Page18 – 「安定した芝居を!」

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団長の独り言 2022.01.30

1月30日(日)「安定した芝居を!」

毎朝、ローソンに寄って珈琲を
買うのが日課なんだけど、
何気なく週刊誌販売ラックに目をやれば、
「長渕剛」の文字が飛び込んできた。

大ファンってわけではないけれど、
横浜アリーナのツアーに参戦し、
こぶしを振り上げた事もあるし、
彼の歌「JEEP」に憧れて、
8年ほど前、衝動的に
JeePラングラーを購入してしまい、
ドライブで海岸線を走るときには、
必ず爆音で、
「♪お〜マイ・ジープ〜♪」って
曲に合わせて歌うなんて事をしつつ、
長渕かぶれになった時もあったので、
ローソンに輝く彼の名前に吸い寄せられ、
アリーナツアーを収録した
「DVD」っぽいものを手に取ってしまう。

値段を見ると・・・1800円!
ライブDVDがこの値段は安い!

いつものコーヒーにプラスして
つい購入してしまう。

「剛」にハマっていた頃は、
よーくライブ映像を観ていたが、
最近はご無沙汰していたので、
ちょっとドキドキしながら
パッケージを開けると、
特典の薄ぺらい写真集と
ステッカーは出てきたけれど、
肝心のDVDは、どこをどう探しても
入っていない!

何度も箱の中を確認したけれど、
やっぱり入っていない。

不良品じゃないか!
それなりに楽しみにしていたのに!

怒りを抑え、パッケージの裏に
書かれている文字をよ〜く読んでみると!?

ダウンロードするだと!?
しかも、「スマプラムービー」
とかいうアプリを入れなきゃいけない?
何それ?って感じ。

私の携帯はガラケーなので、
そんなアプリを入れる事は
出来ませんねん。

しょうがないから
パソコンに入れ込もうとしたが、
色々調べると、正規の方法で
パソコンにダウンロードする事も
出来ませんねん!
(裏のテクニックを使えば出来るみたいな事も
ネット情報には掲載されていたが、
なんだか胡散臭いので怖い・・・)

「なんやねん!」
と思わず声を出す私。

つまり私が購入したモノは、
スマホ(もしくはタブレット)でしか、
観られないって事のようだ。
どーりで安いはずだわ。

あのね!パッケージは、
どっからどう見ても
DVDが入っているとしか思えない
箱の大きさなんですよぉ。

なんだか騙されたような心境になるが、
ちゃんと確かめない私が悪い?

「音楽映像を持ち歩ける!」
ってのが売りだそうですが、
別に持ち歩かんでもいいし、
テレビの大きな画面で観たかったし。

しょうがないので、
何世代か前の8インチ画面のタブレットを
引っ張り出し、家のWiFiを使い、
何度か失敗しつつダウンロードして、
ライブ映像を見まして、長渕剛のパワーに
元気をもらいましたがね・・・。

まぁ〜でもね、おかげ様で、
「スマプラムービー」という
時代の先端を知る事が出来たけどね。

そんな時代の先端を走る?
団長・平野恒雄が率いる
今週の劇団ふぁんハウスは、
土日とも昼夜稽古を行いまして、
両日「通し稽古」を行った。

まず昨日の土曜日。
転換スタッフとして活躍してくれる
右近さん、美帆ちゃんが本格的に
合流したので、転換稽古から行う。

「草履を出す」
「テーブルの上の鞄をはける(ひっこめる)」
「美容室の椅子を出す」、
「ベッドを出す」、「ソファーの移動」等の
大小様々な転換が今回もあるのだが、

そもそも平野作品というのは、
やたら場面転換がありまして、
その都度色々な道具類の出し入れを
暗闇の中で素早くやらなきゃいけないわけで、
だから転換スタッフって大変なんです。

前回の
「ざ・クリーンキーパー」の時は、
清掃員控室を大手建設会社の応接室にする
という大転換もありましたからねぇ。
それに比べたら今回は、
それほどの大転換はないにせよ、
転換での小道具の出し入れが結構あるので、
シーンごとに芝居を絡めての確認作業を
徹底的に行う。

本番当日は、舞台が真っ暗(暗転中)に
なった時の作業なので、明るい稽古場とは
まるで環境が違う。

だからこそ、これでもかっ!てくらいの
キチンとした段取りが必要。

少しでも気を抜いてしまうと、
とんでもないミスにつながるから、
スタッフも役者も真剣な眼差しで
転換稽古に取り組む。

その転換稽古を終え、
15分の休憩の後、通し稽古を開始する。

テンポもいいし、間合いもいし、
うん!
この日の「通し」はとてもいい感じ。

見学していた、受付スタッフの
美岐とジュヨン君も、思わず声を上げて
笑ってくれる場面もあり、
それだけ、みなの芝居が
仕上がって来ているって事。

夜の稽古では、
芝居でダメを出した箇所を確認しつつ、
転換稽古もビッシリ行った。

翌・日曜日。
今日は、本番と同じ広さの取れる
部屋をお借りしての稽古なので、
メジャーを用いて、
舞台セットの枠組みを完成させると、
音響の野中君が登場。

彼と最初に出会ったのは26年程前。
その頃の私はプロの役者を辞め、
参議院議員の公設秘書の道もなくなり、
夢も希望も失い、
人生に迷っていた時期だった。

そんなある日、
知人の誘いで目の見えない人達の
朗読サークルに参加する。
そこにボランティア青年の野中君がいた。

物静かで、なんとなく
ミステリアスな雰囲気が漂う青年なのに、
私は彼と意気投合し、自宅にもお邪魔して、
彼の「城」にどーんと積み上げられた
音響機器の数々に
度肝を抜かされた覚えがある。

その2年後、劇団ふぁんハウスを
立ち上げるって事になった際、

「1回こっきりの劇団なんで、
音響をやってくれる?」

って、野中君に気軽に声をかけて
手伝ってもらったのが最初。

愛知県の蒲郡公演も一緒に行ったよね。
宿にある大浴場で湯船に並んでつかりながら、

「1回だけのつもりだったのに、
よくぞ3年間も続けてこれたね。」

なぁーんて、
劇団活動を3年も!続けた事を
お互いにしみじみ語っていたのに、
今年で24年目ですからね。

野中君の芝居を観る目は厳しく、
穏やかだけど、毎回鋭い指摘をしてくれる。

そんな彼が、昼の部の通し稽古を
観終えて開口一番、
「面白いですね」って言ってくれたのが、
私に強い自信を与えてくれた。

ただ、私の中では
まるで満足のいく「通し」ではなかったので、
夜の部の稽古でも、もう一度「通し」を行うと、
ホッと胸を撫でおろす、素晴らしい芝居を
皆さんが演じてくれました。

それにしても・・・
「ダメ」→「素晴らしい」→「ダメ」→
「素晴らしい」の繰り返し・・・
頼みますよぉ。ほんまに。

稽古も残りあと2回!
感染予防に細心の注意を払い、
あと最低でも2回、
稽古場で「通し」を行うわけなので、
「素晴らしい」→「素晴らしい」→「超・素晴らしい」
って続く安定した芝居を、頼みますよぉ。


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