「ボレロを鑑賞しました」  ますだゆみ

先日、念願叶って「上野水香オンステージ」を 観に行きました!
実は子供の頃バレリーナに憧れており、友人がバレエを習っていたので
その発表会を見に行き、金平糖の精を踊る姿に感動して涙したこともありました。

今回は地元近くでの水香さんの公演。初めて生で観る「ボレロ」は圧巻でした!
水香さんは日本人女性としては唯一、このボレロを踊る事を許されている方です。

最初の演目は「白鳥の湖」 バレエ作品としてはおなじみですね。
しなやかで優雅な踊りにうっとりしていましたが、
ラストに踊られた「ボレロ」は、打って変わって感情と力強さが溢れる作品です。

この曲には耳馴染みの方も多いのではないでしょうか。
そう、ふぁんハウスの前回作品「人生芸夢」にも登場しましたね。
大きな赤い円卓の上でひとりのダンサーが踊り、その周りを何人ものダンサー達が
取り囲んでいるポスターを見た事がある方も多いと思います。
紐解いてみると、実はこの場所は酒場で、円卓の上にいるのは踊り子、
周りにいるのは酒場の客達と言う設定になっているそうです。
踊り子が静かに踊り出しても、最初は見向きもしなかった酔客が、
やがてその高揚した姿につられて 自分達も踊りだし
最後は全員でクライマックスを迎える!

メロディも振りも、同じ旋律や動作が繰り返されるだけなのに、
なぜこんなにも気持ちが高揚するのだろうと思っていたところ、
設定されていたストーリーも案外単純な事に驚きました。
なのに観るものに感動を与える!
それは演じる側の表現力。 豊かな感情と確かな技術があるからでしょうか。

音楽と身体表現だけで観ている人に「感動を伝えられる」バレエ
「お芝居」も思いを伝える点では同じですが、私たちには「セリフ」という
ツールがあります。それでも「伝える事の難しさ」を感じます。
そこにはもっともっと思いを込めて、心を動かして、丁寧に演じていかねばと
気持ちを新たにしました。

いよいよこの4月から稽古が再開した「ふたりのゆめ」
夏にはパワーアップした舞台をお届けしたい!と、思いながら
心地よい海風に吹かれつつ家路についたのでした。


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