Page11 –「仕込み・・・その2」

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団長の独り言 2023.07.14-2

「仕込み・・・その2」

ロビーで受付ブースを創るメンバー、
楽屋で販売用の「団長の独り言」の製本及び
パンフに挟み込む「お知らせチラシ」を
挟み込む作業を行うメンバー、
舞台面で大道具制作に携わるメンバーと、
大きく3つのグループに分かれての作業は
大変効率よく進み、
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」の世界が
着々と出来上がってきたところで、
舞台面は照明さんにお渡しをする時間となる。

先程まで何人も人がいた舞台上は静まり返り、
照明さんのみが、インカムを付けてひとり佇む。

暫くすると、完成した舞台セットに、
色取り取りの照明が当てられて、
華やかになったかと思えば暗転になり、
そしてまた明るくなりを繰り返す
「シュート」作業が始まった。

場面ごとに「色」を創っていき、
それをコンピューターに打ち込む
という作業をしているらしい。

静まり返った舞台上に、
色取り取りの明かりが
ついたり消えたり・・・。

何度も描いているかもしれないが、
私は、このシュート作業を
客席から眺めるのが好きなんです。
ましてや、今回はものすごい数の照明機材!
それを文字幕で隠さず並んでいるものだから、
照明機材を眺めるだけでもワクワク!

今回仕込み部隊の隊長として
お越しになられた六工房(照明会社)の樋口さんが
客席にいたので、思わず「すごい数ですねぇー」と
話しかけると、「ここまで吊り込むのは初ですよ」と
にっこり。

樋口さんは、
十数年前に行った「ライブショー」の時に
初めてオペレーションをお願いし、
それ以降、
何作品か続けてお願いをしてきた方。

またその樋口隊長のサブとして
仕込み部隊としてお越しになられたのは、
「久美・美容室物語」の時にオペレーションを
担当して下さった唐澤さん。

つまり照明の仕込みに
駆けつけてくれた方というのは、
「平野恒雄がどんな照明が好きなのか?」を
よーく知っている、頼もしい
六工房の先鋭のお二方なのだ。

その先輩達が厳しい表情で見守る中、
オペレーションを行う大塚さんが、
次から次へと、
場面ごとに色取り取りの明かりを
調整していく。

その大塚さんとは、
稽古場で行った最終通し稽古の打ち合わせの際に、
「こんな照明にして欲しい!」という想いを
熱く語らせていただいたものだから、
大塚さんは、その私の想いを現実のモノとすべく、
今回は「これでもかぁ!」ってくらいの
照明機材を吊り込み、ピンスポットも2本!
その上、
アンタリというスモークを使う事にしたので、
それらの調整作業を眺めていると、
早朝からの作業の疲れも吹っ飛ぶ。

そんなシュートが
ある程度落ち着いたところで
今度はサウンドチェックに入る。

アマティーのピアノから始まり、
場面に応じての効果音、
二人の歌姫の歌、
ゆみさんの踊りにメインの立ち回り、
そしてたけもっちゃんのギター演奏と、
芝居の中で音響の野中君が操作をする
全ての音という音のレベルチェックを行う。

歌姫役の千秋ちゃんとまり恵ちゃんは、
これまでずっと稽古場でマイクも使わず
歌っていたので、本物のマイクを使って、
ちゃんとしたホールのスピーカーから出る音の中で
板橋区立文化会館のホールで実際に歌うと、
ご両人は大変気持ちが良さそうに
伸び伸びと歌っていて、
なんだかすごく素敵なんですよ。

恐らく、7分ほどの力で歌っては
いるんだろうけれど、
サウンドチェックでこのレベルなんだから、
本番の時はどんな素晴らしいものに
なるのだろうとワクワク。

そのサウンドチェックの最中にも、
照明さんはしきりに色の調整をして、
18時、
予定どおりに場当たりの開始となる。

場当たりというのは、
舞台セットが立つ劇場でしか確認出来ない
照明さん・音響さん、舞台スタッフさんが
場面転換などに応じて、
各ポジションの段取りを確認する作業の事で、
とーっても重要な作業。

「場当たり開始しまーす」という
舞台監督の掛け声とともに、
劇場全体はピリッ!とした空気に包まれる。

照明さんは、場面ごとに色合いの変化を確認し、
それを私が客席から最終チェックをさせていただく。
そこで、
私のイメージ通りでなければ修正を施してもらい、
音響さんに関しても、
やはり私のイメージとすこーし違うと、
「効果音を気持ち長く」とか
「もう少しリバーブをかけて」
等のダメを出させてもらう。

こうして順調に場当たりが進み、
役者を交えた舞台転換も特段問題なく、
「高山芸術座」の登場人物達が踊り歌う
「恋もうけ」では、おおおお!
アンタり(スモーク)が舞台上を舞う舞台に、
何本ものパーライトからの明かりが入り、
かっちょいいい〜!

LEDの照明も赤や緑や黄色に変化し、
チカチカしていて、
めちゃめちゃかっちょいいい!!

それでも、私的には物足りなかったので、
「もっともっとガンガンに煽ってくださーい」
と照明さんに注文を出す。

こんな感じで場当たりは順調に進んでいくが、
舞台監督さんの
「今日はここまでで・・」という合図で
時計に目をやれば、21時15分!
退館時間の15分前!

クライマックスシーンの場当たりは
明日のお楽しみって事で、
長い1日は終了したのでした。


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