Page10–「セリフカットは辛いねぇ」
『団長の独り言』PDFファイル(A4サイズ)
↓ こちらからダウンロードできます。
団長の独り言 2025.03.16
3月16日(日)
「セリフカットは辛いねぇ」
土日、昼夜連続稽古の時期となった。
13時~21時まで
ぶっ通しの稽古なので、
かなりじっくりと芝居と向き合える。
これまでは、
「何をしてきたの?」
っていうくらい
進歩も向上もない稽古が続き、
ただただセリフに振り回されながら
「決まった動きを辛うじてこなしている」
という状態だった。
しかし、
さすがにこの時期ともなると、
「決まった動きを辛うじてこなしている」
というような
芝居をしているメンバーに対して、
「しょうがないか」なんて、
悠長な事は言っていられなくなり、
気合い入りモードで稽古に挑む。
まずは昨日の稽古、
欠席者はゼロ!
時間を有効につかうべく、
定刻13時、稽古を開始する。
この日から
昼夜連続稽古だというのに、
広い部屋の予約が出来ず、
やむなく「狭い部屋」を借りての
稽古となった。
いや、でもね、「狭い部屋」とは言えども、
27年ほど前の
劇団ふぁんハウスの記念すべき
第1回公演の時、メイン稽古場として
使わせていただいていたのが、
こちらの部屋なんだよねぇ。
その後、
第2回か第3回公演くらいまで、
そこの部屋で
稽古を行っていたかなぁ?
それでも当時は、
「狭い」なんて全然思わず、
むしろ「ちょうどいい」って
思っていたからねぇ。
それが今や、同じ部屋が
「狭い」って感じるんだから、
劇団ふぁんハウスも
随分と進歩したもんだと思うが、
狭い部屋だからと言って、
稽古が出来ないなんて事は全くない。
要は集中力の問題。
ちゃんとした施設で、
昼夜ぶっ通しの稽古が出来るという事に
感謝をしつつ、
部屋のレイアウトの工夫をして、
早速稽古を始める。
芝居の最初、
「幕開き」から前半を通してみたが、
どうにもこうにも
相変わらず「テンポ」が悪すぎ。
「えー」「あー」「うー」という
セリフを思い出す
変てこな「間」が調子を崩す。
折角いい調子で進んでいても、
1人が「えーっと」を言えば、もうダメ。
全体的にガタガタと崩れてしまう。
それでも、どうにかこうにか
昼は前半、夜は後半とちゃんと?
通す事は出来たものの、
先行き不安を抱えて、
本日、日曜日の稽古を迎える。
今日の稽古場は、
昨日とはうってかわって、
とても広々と使わせていただく
お部屋をお借りする事が出来た。
ちょうど、舞台美術の三井さんから
正式な図面が届いたので、
メジャーを使い、
実際の舞台セットの寸法を測り、
ビニールテープで床面に印を付ける。
奥行はさすがに実寸ってわけには
いかなかったけれど、
間口はしっかり本番通りの
寸法が取れたので、
舞台図面どおりビニールテープを貼ると、
結構広くて、いい感じ。
これなら、
芝居の距離感を掴む事が出来る。
しかも決定稿の平面図によると、
靴を脱ぎ履きする際の
「すのこ」も玄関付近に登場し、
こりぁ~面白い。
ワクワクする舞台セットの中、
まず1幕から行えば、
昨日散々だったけれど、
テンポが程度良くなっていて、
一応はちゃんと観られた。
1人がテンポいいと、
一人、また一人と、
次から次へとポンポンと芝居が
いいリズムで進むので、
観ていて引き込まれる。
ただ、「これは期待できるぞ」と
安心したのもつかの間・・・
10分間の休憩を入れて、
2幕の通しをおこなえば、
セリフはつっかえつっかえになるわ、
ぼーっとしている人はいるは、
セリフのない時は能面のような
顔で突っ立ったまんまの役者はいるは・・・。
挙句の果てには、1回しかやっていないのに、
「衣裳の早替えが出来ないです」
と言う堂々と「出来ない」を主張する
役者までいる始末。
なんの努力もしようともせず、
いきなり「難しい」「出来ない」と言って、
諦める人ってのは、
私の感覚では信じられないが、
残念ながらそういったメンバーって、
過去にもいたので、
今更
「そんな逃げ腰で、お客様に
満足していただける芝居が出来ると
思っているのかぁ!芝居を舐めるな!」
って事は言いませんけど。
何せ今は、怒鳴ってはだめ。
「褒めて、おだてて伸ばす時代」
だそうですからねぇ。
しかし、こうした
まるで「やる気」のない役者達が
演じているので、
案の定、時間は伸び伸び・・・。
「テンポ良く!」と言い続けてきたのに
この時期でもこの体たらく・・・
しょうがないので、
台本のカット作業に入る事にする。
今回は平日の夜公演があるので、
休憩入れて2時間以内の
芝居にしなきゃ、劇場の
「完全・退館時間」ってものにも
影響してくるので、
何が何でも、2時間以内に
公演を終わらせねばならない。
休憩を入れなければ
なんとかなるかもしれないが、
劇団ふぁんハウスのお客様にとって、
今や「休憩」は絶対に必要なもの。
セリフや場面がカットになった役者は
悔しいだろうけれど(特に出来ている役者)、
それ以上に作家である私は
もっと悔しい!
必要だから描いたのに、
脚本の場面をカットするのは
身を切られるのと同じくらい辛い。
あのシーン、このシーン、
あのセリフ、このセリフも
お客様に届けたかったのだが、
しょうがない。
ここは気持ちを切り替えて、
楽しみにして下さっているお客様へ、
最高の作品お届けするためにも、
気持ちを引き締めていかねば!