Page9–「前半・後半に分けて通してみました。」

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団長の独り言 2025.12.21

12月21日(日)
「前半・後半に分けて通してみました。」

この土日の稽古で、
土曜日に後半、日曜日に前半を通してみた。
通して芝居全体を見てみると、
これまで行ってきた「抜き稽古」では
見えなかった「不自然な芝居」が結構あった。

何度も何度も各シーンを繰り返し、
丁寧にやって、動きも芝居も何度も修正し、
演じる役者と話し合いをしながら
各シーンを作り上げて来たのに、
いざ通してみると「?」ってなるんだから、
芝居は通してみなきゃ分かんないよね。

今日の稽古でも、1幕の初っ端から
芝居を止めたいという場面もあったけれど、
「通し」って事でグッと抑え、
ひたすら「ダメ出しノート」にダメを記し、
さらに芝居を進めて見ていくと、
他の場面では通し稽古の良さも出てきて、
「役の人物に魂が入った」
とでもいうのかな?活き活きした人物達が、
物語の世界を縦横無尽に駆け巡り、
引き込まれるシーンもあった。

だからこそ余計に
「不自然な芝居」が目につくってもので、
ラストのクライマックスシーンなんかも、
何度も何度も繰り返し行ってきて、
「よっしゃ!完璧じゃ!」
と思っていたにも関わらず、
昨日の通しでは「なんか違うなぁ」
と感じてしまった。

これが「通し稽古」ってやつ。
「抜き稽古」で出来たからと言っても、
必ずしも「100点」ってわけではなく、
本番を想定した「通し稽古」を行って、
初めて見えてくるものって意外とある。
つまり、「通し稽古」と「抜き稽古」では
緊張感やリズム、そして間合いとかが違うので、
実戦(本番)を想定した「通し稽古」は、
とても重要なんだということが、
昨日、今日の稽古でもよーく表れていた。

そういえば、今、
巷ですごい数の「演劇ワークショップ」ってものが
開催されているけれど、
そこでのレッスンの中には、
エチュードという寸劇もあったりする。

ただそのエチュードってのは、
役者のスキルアップが目的なので、
いくら本格的演劇プロジェクトの
ワークシップとはいえども、
実戦(本番)を想定した「通し稽古」とでは、
緊張感や相手役のと間合いとかは、
やはり違うと私なんかはそう思う派。

それは
劇団ふぁんハウスで毎回開催している
ワークショップも例外ではない。
特にふぁんハウスの場合、
どこぞの
本格的演劇なんちゃらワークショップのように
「短時間で確実に芝居が上手くなる」
という魔法のような事は謳ってはいない。

「演劇を体験してみたい」
「楽しくお芝居ってものに触れてみたい」
「身体を使って表現するってことを
体験をしてみたい」等の
「お芝居を楽しみたい」という事を
目的とした演劇ワークショップなので、
毎回「笑い」と「温かさ」を意識しつつ、
充実感を味わってもらうように努めている。

そんな劇団ふぁんハウスの
ワークショップではあるが、
受講生の中から、実際に出演者として
参加してくれた人は数多くいる。

その皆さんが口を揃えるのは、

「劇団ふぁんハウスの
ワークショップのレッスンと、
公演の稽古って全然違いますね」

という事。

お客様から入場料を頂戴して
お芝居を
ご覧いただくのだから、
「自分のため」に参加するワークショップと
「本番のため」の稽古では、
まるで違ってくるのは無理もない。

そういえば過去に、
劇団ふぁんハウスワークショップ
受講生の方で、すっごくセンスが良くて、
いい芝居をする人がいたので、
「ぜひ!劇団ふぁんハウスに出演を!」
とオファーをしたら、
「本公演は色々と制約もあるし、
稽古に毎回参加するのは煩わしいし、
何より失敗すると、お客様はもちろんの事、
共演者の皆さんにも
迷惑をかける事になるので、
僕はワークショップしかやりません。」
という人がいた。

なるほど、そういうお芝居の楽しみ方も
あるのかぁ~と妙に感心した記憶がある。
それはそれで「趣味」として、
演劇ワークショップを
楽しんでいるのだからいいと思うし、
そういう
演劇との携わり方をする人もいるんだ!
と新鮮な気持ちになった。

話がかなり脱線したけれど、
だから「抜き稽古」やエチュード等と、
通し稽古では、
緊張感が違うって事なんだけど、
では抜き稽古はやる必要はないのか?
と言えば、全くそんな事はなく、
抜き稽古の積み重ねがあったからこそ、
ようやく「通し稽古」にまでたどり着く。

そりゃ~商業演劇のように
稽古期間が短くて公演期間が長ければ、
本番の中で修正していくので、
さほど「抜き稽古」には
時間をかけないけれど、
やはり芝居の稽古の基本は
「抜き稽古」を丁寧に行う事だと
私は思っている。

「抜き稽古」で悩み苦しみ、
そしてドキドキしながら
「通し稽古」を行って、
よりいいものにすべく修正を施して、
また「通し稽古」に集中し、
ようやく本番に挑む!というのが、
芝居の創り方だと思っている。

こんなやり方も、
なんでも合理的な今の時代では
古臭いって言われるのか?

なぁ~んて事を考える暇もなく、
劇団ふぁんハウスの
稽古は続くのでありました。


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