Page9–「新鮮な舞台セット!」
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団長の独り言 2025.03.09
3月9日(日)
「新鮮な舞台セット!」
先日、「公演のご案内」の
郵送作業をみんなで行い、
無事に発送する事が出来た。
すると、ウェブや電話での
チケットのお申込みが続々と入る!
電話でのお申込み一番乗りは、
熱烈な
劇団ふぁんハウスのファンの方で、
思わず、
「〇〇さん、いつもありがとうございます」
とご挨拶をさせていただくと、
「覚えてくれているんですね!
ありがたいなぁ~
毎回楽しませてもらってます」
と言って下さる。
いえいえ!
ありがたいのは我々だ。
この方の他にも、
「公演のご案内」が届くと、
「待ってました!」とばかりに
ウェブや電話で、観劇のお申込みを
して下さるというのは
本当にありがたい。
「ちゃんとしたものを創らねば!」
と身を引き締め、
昨日も今日も稽古に励む。
先日、
舞台美術の三井優子さんから
舞台の図面が届いたのだが、
「こ、これは!?」
というのが観た瞬間の感想。
まず驚いたのは
受付カウンターと階段の位置。
「夏の夜空へ」という作品は
2007年5月、
赤坂区民センターで初めて上演し、
その後、
2013年1月、板橋区立文化会館にて、
キャストを大幅にチェンジしての再演。
そして今回、再演時からは12年ぶり、
初演時からだと
18年ぶりの上演となるわけなのだが、
「初演」も「再演」も
受付カウンターの位置というのは、
舞台奧のややセンターにあり、
正面を向いていた。
階段も、
これまでは舞台奧の中央にど~ん!と
客席を向いて設置されていて、
数段登ったところに踊り場があり、
そこから更に上がるための階段が、
上手方向に(直角)数段あるという
造りになっていたので
正面を向いた階段の踊り場は、
ミニ・ステージのようだった。
その配置が「夏の夜空へ」の
当たり前だと思っていたものだから、
今回も図面をオーダーする際、
深く考えもせず、
自然と昔の
舞台セットのような感じのモノを
三井さんにオーダーをしていたし、
稽古に関しても、
昔の舞台セットのイメージで
動き等も付けていた。
しかし!今回三井さんが
考案して舞台セットというのは、
これまでの「夏の夜空へ」とは
まるで違う舞台セットなのだ。
受付カウンターは真横を向き、
階段も存在感を消す感じで
舞台中央の奧に横向きに設置されて、
そのまま上手奧へと登っていくスタイル。
そして何より斬新だったのは、
玄関を入ると土間で靴を脱ぎ、
受付カウンターや、事務室、
客間へと向かうという
設定になっていた事。
これにはかなりの衝撃を受ける。
だって、これまでの稽古では、
靴を脱ぐ動きは
誰もやっていないからね。
でも三井さんの注釈によれば、
「脚本のイメージする旅館だと、
玄関を入ると土間があり、
靴を脱ぐと思うのです。
土足のまま受付カウンターに行き、
そのまま客室に行くとなると、
ビジネスホテルのように
なってしまうと思うのですが・・・」
と描いてあった。
そーだよ!
人里離れた山間の温泉旅館って、
「ガラガラガラ~」って横引の扉を開けると、
まずそこに土間があり、
靴を脱いで受付に向かうよね!
靴のまま受付して部屋に行くスタイルだと、
おっしゃるとおり、ビジネスホテルだ。
これまで、なんでそんな事に
私は気づかず「夏の夜空へ」を
上演していたんだろう!
そういえば、11月に伺った
山形の山寺駅にある「旧山寺ホテル」
ですらも、玄関で靴を脱いで入ったよね。
ただ・・・最初、
図面を見せた他のメンバー達からは、
「靴、脱ぐとか、履くとかがあると、
動きに手間取ります」
等の意見も結構あった。
確かにそうだろうけれど、でもね、
それもこれも全て役者の都合なのであり、
「古びた旅館」のお芝居をするのだから、
靴を脱ぐ芝居があったほうが絶対にリアルだ。
それにカウンターも階段も、
三井さんが考案した位置関係のほうが、
整合性が取れていて、
何よりメリハリがあって「面白い」。
「再演の作品でも新たなる芝居を!」
なーんて毎回思っているのに、
知らず知らずのうちに、
18年前の作品のイメージを
追いかけていた自分に反省する。
折角、「新しい作品」として
上演するのだから、
過去に囚われていては、
なんの進歩もない!
私は三井さんのデザインの中で
生活しよう!と決めた。
しかし、段差のある土間に関しては、
目の見えないメンバーで、
初舞台の生島君の事を考慮して、
彼演じる「酒屋のしんちゃん」が
動く範囲内には、段差がないように
土間の広さを変更してもらった。
さぁ!そうと決まれば、
これまでつけていた動きを
全て変更していかねばならないので、
昨日は前半、今日は後半と
「靴の脱ぐ履き」も含め、
役者の立ち位置や
出ハケ(登場・退場)等、
三井プランに合わせて
徹底的にやってみると!
これまでは、
奧にある受付カウンターが
真正面に向いていたがために、
カウンター内で
芝居をする役者がいると、
他の役者達は、
カウンターの前を隠さないように
わざわざ真ん中を開けて
芝居をしなきゃいけなかったのに、
今回のカウンターの位置ならば、
カウンターそのものもが
一段高いところにあるし、
正面を向いてもいないので、
「カウンター前を意識して開ける」
とか、そんな不自然な事はしなくていいし、
それより何より上手側の旅館内部全体が
一段高くなった事により、
芝居全体が立体的になった。
舞台セットの位置が
全く新しいものになったのだから、
芝居そのものも、過去にとらわれず、
新しいモノを取り入れなねば!と
脚本を読み返す団長でありました。