「黒澤明監督『生きる』を見て」 福岡美佳
このメールマガジンが配信されるのは、「ふたりのゆめ」本番前日です。
いよいよ本番だ!祭りが始まる!とワクワクしている一方で、
果たしてお客様に喜んでいただけるのか、
稽古の成果が出るのか、不安な気持ちも正直あります。
1月8日、NHKで黒澤明監督の映画「生きる」が放送されていたので、録画して見ました。
今回の作品「ふたりのゆめ」には、
この映画のクライマックスで歌われる「ゴンドラの唄」が使われています。
この名作に負けないような舞台をお目にかけたいと思っています。
「生きる」は、主人公である市役所の市民課課長が胃癌で余命宣告を受けることから始まります。
無気力に日々の仕事に埋もれていた彼が、残された人生をどう生きるかもがいた末に、
「住民のために公園を作る」ことを決意します。
公園作りに当たって現れる様々な障壁を、病体に鞭打って乗り越えていく主人公の姿、
ただのくたびれたおじさんが強さと輝きを増していく姿に心を打たれました。
志村喬さんの演技が本当に素敵でした。
完成した公園で、雪の中でブランコを漕ぎながら
「ゴンドラの唄」を歌うシーンに涙があふれました。
そして、もし自分が余命宣告されたとしたらどう生きるだろうか、
私もこの主人公のように前向きに生きられるだろうかと考えさせられました。
いつ死んでも悔いのないよう日々全力投球で生きたい、
まずは目の前の舞台を全力でやり切りたいという気持ちを新たにしました。
「ふたりのゆめ」も、そんな観る方の背中を押せるような舞台になればと思っております。
明日、明後日、劇場で皆様にお会いできることを楽しみにしております!