Page22 –「疲れも吹き飛ぶ稽古」

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団長の独り言 2023.01.15

「疲れも吹き飛ぶ稽古」

前回の稽古は全くもって
お話にならなかったので、
危機感を持った私は、
相当激しい口調でダメを出し、
厳しい稽古をおこなった。

それから約6日間経っての昨日、
果たしてどうだろうか?
緊張感を持って稽古場に到着すると、
全メンバーはすでに顔を揃えている。

いつもの私ならば、
稽古開始前にたわいもない雑談をして、
みんながなんとなく笑顔になったところで
稽古を始めるのだが、
この日はそんなゆとりはない。

開始時間ちょうどになったので、
余計な話は一切せず、
殺陣の稽古から開始する。

まずはメンバーが撮ってくれた
立ち回りの動画をみんなで見ながら、
各自のダメな箇所を指摘し、
その部分の抜き稽古を何度となく行うと、
なんとか形になったので、今度は音に合わせ、
約2分弱の立ち回りを行うと、
スピードが出てきて迫力も増してきたが、
それでも、まだまだ・・・

刀さばきを確認しながら
何度となく繰り返すと、
いい感じになってきた。

こうなると、もっともっと立ち回りを
やっていたいところではあるけれど、
立ち回りばかりやっているわけにも
いかないので、流れ落ちる汗をぬぐいながら
本稽古に入る。

役者達も前回の稽古で、
さすがに危機感を持ったのだろう。
休憩もそこそこに、
2幕の最初から演じてもらうと、
前回とは全然違う
集中した芝居でスタートする。

ちょっとだけホッとしつつ、
次のシーン、次のシーンと、
とにかく先へ先へと進めていく。

始まる前は、
かなり憂鬱で気の重たぁーい状態で
稽古場に来たけれど、
約3時間の稽古終了時には、
清々しい気持ちで終える事が出来た。

そして本日、日曜日。
今年に入ってからDIYで製作していた
組み立て式の稽古用テーブルが
ようやく完成したので、
稽古場に持ち込む。

以前稽古用として使用していた
折り畳み式のテーブルはあったけれど、
平野カーに積み込む際、
何となく積みづらかったので、
「久美・美容室物語」で使用した
舞台セットの廃材を利用して、
ボルトで締め付ける形式の
組み立てテーブルを作ろうと
昨年末に思いつき、今年に入ってから
製作に取り掛かった。

天板は十数年前に上演した
「人生芸夢〜私の青空〜」
の時に使用したものが倉庫に眠っていたので、
それを利用して足さえ作ればいいやぁ〜と
簡単に考えていたけれど、
いやいや・・・舐めてました。

ビス(ドリルねじ)で、
ガッチリ固定するだけならば、
ここまで苦労しなかったのかもしれないが、
組み立て式にしなきゃいけないので、
ドリルで穴をあけ、その穴にボルトを通して、
ナットで締め付けガッチリ固定する
タイプにしようと考えたのだが・・・

これがねぇー意外と大変!
ちゃんと直角を取って、
何度もバランスを測って穴をあけ、
そしていざ組み立ててみるが・・・グラグラ。

そこでまた穴をあけ直し、
新たに木材を買ってきて
下駄を履かすような足を追加で作り、
場所によってボルトの太さや長さを
微妙に変えなきゃいけない事が判明したので、
何度もホームセンターに行って買い直し、

結局、3種類の長さや太さの違うボルトを
計16本使い、ガッチリ立つテーブルを
ようやく完成させ、
意気揚々と稽古場へと向かう。
開始15分前、稽古場へ到着すると、
なんと!!全員集合して
真剣に稽古しているではないかぁ!

「あれ!?俺、遅刻した?」

思わず時計を見直したが、
確かに開始時間の15分前だ。

そろ〜っと扉を開けて中に入るが、
皆私が来た事に気づかないくらい真剣に、
ある場面の稽古をしていた。

劇団活動も25年目だけど、
数名が早めに集まって、
打ち合わせのような自主稽古を
しているって事はこれまでもあったけれど、
全員でガッツリな自主稽古をやっているのは、
恐らく劇団史上初めての事かもしれない。

そういえば確かに昨日の稽古終了時、
恵ちゃんがみんなに呼び掛けてはいたけれど、
それは
「早めに来られる人は早めに来て
少しでも稽古しましょう」
ってな感じだったので、

せいぜい2、3人が集まって、
稽古っぽい事をやるんだろうなぁ〜
くらいに思ってはいたが、
全員が集合して、本稽古と同じ緊張感の中で
シーン稽古をしているのには驚いた!

稽古を中断するのが
申し訳ないほどだったけれど、
稽古で使用する道具類やピアノを
運び込まなきゃいけないし、
私の渾身の作品である
テーブルの組み立て方も
レクチャーしなきゃいけないので、
自主稽古を終えていただき、
みんなで手分けして道具類を運び込み、
この日は休憩時間を取るのも惜しんで、
とっても有意義で、かなり前進した
稽古になったのは言うまでもない。

あっ!テーブル!

「これ稽古用じゃなくて、
本番でこれ使いましょうよぉ〜」

とまで言ってもらえるくらい
好評だったのは、何よりだった。


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