた場合、
「反論」や「意見」を一応は聞くが、
いちいち議論はしない。
「いいから、そのようにやって!」
で終わり。
古い考え方かもしれないし、
傲慢かもしれないが、
平野恒雄が描いた脚本を
平野恒雄が演出をする作品に
出演するのだから、
そこはね、脚本や演出の考えを
キチンと表現するのが
役者の務めだと思っている。
私はそんな考え方で
プロの役者時代もやっていた。
仮にどうしても
納得出来ないのであれば、
まずは出されたダメをキチンと通して、
演出の要望通りの芝居をしたうえで、
実際に「こうしたい!」をキチンと演じて、
そこで演出や、共演者達を
納得させるだけの芝居を見せれば、
それはそれで説得力があるが、
ダメを通す事もしないで反発だけして、
「出来ない」を正当化するために、
難しい事を言って演出に議論をふっかけ、
稽古場をいやな雰囲気にしてしまうのは
違うと私は思っている。
そもそも私は感性で脚本を描き、
直感と成り行きで演出をしている。
「理屈はあとからついてくる」
という感じかな。
だから、「理屈ありき」じゃなきゃ
芝居が出来ないという人は、
私と一緒に芝居を
創る事は出来ないと思う。
まぁ~幸いにして
劇団ふぁんハウス活動を
27年間続けてきた中で、
演出と議論したがる人はいなったけどね。
(あっ!一人いた!でも、もちろん、
そのメンバーは途中で辞めました。)
今いるメンバーの中には、
私よりも断然キャリアがあって、
断然芝居の出来る方々もいるけれど、
ダメ出しに対しては、
「でも」「しかし」「だって」はまず言わず、
こちらが恐縮するくらい真摯な態度で、
「分かりました」とだけ言って、
バシッ!とそのダメを通すという
すごく頼もしくて、カッコいい先輩達もいる。
そんな先輩達に刺激を受けながら、
研究熱心なメンバー達は、
綾部の皆様のために、心をひとつにして、
真剣なる稽古を続けるのでありました。


