Page16 – 「何と思われようとも」

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団長の独り言 2022.01.16

1月16日(日)「何と思われようとも」

昼夜稽古が始まった。
劇団ふぁんハウスでは、
本番1か月前になると、
13時から21時30分まで
昼夜連続稽古に突入する。

「土日・両日とも昼から夜までの稽古」
と言うと、芝居経験のない人からは、
間違いなく「へぇー」と言われる。
一方、プロの方からも「へぇー」と言われる。

「へぇー」のニュアンスは違うけれど、
「出演料を貰っているわけじゃない
趣味の演劇でねぇ・・・。」
って意味合いがあるかもしれないね。

確かに「趣味」って言われれば、
大きな括りで言えばそうかもしれないが、
私の中で芝居にかける情熱は、
プロとして活動していた頃と
何ら変わりはないので、
劇団ふぁんハウスを
「趣味」とは思った事は一度もない。

「趣味でやっているのだから、
何もそんな稽古、稽古って・・・
1日くらい休んでも・・・」

と思う人がいるのも事実だけど、

もし私が「趣味」という思いで劇団活動を
行っていたら、劇団ふぁんハウスなんて劇団は、
24年目を迎える事もなく、とっくに
空中分解している。

「劇団活動に力を入れすぎて、
(生活のために行っている)
仕事に影響を及ぼすようだと、
劇団活動のほうを70%、60%くらいの
力でやって下さいね。」

なぁーんて、過去に
職場の上司から言われた時もあった。

そう言われた瞬間、私はなんの迷いもなく

「劇団活動を70%60%の力で
行うなんて事は絶対にありえません!」

と剥きになって言い返した。

すると、
必ずお決まりの言葉が返ってくる。

「君、何で喰っていると思っているの?」

分かってますよ!そんな事は。
だから仕事も100%!
劇団活動も100%!でやってきた。(つもり)

それで「仕事が疎かになった」と判断されれば、
その職場から消えゆくのみ。
基本的にそのスタンスは今でも変わらない。

ただ劇団活動をここまで続けてこられたのも、
安定した生活が出来ているから。

もし、安定した暮らしが出来なければ、
今のような「劇団活動」なんてのも
出来なくなるのも分かっている。

そこがジレンマではあるのだけどね。

ジレンマだけど、
それでも私は一生懸命、
それこそ人生の最優先課題として
劇団ふぁんハウスを続けている。

ただね・・・勢いを衰えさせることなく、
ずーっと続けるってのは、正直、かなりきつい。
公演が近づけば近づくほど、辛くて苦しくて、
精神的にズタズタになる事はしょっちゅう。

どうして?なぜにそこまでして?
うーん・・・そこなんですよねぇ・・・。

それは、やっぱりね、
長年に渡り、劇団ふぁんハウスを
支えて下さる行政の皆様をはじめ、
各方面で協力して下さる
ボランティアスタッフさん達や、
平野組の素晴らしきスタッフさん達がいて、

劇団ふぁんハウスのお芝居を
楽しみにしている多くのお客様が
毎回、最高に素敵な笑顔を
我々に下さるからだ。

そして何よりも!
私の事を信じて、がむしゃらになって
劇団全体を盛り上げ、
稽古に精進してくれる全ての出演者の
みんながいる!!!

そうした多くの皆様がいるからこそ、
一生懸命、本気で芝居創りと向き合える。

いいお芝居をご提供する!
という責任が、みんなの意識にも
浸透しているので、
「元日の稽古」や「昼夜稽古」へと
駆り立てるのだ。

その昼夜稽古、2日間とも
ひろーい稽古場にて行うが・・・・

昨日は素敵な舞台セットを考案して下さった
美術の三井さんがお越しになったのに、
間延びした、なんとも恥ずかしい
「通し稽古」となり、イライラを通り越して
稽古中は眠くなったけれど、

夜の稽古では、ダメ出しを
真摯に受け止めてくれたメンバー達が、
見違えるような芝居を見せてくれて
ホッと一安心。

しかし今日の昼の部の稽古では、
またしても
「眠たい」芝居のオンパレード・・・。

テンポが良くて、
エネルギーもあるのに眠くなるのは、
勢いしかない芝居で、
セリフをがなり立てているだけ
だったから。

そのあたりのダメを出し、
1時間の食事休憩後、
恐らくみんな疲れてヘトヘトだろうけれど、
思い切って幕開きからエンディングまで、
芝居を「通し」てみると!

出だしからいい感じで、
物語にグイグイ引き込まれる。

昼の稽古時と
大きく芝居が変わった訳じゃないのに、
みんながちょこっと意識を変えれば
こんなにも違うものか?ってくらい面白い。

私演じる「啓介」は前半は登場せず、
後半からの登場なんだけど、
目の前で繰り広げられる
ノリノリで最高に面白い前半を観ていると、
早く自分もこの輪の中で
芝居がしたくてうずうずしてくる。

そしていよいよ後半!
皆さんのエネルギーに刺激を受けながら、
私も思う存分、
相手役の(ますだ)ゆみさんと、
息の合った芝居を行う事が出来た。

その後も集中力を途切れさせる事なく、
感動のエンディングまで、
エネルギッシュに迎える事が出来き、
「久美・美容室物語」っていい芝居かも!?
って初めて思う事が出来た。

とりあえずはホッと胸をなでおろす。

稽古回数も残りわずか。
次回は、今日よりもさらに
すげーものをみせてちょうだいねぇ。


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