Page18 –「劇場でお会いしましょう」

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団長の独り言 2024.1.21

1月21日(日)
「劇場でお会いしましょう」

最終通し稽古の日となった。
新作だという事もあり、試行錯誤を繰り返し、
ようやく形になったと思い、
1月に入った最初の稽古で、
初めて「通し稽古」を行えば、
転換に絡む箇所を中心に問題点が数多くあり、

そこを舞台スタッフの舞ちゃん主導の下、
場面転換での道具の出し入れを整理して、
更に舞台監督さんと一緒になって考え、
おかげで場面転換に関しては、
とーってもスムーズに行えるようになり、
翌週の稽古で再び通してみたら、
今度は全ての出演者が
登場する場面でしっくりこなくて、
そこの動きを大々的に変更する。

あとは・・・細かなところで、
上手、下手にある
テーブルに設置した椅子の位置も、
どーしても気になったので、
椅子の位置も変更したし、
こうして変更に次ぐ変更を施しての
「総通し稽古」を、昨日の土曜日に行った。

この日は舞台監督さん、舞台美術さん、音響さん、
そして舞台転換スタッフさんという
ほぼ全てのスタッフさんが
稽古場に勢揃いするとあって、
緊張感の増す稽古場だ。

「総通し稽古」は夜からとなるので、
昼間の時間帯は、舞台監督さん達抜きでの
「通し」を、14時30分開始で行った。

テンポとしては、決して悪くなかったのだが、
芝居そのものに対してのダメを出す箇所満載。

そこで通しを終え、
すぐにでも全員に集合してもらい、
ダメを出しまくりたい感情ではあったけれど、
1時間後にはスタッフさん達が
お越しになるので、
すぐさま1時間の休憩を取り、
17時過ぎ、ボチボチお集りになる
スタッフさん達の見守る中、
昼間の通し稽古に対してのダメ出しを行う。

そのダメ出しだが、
この時期でのダメ出しって、
すごく難しいのです。

出す事によって
かえって役者が混乱してしまい、
泥沼からはい出せなくなる
場合もあるので、個々の性格、技量、
精神状態等を見極めつつ、
デリケートにデリケートにダメを出す。

いくら時間がなく、
焦っているかと言っても、
私が若い頃受けて来たような、
「ばかやろぉ!何度同じ事言わせる!」
「へたくそ!」
「もう役者なんかやめちまえ~」

なーんて、
今時、昭和の時代の感情に任せた
ダメ出しなんて出来ようはずがないし、

だからと言って、
「素晴らしい」「さいこ?」「よっ!日本一」
というような、甘いささやきを連発して、
木に登ってもらう余裕もない。

短時間で、
いかに理解してもらえるかが勝負。

そこで「こんな感じで」と
実際に私が演じて見せたり、
全然違う話をしているようで、
ダメ出しの本質的な部分が
その話の中にあるっていうような
「例え話」をしたり、
厳しい事を言いつつも、
面白おかしく、そしてテンポの良く、
ダメを出す。

ダメ出しが終わると、
今度は舞台監督さんからの
劇場入りの朝からの
タイムスケジュールの説明があり、
ピリッ!と引き締まった空気の中、
18時ちょうど、「総通し稽古」を始めた。

「総通し稽古」なので、
当然ながらどんな事があろうとも
芝居を止めるなんて事はしてはいけない。

各セクションのスタッフさんが、
経験と勘を最大限に働かせながら
イマジネーションを膨らませ、
我々の芝居を注視しているのだから、
衣裳の早替えは勿論の事、
場面転換も含め、芝居の間合い等、
全て本番通りに行う。

この時の私は、スタッフ目線7割で
芝居を観ていたので、役者が行う芝居は、
それほど集中して、
観る事は出来なかったのだが、
芝居そのものは、
まずまずだったように感じた。

その後、「総通し稽古」を終えての
スタッフ会議では、役者の登場を
変えた事によっての、
客席フロアーから舞台面にかかる
階段の位置はどこにするか?の対策や、
場面転換時の照明の変化、
音響さんの音を入れるタイミング、
そして音響さんの操作盤を設置する
場所に至るまで、ありとあらゆる
舞台スタッフサイドでの
詰めの話し合いを行った。

翌日、稽古場にて行う稽古の最終日。
12時45分、平野カーに超満載の
道具類を全員で手分けして運び込み、
昨日の総通し稽古での気になった箇所の
抜き稽古を約1時間半ほど行い、
15時30分、最終通し稽古を開始する。

特に大きなミスもなく、
ダメを出す箇所も断然少なくなったので、
本番も控えている事だし、
1時間の休憩を摂ったあとは、
打ち合わせ程度の稽古を行って、
早めに稽古を終えようかな?と思いつつ、
時計に目をやると・・・
もう1回、通せる時間はあるって言えばある。

「これから1時間の休憩を摂ったら、
18時30分なんだけど・・・
2時間の芝居なので、
もう1回通せるって言えば
通せるんだけど?どうする?」

と遠慮がちに皆に聞いてみたら・・・

聞くまでもなかった!
だれーも、「えっ?また通すの?」って
表情になんてならず、
むしろ!体中から
炎があがっている皆の姿がそこにあった。

という事で、急きょ!
最終通し稽古の、
さらに最終通し稽古を行う事にしたら、

昼間の通し稽古が
かなりいい感じだったので、
油断したのか?細かいミスを
連発する役者が数名いた。

そこで厳しめのダメ出しを行ったあと、
片付けを総がかりでテキパキ行い、
身支度を整え、あとは帰るばかり
という何もない稽古場の床に皆で座り、
「どーしても気になる箇所」
の抜き稽古を、退出時間の
ホントにギリギリまで行ったのでした。

いよいよ
25日、麻布区民センターに乗り込み、
そして26日からの本番に挑みます。
ご都合がつくようでしたら、
ぜひとも、劇場へお越しくださいね。

詳細はこちら・・・

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