Page8–「テンポ命」
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団長の独り言 2025.03.02
3月2日(日) 「テンポ命」
欠席者もなく、とても
順調に稽古は進んではいるものの、
テンポがねぇ・・・。
セリフを懸命に思い出しながら、
台本を持たないで芝居をしようと
している姿勢はいい事なんだけど、
セリフが「うろ覚え」だから、
思い出そうとする際の
「変な間」が出来てしまい、
中には「えー」とか「うー」とか
入れるメンバーもいるので、
そうなると、
テンポも何もあったもんじゃない。
とりあえず物語は進むが、
テンポが悪すぎて
何をやっているのか?
何が言いたいのか?
全く分からないトンチンカンな
芝居が延々と続く。
これまでは、誰もが
セリフを覚えようと、
必死に演じているので、
テンポに関しては二の次で
稽古を行っていたけれど、
あまりにも
「あ~」「え~っと」
「あっ、ごめんなさい」
を連発するし、
「あ~」「え~っと」がなくても、
セリフを想い出すための「間」が続くと、
とんでもなく
間延びした芝居になってしまう。
かと思えば、
セリフを入れた(覚えた)はいいけれど、
自分の「気持ちのいい間」で演じるがために、
くさーい芝居となり、
その臭い芝居と
「えー」「あー」「うー」の
オンパレードの芝居が重なってしまい、
ひたすらじっと観ている側としては、
まるで「拷問」を受けているかのよう。
こんな芝居を何度繰り返しても
稽古にならないと判断し、
「台本を持ってもいいので、
とくかくテンポよく芝居をして」
というダメを全体に出してみた。
すると、
セリフの怪しい人は台本を持ち、
セリフに自信のある人は台本は持たず、
もう一度、同じ幕開きシーンから
順を追ってテンポを意識して演じたら、
さっきとは
全然違う芝居を観ているかの如く、
めちゃめちゃ良くなった!
いやはや・・・
セリフに振り回されながら演じるのと、
セリフを自分のモノにして
テンポ良く演じるのとでは、
ここまで違うのか?ってのが、
よーく分かる見本を
観ているかのようだった。
幕開きのテンポが良くなれば、
芝居の面白さも顔を出しはじめ、
意味不明の動きをしていた役者達の
エンジンもかかり、
「夏の夜空へ」という作品の
良さがようやく出て来た。
この作品は、
18年前に描いたもので、
過去に2度公演を行っているが、
18年前の初演時も
13年前の再演の時も
芝居への評判は大変よく、
また去年の12月末に行った
ワークショップ発表会で、
この「夏の夜空へ」の
ダイジェスト版を上演した際も、
脚本をかなりコンパクトにして、
「さて!
続きはどうなるのでしょうかぁ?」
とクライマックスはあえて描かずに
終わらせたにもかかわらず、
御覧になられたお客様からの
感想もすこぶる良かった。
それだけに、
自分で言うのもなんなのだが、
「夏の夜空へ」という作品自体は、
結構いい作品だという
多少の自信があったのだが、
今回は、
稽古を重ねても重ねても
全然面白くならなくて、
ちょっと焦り始めていた。
しかし、今日「テンポ良く!」を
第一課題として稽古を進めてみると、
人様にお見せするには
まだまだの芝居ではあるにせよ、
テンポが良くなれば
「面白いんだな」ってのが、
確認出来たのは大きな収穫だった。
にしてもですわ!
稽古もかなり進んでいるのに、
課題が多すぎてもぉ~大変。
例えば、
出演者が一斉に出るシーンで、
特にセリフを言っていない
役者達の立ち位置が毎回の悩みどころ。
「なんでそこに立つかなぁ・・・」
「どーして動かないのかなぁ・・・」
その都度、指示はしているものの、
芝居というのはナマモノなので、
まだ芝居が固まっていない
現時点での段階では、
セリフを言っている役者の動きが、
その都度微妙に変わるんですよね。
その微妙な動きの変化に
臨機応変に対応できずにいると、
「ただ立っているだけ」
の邪魔者になってしまう。
セリフのない時も、
ちゃんと役の人物としてそこにいれば、
まだ多少は観られるのかもしれないが、
「ここにいていいの?」
「あれ?前の時と動きが違う。」
と心の中で思っている「迷い」が、
そのまま芝居に出てしまい、
結果として、
「ただそこにいるだけ」の物体が
舞台の上にいるという状況になる。
迷い!
そうかぁ~出演者達が
セリフを思い出す事もそうだけど、
役作りもそうだし、全てにおいて
「迷いながら演じてる」から、
「夏の夜空へ」が
ちっとも面白くならないのだ。
それもこれも、全ては「テンポ」から。
テンポ良く演じれば、
迷っている暇もなくなるし、
自然と感情も動くはず。
稽古は進んでいるようで、
実はまだ全然「芝居の稽古」が
出来ていないのが現状。
「18年前と13年前に上演した
『夏の夜空へ』の方が面白かった!」
「12月のワークショップ
発表会は良かったけどねぇ・・・」
ってお客様に言われないように、
残りの稽古、
ガムシャラにやりましょうね。