Page3–「新しい『ふたりのゆめ』に向けて」

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団長の独り言 2024.4.21

「新しい『ふたりのゆめ』に向けて」

7月20日(土)21日(日)、
板橋区立文化会館にて行う
「ふたりのゆめ板橋公演」の稽古は、
今日で6回目。

前回公演で「老人ホーム職員・立花」を
演じた四枝美和さんが、
今回の公演では参加しないとの事で、
彼女に代わる「立花」役を探していたところ、
演劇教室に参加してくれた高取英則君が、
やってくれる事となったのは、
以前お伝えしたとおり。

ただ前回の「立花」という役は、
車椅子ユーザーの若い女性という
四枝さんのキャラクターに沿って、
動きからセリフまで、全て彼女の良さを
最大限引き出してもらえるような
演出としていたのだが、

今回その「立花」を、
そのまま
高取君に演じてもうわけにもいかないので、
全く新しい「立花」を創るための稽古を
中心に行ってきた。

彼は本当に努力家で、「役の掘り下げ」を
キチンと行って稽古に挑んでくるので、
私がすこーしのヒントを出せば、
「彼にしかできない立花」
を見せてくれる。
(役の掘り下げ・・・役の人物が
『生い立ちも含めて』どういう人で、
どういう考え方で等、脚本に描かれていない
人物像を詳細に組み立てて、役の人物に
落とし込む事)

すると「立花」と
直接絡む共演者達の芝居も、
シーンごとに動きやセリフも変化して、
前回公演とは脚本こそ同じなんだけど、
全く違う芝居となり、
その新鮮さが私の感性を刺激して、
物語全体を通して、新しい「演出」が
次から次へと湧いてきて、
何だかいい感じになってきた。

あとは変更と言えば、
前回の「麻布区民センター」では
舞台の構造上、舞台袖からの
出ハケ(登場、退場)が出来ない
舞台セットだったのだが、
今回の板橋区立文化会館小ホールでは、
同じ舞台セットを組んでも、
ちゃんと上手(かみて)、下手(しもて)の
舞台袖からの出ハケも可能となる(はず)。

それに、
これも板橋区立文化会館小ホールの
特徴のひとつなんだけど、
上手、下手には立派な花道もあるので、
そりゃーもう、利用しない手はない。

前回以上に
メリハリのある動きにすべく、
場面、場面での役者の出ハケや
芝居を行う位置等も、
その都度変更しての稽古となった。

まだ通しで芝居を行っていないから
何とも言えないが、現時点において、
「芝居」「動き」「セリフ」等の
変更をかなり施しているし、
この先も稽古がすすむにつれ、
今度は、個々の役者の芝居の
内面的な部分も事細かく
指摘していく予定なので
これらかも芝居が代わる可能性大。

ただし、前回の芝居と違ったものにするぞ!
って意識で、無理やり変更しているわけではなく、
再演を行うにあたり、稽古を進めて行く中で、
「なんだか違うよなぁ~」
って思える箇所は
今の感性で変更している。

例えば、今回の稽古をおこなっている中で、
「テーブル」と「イス」の位置が
どうしても不自然に感じた。

確かに前回本番で配置したとおりに
椅子を並べて稽古を行っていたのだが、
なんだか違和感がある。

「なんで前回は、
椅子をこういう並べ方にしたんだっけ?」
「最初、稽古中はずっと、
今と違った位置関係で
椅子とテーブルは並んでいたのですが、
最終通し稽古直前あたりで、
このような位置に変更しました・・・」

という事らしい。

どうしてだろうか?
椅子とテーブルの位置関係を変更した
記憶がまるでない。

でも理由があったからこそ、本番直前に
椅子の位置を変更したのだろうけれど、
現時点において、
この椅子の並べ方は違和感でしかない。

そこで椅子とテーブルの位置関係を
「やりやすい」ように変更してみたら、
絶対にこのほうがいい。

ただ椅子の位置を変えた事により、
前回公演とは違った動きとなったので、
そこも役者の芝居を変更してもらう。

何故に前回の公演で、
椅子をあの位置にしたのか?

これから稽古が進むにつれ、
その答えは出てくるかもしれないが、
今のところ、椅子の位置を
変えたほうがしっくりくるので、
再演作品の稽古を行う上での鉄則通り、

「前回の成功体験をなぞらない」
「新しいものを創る」

ということで、
前回公演にとらわれることなく、
新しい「ふたりのゆめ」の
稽古は進むのでありました。


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