Page3 –「懐かしき稽古場」

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団長の独り言 2023.10.07

10月7日(土)「懐かしき稽古場」

約25年前、
劇団ふぁんハウスが
本格的に活動を開始したのは、
港区にある東京都の施設だった。

そこから約19年間、劇団ふぁんハウスは
そちらの施設で劇団活動を行ってきた。

夜の稽古は元より、
時には朝も昼も平日も!
自主稽古、会議、打ち合わせ、面談等、
ありとあらゆる劇団活動で施設を
利用させていただいた、
いわば劇団ふぁんハウスの
本拠地と言ってもいい施設だった。

しかし、
2017年1月末に上演した
「すぽっとらいとin板橋」を最後に、
拠点を変える事となり、その年の3月、
新たなる地の公共施設で、
劇団ふぁんハウス第二章とでもいうべき
活動を開始した。

それから6年半が経った、
前回公演
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」の
打ち上げの席での事。

たけもっちゃん(竹本和弘)が、

「またあそこの稽古場で、
稽古をやってみたらどないでしょう?」

と思いもよらない提案をしてきた。

最初、私は戸惑ったのだが、
「また出来るかどうかわからんけど、
調べるのもいいかもね」

なんて感じの話をしたら、
翌日、彼は早速電話にて
問い合わせてくれて、話がドンドン進み、

私とたけもっちゃん、
千秋ちゃん(鈴木千秋)とで、
直接施設に出向く事となり、

その後も、
何度となく足を運び、1から手続きを行い、
審査やらなんやらを経て、なんと!
再び利用させていだたく事となったのだ。

6年半も経っているので、
館長を始め、職員の方も総入れ替えしていて、
顔見知りの方はいなかったけれど・・・
ん?当時新人だったAさんが、
「平野さん、ご無沙汰してます!」
って声を掛けて来て下さったのは
嬉しかったなぁ。

ちょうど8月のお盆の真っただ中、
利用させていただく際の説明を受けるため、
館長さんとお会いした際、
劇団ふぁんハウスが25年前から
こちらで活動をしていたという
話をさせていただくと、

「では平野さん達の方が、
私よりもこちらの事はお詳しいですね」

と笑顔でおっしゃっていただく
その言葉を受け、あらためて
この会館と劇団ふぁんハウスの関わりの長さと、
そして劇団の歴史を噛みしめる。

その懐かしの稽古場での稽古初日。
開始時間の30分以上前に到着した私は、
玄関から中に入る前に、
建物を見上げ大きく深呼吸。

たーくさんのメンバー達とここで出会い、
喧々諤々、怒って笑って涙して・・・
解散の危機にも何度か直面したのも
この稽古場だったし、

「もぉ〜いい!ほんまに
今回の公演が終わったら、もう辞める!」

って、稽古中何度も何度も思ったのも
この稽古場だった。

ただいざ本番を迎え、
大勢のお客様から温かい拍手と、
ありがたいアンケート結果をいただくと、
「辞める」なんて気持ちはどこへやら・・・
「よし!次もやるか!」って思い、

私を信じてくれる多くのメンバー達に
支えられながら活動を続け、
港区や板橋区からの
共催をいただくようになり、

さぁ!これからだ!って時に
こちらの施設を去る事になり、
それでも「負けるもんかぁ!」精神で、
メンバー達とともに新天地でも

「熱意とやる気さえあれば、
障害があろうがなかろうが
本物の芝居が出来る!」

っていう
設立時からのスローガンを貫き続け、
いつしか「もぉ〜今回で辞める!」
なんてことも思わなくなり、

まぁー毎回苦労は絶えないけれど、
25周年を迎える事が出来るまでに成長し、
そして!今回、この稽古場に帰ってきたのだ。

感無量・・・って言葉を思い浮かべつつ、
6年半前となんら変わらぬ建物を見上げ、
2階にある稽古場へ向かう階段を
1段1段踏みしめ、稽古開始時間までの間、
自動販売機前の丸テーブルに腰を落ち着ける。

稽古開始10分前、
メンバー達が楽しそうに続々とやってくる。

今、このメンバー達と、
ここで芝居の稽古が出来るってのが
とても不思議だけど、すごく嬉しい!

この日利用するこの部屋というのが、
まさに第1回公演「風に吹かれて」
の稽古を行った部屋なのだ。

その後、劇団の規模が大きくなり、
2部屋ぶち抜きの部屋を主な稽古場として
利用させていただく事になるのだが、
4回公演まではメインの稽古場は
確かここの部屋だったんじゃないかな?

そういえば、前回公演の
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」での
主題歌「夢のとおり道」を作ってくれた
劇団創立メンバーの
佐々木幸重ちゃん(旧姓・藤田幸重さん)も、
ここの部屋の、ほらそのピアノを奏でながら、
稽古を盛り上げてくれたんですよ!

そんな事を想い出しつつ、
未来に向かっての稽古をしなきゃ!
と気持ちを前向きに切り替えて、
キャスト発表後の
最初の読み合わせを開始する。

どの役者も
「ダメだ・・・こりゃ〜」
って感じではなかったけれど、
それでも場面によっては、
ダメを出しまくりたくなる
演じ方をするメンバーが何人もいた。

しかし、今日のところは
好きなように演じてもらいつつ、

「まどろっこしいから、
この長セリフはいらない。」

と感じるセリフは
ジャンジャンカットしていきながら、
ラストのクライマックスシーンを残して、
この日の稽古は終了した。

「果たして面白い作品になるのか?」

それは今の段階での読み合わせでは
なんとも言えないけれど、
本番まで3か月しかないわけで、
ここからはもう、
懐かしい稽古場とか
そんな感傷に浸っている場合ではない。

「熱意とやる気」
でガンガンやって行こうと思うので、
皆さん!頼みますよ。


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