Page5–「頼もしい皆さん。」
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団長の独り言 2025.11.23
11月23日(日)「頼もしい皆さん。」
昨日、今日は2幕を徹底的に見直す稽古を行う。
1幕は、前回の「団長の独り言」に描いたように、
幕開きから大きく変更したけれど、
さぁ~2幕はどうかな?
という思いでじっくり見ると!
「あっ!」と思わず声を上げてしまう。
「あっ!そうだ!今回の劇場は、
緞帳幕を下ろす事が出来ないんだった・・・」
そんな事は前々から分かっていた事なのに、
これまでは動きの確認がメインの
荒立ち稽古だったので
何気なく流していたのだが、
「さーて!本腰をいれてみるぞぉ~」
って思って
2幕の幕開きを観察してみると、
前回の板橋公演の2幕開始のような、
「緞帳幕が閉まっている」
↓
「場内アナウンス・
まもなく2幕の開演です・・・」
↓
「アマティーとカブちゃんの演奏」
↓
「演奏中に客席が暗くなる」
↓
「幕が上がると
旅館希望の星の社長・良蔵と
美保が忙しそうに動き回っている」
というように始まる、
劇団ふぁんハウス名物?
「松竹新喜劇風・幕開き」は、
今回出来ない。
さて!
ではどうないしましょうか?
と悩んでいると、
2幕の最初に登場する堀越先輩が、
「なるほど!」という
アイディアを出してくれた。
詳しくは言えないが、
「その手があったかぁ!」
というナイスなアイディア。
今時の演劇では「そんな幕開き」
も珍しくもないのだが、
劇団ふぁんハウスにとっては、
ちょっと新鮮?な2幕の始まりなので、
楽しんでいただけると思います。
こうして2幕の幕開きは
「堀越プラン」で解決すると、
そのあとに続く芝居はとっても順調で、
「このまま本番を迎えてもいいかもね」
くらいの「完成した芝居」を
皆さんが披露する。
それでも芝居というのは面白いもので、
「これでよし」
ってのはなくてですねぇ~
「完成した」ように見えても、
いや「完成した」と思えるくらい
レベルの高い芝居を見せてくれたからこそ、
「さらに!」という部分が見えてくる。
その「さらに!」の芝居を行ってもらうべく、
心情的な個所も役者と話し合いながら、
ひとつひとつのシーンを
丁寧に組み立てていく。
「こんな風に変更するとどう?」
と私が聞けば、
「ここは、こうしてあーして、
こういう風にしようと思ったのです。
なぜならば・・・」
そのやり取りで、
役者がどう演じたいのか?
分かるので、
「じゃ~こうだとどうかな?」
みたいなやり取りもできる。
まずは私の「こうして」という考えを伝え、
私がどうして「こうして欲しいのか?」も伝え、
意見を聞きつつ納得して演じてもらう。
もしくは、最初から
「ここをこういう風に
変更したいんだけど、どうしよっか?」と、
最初から役者に投げて、
考えてもらうという事も行っている。
昨日、今日も
まさにそんなやりとりを
行いつつの稽古であったので、
「完成した芝居」だと思っていた
芝居がどんどん変化していって、
気が付けば、2幕もかなり見応えのある
芝居へと進化していった。
しかし、昔々劇団ふぁんハウスを
立ち上げたばかりのころは、
こうしたディスカッションは
皆無だった。
「お茶碗は左手で持ちます」
「お箸は右手で持ちます」
という、いわゆる基礎の「き」から
説明をしていたし、
そもそも芝居の稽古とはなんぞや?を
理解していない人たちの集まりだったので、
早めに稽古場に来て準備をするという
発想のないメンバーも結構いて、
中には「開始時間ギリギリ」に
稽古場に滑り込んで来て、
そこからマクドナルドのハンバーガーを
稽古場でほおばり始めるという
強者メンバーもいた。(食べながら
稽古をするつもりだったのかも?)
また稽古中、
演じてる役者の芝居を勝手に止めて、
あろうことか!その役者に
ダメ出しをするというメンバーもいて、
それにつられた他のメンバーも、
「私も変だとおもいまーす」と言い出し、
当の演じている役者にしてみたら、
稽古中に演出でもない人から好き勝手言われ、
もう半べそ状態になった何てこともあったし、
逆に、「なにぃぃぃ~!偉そうに言うな!」と、
好き勝手にダメを出してきたメンバーに対して、
食ってかかるメンバーもいた。
あとは日中にバレーボールの
試合とやらがあり、
ユニフォームや靴やらあって、
荷物が多くなったそうで、
そこに夜の稽古で使う台本も入れると、
台本がつぶれる!と判断し、
「だから台本は持ってきませんでした」
と堂々と言う人もいた。
つい忘れてしまったのならばまだしも、
分かっていながら、
「あえて台本は持って来ないで
芝居の稽古に参加する」
という感覚には驚いた記憶がある。
いい加減、
だめだぁ~こりゃ!と思った私は、
ルールを決めた。
「演出を差し置いて、
演じている人の芝居を勝手に止めて、
無責任なダメ出しはしない。」
「稽古中、おしゃべりはしない」
「居眠りはしない」
「稽古が始まったら食事をとらない」
「開始時間までに来て準備をする」
「無断欠席はしない」
「台本は必ず稽古場に持ってきましょう」
等々・・・。
それが今のふぁんハウスでは、
こんな呆れたルールを創らずとも、
ちゃんとした、
「ザ・芝居の稽古」が出来る。
それもこれも、
「熱意とやる気があれば、障害があろうが
なかろうが本物の芝居が出来る!」
という思いに
賛同してくれる素敵なメンバー達が
いてくれるってことと、
諦めることなく
何十年間も「本物の芝居」を
追いかけているからこそ、
今につながっているんだなぁ~と思う。
こうして
頼もしい皆さんとの稽古は、
さらに続くのでありました。


