「NHKドラマ「アイドル」を見て」 福岡美佳

先日、来年2月公演「人生芸夢 〜夢のとおり道〜」の出演者に向けて、
ぜひ観て欲しい番組があるという連絡を団長から受けました。

その番組は、昭和初期から終戦間際まで、
戦時下でも休まず営業を続けてきた劇場「ムーラン・ルージュ 新宿座」
を舞台としたNHKドラマ「アイドル」でした。

「人生芸夢」も大衆演劇の劇団を舞台としたお芝居なので、
華やかなダンスショーのシーンに思わず目が釘付けになりました。

そして、岩手から上京したヒロイン(演・古川琴音さん)が下積み生活を経て人気アイドルに成長し、
日本が戦争へ進む中でも、ファンを元気付けるべく笑顔で歌い踊り続ける姿に胸を打たれました。

積極的に慰問に訪れ、ファンを勇気付けるために魂を込めて歌っているはずが、
「戦地へ死にに行くファンの背中を押しているのか、こんなことなら、
アイドルになんかならなければよかった」と葛藤するシーンに涙が出ました。

戦時中、「不要不急」としてエンターテイメントが排除される動きが、コロナ禍の現在とダブりました。
「空気、めし、ムーランルージュ」という劇中の言葉にある通り、
エンターテイメントは生きるために必要なものなんだ、
演劇の灯が消えるようなことがあってはいけないんだ、という思いを新たにしました。


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