Page3 –「進化する久美・美容室物語」

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団長の独り言 2022.08.21

8月21日(日)「進化する久美・美容室物語」

お盆休みも終わり、
本腰を入れて稽古開始となる
「久美・美容室物語」。

前回の稽古では、「かるーく」
読み合わせを行うつもりだったのに、
皆さん、今にも立ち上がって
動き出すんじゃないか?
ってくらい本気で、
テンポいい読み合わせを行なったので、

お盆休みを挟み、2週間ぶりとなる昨日は、
「かるーく」立ち稽古を行うつもりで、
稽古をスタートさせてみると!

幕開きから登場の「桃子」役のゆみさんは、
あったりまえのように台本なんて持たず、
「明日本番です!」って言っても
充分通用する、素晴らしい芝居なので、
さぁー大変!

その迫力に稽古場が引き締まり、
次に登場する「久美先生」役のみっちゃんも、
これまた「明日本番です!」と言っても
おかしくないハイクオリティの芝居で
「桃子」に絡み、二人芝居となる
シーン1はパーフェクト!!

物語を引っ張る二人が
この調子なものだから、
みな、焦ったのか?どうなのか?

次のシーン以降から登場するどの役者も、
「台本なんて当然見ませんよ!」
とばかりに、
ほぼ完ぺきにセリフをキチンと身に着けて、
動きも何もかも、2月に大成功した
芝居そのまんま。

この迫力には、正直驚いた。
いえね、いくら2月に本番を迎えて
大成功した芝居とはいえども、
あれから半年が経ったわけだし、
5月からは「人生芸夢」の稽古を
してきたわけだし、ちゃんと準備をして
この日の稽古を迎えねば、ここまで
クオリティーの高い芝居は出来ないからね。

あまりにもテンポ良く芝居が進むので、
初参加となる岡田香錦さん演じる
「佐知」が登場するシーンも、
そのまま行ってしまおうか?ってくらい、
芝居がいい感じで進んでいった。

しかし、香錦さんにとって
「久美・美容室物語」の本格的な稽古は、
この日が事実上初めてとなるので、
彼女が登場するシーンで芝居を一旦止め、
相手役のみっちゃんと共に動きを確認し、
2度ほど軽く動いてもらい、
いざ「佐知」を演じてもらうと、

すごい!
マイペースの彼女は物怖じせず、
(してたかもしれないが、
そうは見えないほど堂々としていた。)
セリフもほぼ完ぺきで、岡田香錦にしかできない、
めちゃめちゃ個性豊かな「佐知」を見せてくれた。

その「佐知」という役だが、
前回演じた宮原志帆さんは、
みっちゃん演じる「久美先生」の娘で、
千秋ちゃん演じる「敦子」の同級生という
設定だったんだけど、

今回香錦さんが演じる「佐知」は、
久美先生と同世代という設定に変更したので、
合わせてセリフも前回と大幅に変更した。

そしたら・・・
またしても私がもっとも苦手とする
時系列での矛盾点が現れてしまい、
みっちゃんが私を傷つけないように、
やわらかーくその部分を指摘してくれまして、
早速そこの箇所を改善すべく話合い、
なんとか辻褄を合わせ、
誰もが納得する場面へと修正し、
稽古はとてもいい感じに進み、
この日の稽古は終了。

翌日曜日、
今日も明るく元気なメンバー達が
「さぁ〜やるぞ!」
という気迫を感じさせながら、
稽古開始を待っていて、
「今日はどこからですか?」
と聞いてくる。
そのやる気が頼もしい。

私の余計なおしゃべりもそこそこに、
早速稽古開始。
昨日の芝居は迫力満点だったけれど、
それでも
「もっとこうしてみよう」
「ああしてみよう」
って箇所は出てくるもの。

例えばある役者が、インパクトのある芝居で
登場するところを、前回以上にもっと前へ前へ!
「この人は何者じゃ?」を強調すべく、
更にゴージャスに出ると、
周りの役者の反応も変化し、
その人物に声を掛けるタイミングも微妙にずれ、
その微妙にずれたことにより出来た「間」が、
芝居を更に面白くする。

あとは、「桃子」と「愛実」という
「久美・美容室」で修行していた
二人の関係性をより分かりやすくするために、
セリフは全く変えずに、
態度、口調、「間」の微妙な変化で、
二人の関係性を強調する。

正直、なんと高度な事を要求しているんだろうって
思いながら、私は二人にダメを出していたけれど、
そこをちゃーんと変化させてしまうから
大したものですよ。

ただ不思議なのは、どうして前回の時、
このシーンを演出していて、その部分
(二人の関係性を強調するって事)が
気にならなかったのか?ってこと。

他にもそんなシーンが結構あるんです。
「お父さん」の座る位置にしても、
前回は全く違和感なかったのに、
昨日の迫力ある芝居を見ていて、

「お父さんがそこに座るのはなんか変?」

って思って、
座る位置を変更すると、
それだけで随分と芝居が引き締まり、
周りにいる役者の芝居が自然と変化する。

このように小さな変化の積み重ねと、
二人のキャストが変更したことによる
大きな変化で、
「久美・美容室物語」は、
脚本こそ同じだけど、
全く新しい芝居が生まれようと、
しているのでありました。


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