Page6 –「私の芝居の作り方」

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団長の独り言 2023.10.29

10月29日(日)
「私の芝居の作り方」

今はハロウィン週間とかで、
私がウロウロする新宿や池袋の街にも、
すごい衣裳を身に纏い、
そしてすごいメイクを施した
若者らしき人達が歩いている。

どこかの
仮装大会に参加するってわけじゃなく、
変装して歩くのが目的なのか?
良く分からないけれど、
ハロウィン週間になると、
こういう光景を
目にするようになったねぇ。

普段の自分じゃない自分を
演じたい人は結構おるんですねぇ。
ああいうメイクでああいう衣裳で
街を歩くのって、
どんな感覚なんだろうか?
少し興味があるけれど、
「やりますか?」と言われれば、
恥ずかしいので遠慮させていただく。

「舞台であんな大勢の観客の前で、
大きな声で演じる事が出来るのに
恥ずかしい?」
って思われるだろうけれど、
ハロウィンで自分以外の自分になるのと、
舞台上で自分以外の自分になるのとは、
うーん・・・違うと思うんだけど、
いざハロウィンの恰好して街を歩くと、
意外と芝居を演じるのと
同じ感覚になるかも?

機会があればやってみるか?
いや機会があってもやっぱりやらんな。
・・・私は。

そんな話はさておいて、
いよいよ立ち稽古に突入した。

どんな舞台セットにするのかは
構想すらない状態ではあったけれど、
あれやこれや考えながら、
ここが老人ホームのロビーで・・・
その奧に居酒屋門出のカウンターが
出てくるって事にして・・・
応接室はどうしよっか?
真ん中にテーブルセットが
時に居酒屋のテーブルになり、
時に老人ホームのロビーにある
テーブルになるって感じ・・・等々、

場面を追って動きを付けながら、
大まかな舞台セット案が浮かんでくる。

その大まかな、
私が考えた舞台セット案を、
舞台美術の三井さんにお送りして、
ちゃんとした舞台セットを
考えていただくのだが、
早くお送りしないとね。

なにせ、今回の作品を描いている時も、
どんな舞台セットにしようか?とか、
そんな事は一切考えず、ひたすら
物語の世界を描いていたからねぇ。

でも立稽古を行う中で
「あーしてみよう」
「こーしてみよう」と、
なんとなくだけど、
場面転換も含めてのアイディアが
浮かんできたので、
先週に引き続き、昨日、今日の稽古でも、
大まかな役者の出ハケ(登場・退場)を
含めた動きを付けながら、
芝居そのものも見ていくという
稽古を行った。

本来の芝居の作り方としては、
まず「読み合わせ」をじっくり行って、
それからある程度決まっている
「舞台セット」を模した
「仮・舞台セット」を使って、
場面、場面に応じた「荒立ち」という
動きの段取り稽古を行ってから、

いよいよ各シーンごとに
じっくり向き合っていくってのが
まぁーいわゆる
「芝居の作り方」なんだろうけれど、

私の場合は、
読み合わせはささっと済ませ、
すぐさま荒立ちみたいな事しながら、
全く考えていなかった舞台セットの
配置を決めていきつつの、
役者の心情的な芝居も付けつつ、
同時進行でそのシーンごとに
入るピアノの生演奏によるBGMの
入る箇所や曲の雰囲気等も
細かく指示を出し、
結構早いペースで芝居を固めていく。

そして一通り全部のシーンを固め終えて、
何日か後に
その「固めた」シーンをみせてもらうと、
なんだか私のイメージと違う!

ついイライラしてしまい、
「なんでそんな変な芝居するの?」
とダメを出す。

すると
「前回はこう動けと指示を受けました」
「こう演じろと言わました」
そんな答えが返ってくる・・・・。

そりぁ?ね・・・先週の私は
その演出がいいと思ったのかもしれないが、
日にちが経ち、
役者達が脚本に対する考え方を
微妙に変化させたからなのか?
私の体調がいいのか?悪いのか?

前回はそれでいいと思えた芝居が
全然いいと思えなくなる事って
度々あるのです。

すみませんねぇ・・・・

でもしょうがない。
前回、「良し」と思った芝居が
今回は、
すごくへんちょこりんに
見えるんだから・・・

こういう時、何が正しいのかと言えば、
最新のダメ出しが一番正しいって事に
してもらっている。

舞台セット案にしてもそうだし、
演出にしてもそう・・・
とにかく「計算」してないんです
私は・・・

していないというか、
計算が出来ないのです。

「行き当たりばったり」
と言えばちょっと
語弊があるかもしれないが、

その瞬間、瞬間に魅せてくれる
皆さんのお芝居如何では、
セリフ変更は元より、脚本自体も
変更してしまう場合もあるのです。

よく言えば「柔軟性」がある。

ただし!私が描きたい
「芯」だけは変えない。

今回の「ふたりのゆめ」も、
立稽古に入り、今のところ、
みんなも私も、相当もがいてますが、
必ずや!いい作品に仕上げなきゃ!と
心に誓う団長でありました。

(追記)・・・
今回初参加で
バイオリニストの株竹大智君が、
稽古場に来てくれたのだが、
めちゃめちゃいい!ほんまに!
詳しくは次回号にでも・・。


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