Page15–「本番直前の稽古で。」
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団長の独り言 2024.7.14
7月14日(日)
「本番直前の稽古で。」
本番直前の土曜日、日曜日。
この日も13時から21時30分まで
稽古を行った。
両日とも、
本舞台とほぼ同じ寸法の取れる
大きな稽古場での稽古。
これは本当にありがたい事。
もちろん狭い稽古場でも、
集中すれば
ちゃんと稽古は出来るのだが、
実寸のとれる稽古場だと、
やはり動きが
全然違ってくるんですよねぇ。
こうした大変恵まれた環境の中で、
本番どおりの
衣裳を身に纏った役者達は、
最後の調整となる「通し稽古」を、
この2日間で3回行った。
昨日の土曜日、
まずは通し稽古を行う。
私は仕事があり、稽古場到着が
13時50分くらいになったので、
通し開始時刻を14時00分から
14時30分に変更したけれど、
みなは13時前には稽古場に集合し、
各自衣裳を着たり、
メイクをしたりと準備万端。
そこへ私が到着したので、
全員で平野カー満載の道具類を
手分けして部屋の中に運び込み、
慣れた感じで
「テーブルを組み立てる」、
「小道具を並べる」、
「大道具の位置関係の距離を
測り印を付ける」、
「ピアノを組み立てる」
等の作業を手際よく行い、
あっというまに、稽古場用
「ふたりのゆめ」の舞台が完成。
時間が惜しいので、
10分間の休憩を挟み、
予定開始時刻よりも15分も早い、
14時15分、通し稽古開始した。
前回の「団長の独り言」に
「土曜日病になるな!」
という事を描いていたのは、
当然ながらメンバー達も
読んでいるはずなので、
「さぁーてと」と思いながら
私は演出席に腰を下ろし、
固唾を飲んで(大袈裟)、
始まった芝居に
全神経を集中させると、
おっ、おっ、
いいじゃないですかぁ!
土曜日病の現象が出る時は、
出だしから「ダラダラ」なのだが、
この日は
声も出ていてテンポもいいので、
期待が出来る。
出だしがいいと、
その後もいい感じで進んで行くもので、
みんなこれまでのような予定調和の
嘘くさい芝居じゃないものがドンドン出て、
なかなかいい感じで「通し稽古」を終えた。
そんな中、唯一気になったのが、
ある役者の芝居。
何度となく稽古を繰り返してきたが、
なかなか芝居が安定しなくて、
いい時は本当に面白くて最高なのに、
悪い時は相手役を道連れに、
ドンドン落ちていってしまうという事の
繰り返しだった。
この日は「悪い時」に当たってしまい、
まるでしっくりこなかった。
そこで夜の抜き稽古では、
その役のキャラクターを
思い切って変更するという冒険に出る。
ただ・・・時は最終通し稽古の段階。
キャラクター変更というのは
かなりリスキー。
だって数か月間もの間、
試行錯誤を繰り返し、
ようやくそのキャラクターを作り上げて、
これまで稽古してきたのに、
本番まであと僅かのこの時期に、
キャラクターを変えるなんてのは、
普通はありえない。
でも、だからと言って、
安定しないキャラクターを演じ続けて
もらうわけにもいかない。
一か八か!
これまでの「柔らか系」芝居を捨て、
真逆の「固い系」芝居で演じて貰ってみた。
すると!
うそでしょ?ってくらい声も出るし、
芝居もオーバーアクションだけど、
なんだかいい感じで、
これまでその役の人物の安定しない芝居に
やや振り回させていた感のある相手役も、
とても活き活きした芝居へと変化する。
もうこのキャラクターに賭けるしかない。
そこで夜の稽古では、
時間の許す限り何度も何度も
その役者の絡む箇所の稽古を行った。
そして迎えた、本日日曜日。
本稽古の最終日、
14時から通し稽古を行えば、
キャラクターを変更したキャストも、
他のキャスト達もすごく集中していて、
これまで湧いてこなかった
役の人物としての
感情も出てきたみたいで、
観ている方もグイグイと引き込まれ、
特にこれと言ったダメを出す事もなく終了。
しかし当のメンバー達は、
どうも消化不良な感じ・・・。
時計に目をやれば、
1時間の休憩をとっても、
夜の部の稽古で、
もう一度通し稽古を行う時間はある。
でも、昨日も長時間に渡り、
かなりハードな稽古を行い、
昨日の疲れの残った状態で、
今日も昼間から通し稽古を行って、
その上、
夜も通し稽古を行うというのは、
精神的にも体力的にも相当キツイ。
それでも、
「もう一度通しをやりたい!」
「出来ます!」「やりましょう」
という声が上がる。
「いやぁ~
もうキツイからいいですよ」
なんて雰囲気はまるでない。
連日の昼夜稽古で、
皆の身体は相当キツイはず・・・
それは私だってそうだ。
ヘロヘロのクタクタ・・・
それでもちゃんと衣裳を着て、
もう一度「通し稽古」を行いたい!
という「熱意」。
恐らくみんな、
相当「無理」をしているはず。
それでも
納得いくまでやりたい!
という、その精神力はすごい。
「無理しなくていいよ」
という優しいようで実は
「逃げの甘い言葉」は、
みなのモチベーションを下げるだけ。
「無理しない程度に楽しんで
お芝居創りましょう」
「自分達でも出来る範囲で
いいのでやりましょう」
というほうが今のご時世、
うけがいいかもしれない。
でもなぁ・・・そんなポリシーの
団体のお芝居だと、
結局「無理しない程度」
のモノになるような気がする。
世の中、なんでもかんでも
「無理しない生き方」
が推奨されているから、
大きな声じゃ~言えませんが、
だけどなぁ~
本気で上を目指すには、時として
無理しなきゃいけない場合もあると、
私なんかは、こっそりそう思っている。
「無茶をする」のはダメだけど、
本番直前のこの時だからこそ、
己を追い込み、精一杯芝居と向き合い、
来るべき本番に挑むのでありました。


