Page28 –「今回も無事終了しました。」

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団長の独り言 2023.02.26

2月26日(日)
「今回も無事終了しました。」

いつもの
書き出しになるかもしれないけれど、
無事終了しました。
もうホントにねぇ〜その一言です。

細かいミスや大いなる反省点は
相変わらずありますが、
芝居が壊れることもなく
お客様に大変楽しんでいただき、
無事幕を下ろす事が出来たので、
ホッと一息ってところです。

そんな「人生芸夢〜夢のとおり道〜」
の本番の様子を、
今回も何週かに分けてお伝え致します。

実は今回の芝居、
稽古期間中に「座長」役の役者が
3回も変わるという事態に陥り、
それを乗り越えての公演成功だったのです。

まず最初に「座長」役だった澤さんは、
12月の始めだったかなぁ?
体調不良の為、突然の降板の申し出。

慌てて代役を探すも適任者の方が見つからず、
やむを得ず「番頭の山さん」という役と、
「座長」役を合体させるという荒治療で
脚本を書き換えて、

本来「山さん」を演じる予定だった
よっちゃん(永井良則)に
「座長」を演じてもらうべく、
バタバタながら稽古を再開。

しかし急誂えで脚本を書き直したので、
内容的にかなりの矛盾点が出て、
その調整に手間取り、
元々「山さん」がしゃべる予定だったセリフを
「さゆり」役の香錦さん(岡田香錦)や、
「女将」役のみっちゃん(鈴木美千代)、
「明美」役のゆみさん(ますだゆみ)
に振って稽古し直しながら、
年末30日にも特訓を行い、
1月末にはなんとか形になり、
いざ!「通し稽古」を行おうという時、

今度はその「座長」として活躍する予定で
ガムシャラに稽古をしていたよっちゃんが、
突然襲い掛かった腰痛で、
歩くのもままならない状態となり、

本番1か月前に最大のピンチを迎える。

澤さんが降板した時ですら、
「座長」をやっていただける適任者が
結局は見つからない状態で、
やむなく脚本を書き換えて、
登場人物を減らしたというのに、
本番まで1か月を切るか切らないかの時期に、
セリフと動きと、最大の見せ場となる
立ち回りの出来る役者さんを見つけるというのは、
不可能じゃないか?という事が脳裏をよぎる・・・。

しかし私は持ち前の「諦めない精神」で、
違う観点から、
今一度「誰か適任者は?」と思った瞬間に
「あっ!」と閃いたのですねぇ。

そして考え悩む暇もなく、
閃いた5秒後には
舞台監督の高橋さんに連絡をして、
その2日後、今回「座長」役として
大活躍して下さった堀越健次さんが
「座長」をやっていただく事になった。

この時点で本番までちょうど1か月。
ただ1か月っていっても、
稽古回数は8回・・・。

しかも堀越さんが最初に稽古場に
お越しいただいく日が、
第1回目の通し稽古なものだから、
他の役者達は
ほぼ出来上がった状態なんですねぇ。

その事を電話口で説明すると、
堀越さんは「なるほど」
という言葉のみだったのだが、
笑顔で稽古場にやってきたかと思えば
すぐさま、用意してきた衣裳の着物に着替え、
足袋をはいて雪駄をひっかけ、
ご自分の木刀を袋から出し準備万端。

「通し稽古」の重要性をキチンと
把握されての初登場とあってのこの準備!
いやはや敬服致しました。

脚本が堀越さんの元に届いたのは、
ほんの2、3日前のはず・・・
それでこの準備!

そんな堀越先輩を見て、
「今回も成功する」って確信した。

たださすがに
全く何の打ち合わせもない状態で、
いきなり「通し」を
行うわけにもいかないので、
昼間の稽古では動きの確認と
立ち回りの手の確認。

立ち回りに関しては、
堀越さんは私なんかよりも全然キャリアがあり、
その昔、殺陣軍団として、
ラスベガスで立ち回りのショーまで
やられたこともあるので、

私演じる「中沢」が、堀越さん演じる
「座長」と最後に剣を交えるところの
「手」をつける際も、
先輩はめちゃめちゃ早いテンポで、
「ここで山形を2発入れて、
(刃)合わせて、グッと溜めて・・・
そう!それで回り込み・・・
抜き胴からの袈裟・・・(などなど)
よっしゃ!これで行こう」ってな感じ。

この感覚と段取りのスピード感は、
その昔、私が映画やテレビや舞台等の現場で、
アクションシーンを行った時のよう。
私の気持ちは完全に20代の若造に戻っていた。

その後、数少ない稽古を重ね、
堀越さんも
劇団ふぁんハウスの空気になじんで下さり、
みんなとの間合いもバッチリになった中で、
本番を迎える事が出来た。

もし堀越先輩が
引き受けてくださらなかったら・・・・
かなり厳しい展開になっていたとは思うが、
今は大成功したからこそ、こうした事も描ける。

その事をお伝えしたところで、
次回の団長の独り言からは、
劇場入りしてから本番終了までの
出来事を日記形式で
書かせていただきます。
ではまた次回!


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