Page8 -「細かく付ける」

『団長の独り言』PDFファイル(A4サイズ)
↓ こちらからダウンロードできます。
団長の独り言 2021.11.23

11月23日(火)「細かく付ける」

今日の劇団ふぁんハウスは、
前半部分を細かく細かく稽古した。

まず今回の芝居で一番長いシーン6だけど、
何度も何度も繰り返し稽古したが、
なかなか上手くいかず。

それでも根気よく「あの手」「この手」を繰り返すと
「おお!いい感じ」って芝居が現れた。

どうにか、役の人物の個性を
引き出すことに成功したので、
次のシーン7、8、9、10、11、12
と進めていくと、またしても「おやぁ?」ってな
芝居を行っている役者達を次々に発見する。

これまでも、前半部分の
シーン6ら12までの稽古は
何度か行ったけれど、「おやぁ?」ってほどの
違和感を感じなかったのだが、

今日の稽古では、
どうにかして修正してもらいたい箇所が、
やたら目についた。

なんだろう?みんな前回も今回も
全く同じ芝居をしているのに、
今回は各役者の所作やセリフの言い回し、
そして動き等がすごく気になる。

まぁーあれだね。
これまでは、芝居全体が
ちゃんと流れるのか?どうか?
という観点から芝居を見ていたから、
多少の違和感ある芝居も大目に(?)
見てきたけれど、

「細かくダメを出す」という段階に入ると、
これまで気にもしなかった
細かな所作やセリフの言い回しなど、
いちいち気になり始めたのだろうねぇ。

実は先日、とある場所で

「いい作品を創るためには
妥協をしてはいけない。」

っていう事を実感させられた
「ある現場」に立ち会わせて頂き、

その作品にかかわる全ての皆さんの
熱意にもすごく影響され、
いい刺激を頂いた私は、

「妥協しないで役者と向き合いながら、
細かい部分でのダメを出し続けよう」
って思ったってのもあり、

オーバーアクションで
セリフを言う癖のある人には、
本人が気抜けするほど抑えた言い方への
微妙な変更を求め、

コーヒーカップの渡し方、
飲み方の細かい指示を出し、

さらには別のシーン「喫茶店」での
たわいもない二人の会話の
やり取りへのダメを出しまくり・・・等々。

そのまま通り過ぎても
特に気にならないような箇所をも
摘まみ上げて、「あえて」
事細かにダメを出した。

派手な動きや抑揚をたっぷり付けた
セリフ回し等の芝居の方が、
やっている役者は「演じている感」があって
気持ちいいのかもしれないが、

そーゆう芝居って、
大抵は相手役とかみ合わなかったり、
浮きすぎてストーリーが分からなくなる
場合がありましてね・・・。

いえね、オーバーアクションが
ダメってわけじゃないのだが、
相手とかみ合わなかったり、
場面の意図と違った雰囲気でしゃべられると、
作者として
「いえいえ違いますけどねぇ」と
言いたくなるのです。

ただねぇ・・
こうした事細かなダメ出しって、
ややもすれば役者に反発心を芽生えさせ、
素直に受け入れてもらえない場合もあるので、
この手のダメを出す際は細心の注意を払い、
気を使いながら、説得力のあるダメ出しを
心掛けるようにはしている。

その成果が現れたのかどうなのか?
本番までまだ2か月以上あるけれど、
抜き稽古を終えて、
一か八か前半部分を通してみたら!

面白い!!

あっ!すみません・・・
作者が言うのも、
おこがましいとでもいいますか、
「謙虚さがないのかぁ!」
とお叱りと呆れのお言葉を
頂戴しそうなのですが、

だけどねぇ!
オープニングから各役者は
台本を外し始めていて、
登場する二人のセリフのやり取りが
とってもリズミカルで心地よく、
どんどんどんどん
二人の会話に惹きつけられる。

さすがに大勢が登場する
前半部分の最後のほうは、
ちょいと中だるみしてしまったけれど、
強引に通してみた前半の完成度の高さに驚き、
期待に胸膨らむ今日の稽古でした。


共有: