Page6 -「熱意」と「やる気」

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団長の独り言 2021.11.07

11月7日(日)「熱意」と「やる気」

昨日、いつものように稽古場へ到着し
建物に入った瞬間、熱気が!

普段メインとして
利用させていただいている稽古場は、
駐車場が建物の裏手にあり、
そのまま裏口通用口から中に入ると
廊下に沿って右に曲がり、
数メートル歩いて左に曲がって
しばらく進めば、
稽古場となるレクリエーションホールが
あるんだけど、
建物に入った瞬間、
強い熱気を感じたんです。

その熱気は、
稽古場となる部屋が近づくにつれ、
音楽なんぞも聞こえてきて益々強くなる。

集合時間の30分以上前なんだけど、
一体何をしているんだろう?

部屋の中をソローっと覗くと、
メンバー数名で
ダンスの練習らしき事を行っていた。

劇中で披露する
ダンスの振り付けをしていたそうで、
その熱気が廊下を曲がって
通用口のところまで伝わってきたのだから、
大したもんです。

私は劇団を立ち上げた当初から、
何かにつけ「熱意」と「やる気」って
言葉を用いてきた。

「『熱意』と『やる気』さえあれば、
障害があろうがなかろうが
本物の芝居が出来るはずだ!」

というスローガンまで創り、

困難にぶつかる度に、
そのスローガンを己に言い聞かせ、
23年間劇団活動を続けてきた。

ただ長い月日の途中には、
スローガンだけが空回りして、

「もう・・・辞めよっかなぁ・・」

って思った事も何度もあったけれど、
そんな時は、メンバー達みんなの
「熱意」と「やる気」に励まされ、
ここまでやってこられた。

この日も、「久美美容室」という芝居に賭ける
メンバー達の「熱意」と「やる気」が
熱気となって、建物の入口にまで
伝わってたのですよねぇ。

ちなみに、
この「熱意」と「やる気」って言葉は、
エビフライの冷凍食品等で一世を風靡した
「加ト吉」という会社を創業し、
観音寺市長を16年間も勤めあげられた
「加藤義和さん」が頻繁に使われていた言葉。

数十年前、私は加藤会長(当時)と、
多少のご縁があった。

始めてお会いした時、
加藤会長から「自己紹介や」
と言われてちょうだいしたのが、
会長がインタビューを受けた週刊誌や、
新聞の記事等をまとめた分厚い会報。

直接ご本人から頂戴したのだが、
その冊子の中に「熱意」と「やる気」
って言葉がちょくちょく描かれていて、
30代前半の平野恒雄には、
その言葉がド直球で心の中に染み入り、
以来、私の人生訓として
ずーっと寄り添ってきた言葉。

だから23年前に
劇団ふぁんハウスを立ち上げ、
公演を行うにあたって
朝日新聞の取材を受けた際、
何の迷いもなく、
「熱意」と「やる気」って言葉が
劇団のスローガンです!と答えていた。

それ以来ずーっと、劇団ふぁんハウスと
「熱意」と「やる気」って言葉は、
ともに歩んでいる気がする。

その加藤義和さんなのだが、
今年の2月5日、心不全のため
ご自宅でお亡くなりになられた・・・
85歳だったそうだ。

加ト吉という会社も色々な事があって、
今は「テーブルマーク」という
会社になってしまったが、
中学を出て苦労に苦労を重ね、
年商3000億円の会社にまで
された加藤会長。

「あの時に、
あの事やこの事をキチンと
お聞きすればよかった・・・」

という後悔と寂しさが、
今、心の中に渦巻いている。
心よりご冥福をお祈りいたします。

さてさて!
話を劇団ふぁんハウスに戻します。
こうした熱気に包まれた稽古は、
「荒立ち」という
大まかな動きをつける稽古を、
全編を通して行うことが出来、

先週の稽古から、
細かく動きや芝居をつけていく
本格的な「立ち稽古」に突入した。

まだまだ台本片手に演じるので、
動きは随分と制約されるものの、
みんなの「熱意」と「やる気」が
雰囲気を盛り上げ、
おかげ様で
昨日まで稽古してきた物語の前半は、
脚本を超えた「いいねぇ!」って思える
場面が出来つつある。

しかし、今日行った物語の後半の
クライマックスに向かうシーンは、
何度繰り返しても、
どーしても違和感がある。

まるでジェットコースターに
乗っているみたいな急展開すぎる内容・・。

「これではお客様の気持ちが
付いてこれないかも・・・」と、
実際に演じるみんなを観ていて、
そう思ってしまう。

役者の皆さんのせいではない。
完全なる脚本の構成の問題。

私の悪い癖で、欲張りすぎた
展開にしたがための結果なんだけど、
でもなぁ・・・読み合わせの時は
しっくりきたんだけどなぁ・・・

それでも実際に皆さんに演じてもらうと、
これじゃーせっかくの
あのシーン、このシーンも
台無しになる可能性もある。

ここの場面、
大幅に脚本の修正をしなければ
大失敗作品になるやもしれないので、
それこそ「熱意」と「やる気」で
脚本の大修正に着手することにした
団長なのでありました。


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