Page4–「脚本を超えた芝居」
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団長の独り言 2025.07.06
7月6日(日)「脚本を超えた芝居」
いつものように稽古場に到着。
外はうだるような暑さだけど、
会館に入ると、おおお~涼しい。
2階に上がると、
集合時間の30分ほど前で
あるにも関わらず、
数名のメンバーが
すでに到着していている。
「皆さん、早いねぇ~」
「暑いですからねぇ~」
「そうだねぇ~」
なんて挨拶を交わしつつ
雑談をしていると、
部屋に入ってもいい時間となったので、
稽古場となる部屋へ。
入った瞬間、ムッとする暑さ。
すぐさま、部屋にある個別空調の
スイッチを入れると、
エアコンから「風」が出る。
やれやれ・・・と思いながら、
テーブルを移動して椅子を片付け、
稽古の出来る状態にするが、
この時点でもまだ部屋のムッ!は、
収まらない。
それほど外の気温が高く、
湿度もあるのだろう。
にしてもだ・・・
この部屋の中の暑さは異常すぎる。
そこで私は稽古が始まるまでの間、
ロビーのテーブルに腰掛け、
飲料水を飲み、台本に目を通しながら
稽古開始までの時間を過ごす。
やがて稽古開始時間となったので、
稽古場に戻るが、なんだかまだ暑い。
エアコンの設定温度が
27度になっていたので、
22度に下げてみる。
ちょっと涼しい風が
出てきたような気がしたので、
稽古を開始する。
この日は
シーン1から順を追って、
事細かに芝居を付けていく予定なので、
まずは幕開きから・・・。
静かな曲が流れ、
「三浦知世」演じるゆみさん(ますだゆみ)が、
コーヒーカップ片手にゆっくりと登場し、
哀愁を帯びた雰囲気を出しつつ
椅子に腰かけると、場面が変わり、
アップテンポの曲が流れると、
あざみさん(岡本あざみ)と
澤さん(澤仁英)が、
「オッチニー」「オッチニー」と
掛け声をかけつつ、元気に登場する。
ここ最近の澤さんは、
ぎこちない「あちゃ~」といった
芝居を個性に変えて、いい感じで
表現出来るようになり、
なんとなくいい雰囲気となっているし、
あざみさんも、
前回の「元気ハツラツ吉野さん」の
パワーに磨きがかかり、
幕開きのシーンは、
すごく楽しい感じになってきた。
ただ演じる皆さんの芝居が
エネルギッシュになればなるほど、
部屋の暑さも増してきて・・・
どうしようもない状態にまでなる。
稽古を見ているメンバー達も、
センスを取りだす者もいれば、
額に流れる汗を拭うものもいる。
さすがに限界なので、稽古を一旦中断。
みんな堰を切ったように口々に
「暑い~」とぼやき始め、
エアコンの吹き出し口に手を当てると、
冷たい風は全く出ていない。
「エアコンの故障?」
おいおい、勘弁してちょうだいよ。
稽古開始直後からエアコンの
故障なんて洒落にも
ならないじゃないか!
部屋を代えてもらうにも、
この日に限って
部屋はどこもいっぱい。
これは我慢して
稽古するしかないのか?と
半ば諦めて、
エアコンの操作盤を
恨めしげに眺めていると、
ゆみさんがスタスタ寄ってきて、
操作盤を見るや否や、
「暖房になってます!」
と叫ぶ。
ええええ!本当だ!
気温が35度とか36度の時に、
エアコンを暖房にすれば、
まさに蒸し風呂状態だったわけで、
そりゃ~暑いはずだわ。
真夏に暖房!
想像してみてくださいな。
そんな中で芝居をしていたのだよ。
一旦、エアコンの電源を切って、
設定を「冷房」に変更して、
再度電源を入れると、
ふぁ~っと、生暖かい風が出て来たあと、
やがてその風が冷風へと
変わっていくじゃないですか!
「冷たい風が出た!」
部屋には歓声が上がり、
みな大喜び。
それにしても、
何故に「暖房」の設定になっていたのか?
そこは不明だけど、何はともあれ、
稽古場が涼しくなったのは、
本当に良かった。
あの暑いまんまだと、
とてもじゃないが
稽古どころではなかったからね。
貴重な稽古時間が無駄にならずに
済んだと胸を撫で降ろし、稽古再開。
さて、今回の座組は
「芝居とは何ぞや?」
を知っているベテランさんが多く、
私の演出意図を瞬時に理解してくれるので、
こちらとしても、さらなるアイディアが
次から次へと浮かび、
その都度、思いついたダメを出すと、
ちゃーんと私の思うとおりの、
いや!思う以上の芝居を演じ、
その変化を受けた相手役も、
技量があるものだから、
リアクションも変化し、
その変化した芝居で、
「知世」演じるゆみさんに絡んで行く。
ただ・・・当のゆみさん、
最初は前回通りの芝居で、
(去年の『ふたりのゆめ板橋公演』)普通に返し、
折角の変化した二人の芝居を、
受ける事が出来ていない。
そりゃ~あまりにももったいない。
そこで「過去の芝居をなぞらない。」
「もっと間を取って。」
「間を取るのを恐れない!」
「まだ!もっと」
と、ひたすら間を取るようにダメを出と、
あら不思議!
とてもリアリティーのある芝居が
そこに生まれ、
「知世」の感情が、
観ている人を惹きつける。
このシーンを描いた時は、
特に深い意味もなく、気持の赴くまま、
キーボードを打っていたのだが、
実は大きな意味のあるシーンであったんだ!
と脚本を描いた本人なのに、
このシーンの重要性に驚く。
それもこれも、
役者達の脚本を超えた、
素晴らしい芝居のおかげ。
こりゃ~この先、益々楽しみだ。
次の稽古では、どんな発見があるのかな?
「ふたりのゆめ」は、
ますます進化するのでした。


