「成長と喜怒哀楽」 福岡美佳
劇団員の須藤あゆみちゃん、二十歳という若さもあり、
すっごくよく笑います。ちょっとしたことでツボに入って笑っていることも多く、
その瑞々しい感性を羨ましく感じることがよくあります。
私も子供の頃は、今思うと何がおかしいのか分からないようなことで
お腹を抱えて爆笑していたものでした。
よく覚えているのが、「カグスベール」という、
家具の移動をラクにするための商品のCMを見て笑い転げていたことです。
「急な客人の訪問に、家の人が慌てて家具を動かす」という内容で、
今見たら特におかしくもない内容ですが、
当時は慌てて家具を滑らせて動かしている様子がおかしくてたまらず、
CMが流れる度にゲラゲラ笑っていたものでした。
あと、天気予報で「全国的に晴れ」ということを伝えている場面で、
「うわー、太陽がいっぱい出てるー!!」とツボにハマったこともありました。
また、小さい頃や若い頃は今よりも泣き虫で、
ちょっとしたことですぐに泣いていました。
幼稚園の頃「雪が冷たい」という理由で泣いていたこともありましたし、
中学生の頃はNHKのテレビドラマ「中学生日記」を見てよく泣いていました。
そして、お芝居を見て泣くことも多く、知人のお芝居を観に行った時は、
泣きながら面会して知人を驚かせてしまうこともしばしばでした。
また、お芝居でダメ出しを受けて泣きそうになることもよくありました。
更に、若い頃はちょっとしたことで怒ったり
不機嫌になったりすることが多かったように思います。
「同級生が信号無視した」
「切り分けられたお菓子が私の分の方がちょっと小さかった」
「政治家が悪いヤツだらけ」等々、様々な理由で怒っていました。
それで周りから「まあまあ」と宥められていたこともよくありました。
でも、近年は喜怒哀楽の振り幅が小さくなってきていて、
大笑いすることや怒ることや泣くことが減ってきているような気がします。
大人になるにつれ、感情をむき出しにすることは良くないと思われる機会が増え、
喜怒哀楽を押し殺すことが多くなり、
それにつれて感情の起伏も穏やかになってきた感じがします。
また、ドラマや映画やお芝居等を見ていて、
「笑わそうとしてる」「泣かそうとしてる」と感じると、
スンッとなって気持ちが冷めてしまい、
笑ったり泣いたりすることが減りました。
ちょっとしたことで泣かなくなったのは、「強くなった」、
怒らなくなったのは「成熟した」とも言え、
笑ってはいけない場面で笑わないことは社会人として必要なことなのかもしれませんが、
その一方で、感性が鈍くなっているのかなという危惧も感じております。
もっと素直な気持ちで物事と向き合い、
気持ちを前に出すことも時と場合に応じて必要なのかもしれない、
そんなことを最近は考えています。
あぁ、久しぶりにお腹抱えて思いっ切り笑いたいし、
泣けるお芝居観ていっぱい泣きたい!!