Page12 – 「3歩進んで4歩進む」

『団長の独り言』PDFファイル(A4サイズ)
↓ こちらからダウンロードできます。
団長の独り言 2021.12.19

12月19日(日)「3歩進んで4歩進む」

今回もチラシのイラストは、
K-OZAWAさん。

昭和50年代の
全盛期だった頃の「久美・美容室」が
絵の真ん中に描かれていて、
お店の横を市電が通り、
賑やかだった頃の商店街には、
道行く人や買い物客達の笑顔がいっぱい!

ドラマチックで
夢溢れるイラストが描かれていて、
K-OZAWAさんが丁寧に
脚本を読んで下さったというのが伺える。

その素敵なチラシが先日出来上がり、
いつものように我が家に届いた。

いつもならば、
東京ドーム10個分くらいの
広さのある我が平野家の玄関に
暫くの間、山積みで保管しているのだが、

今回はチラシの配布作業が
間近に迫っていたため、
配達されたその日に
全部のチラシを車に積み込んだので、
猫の額ほどの広さの玄関に積まれた・・・
もとい!
東京ドーム10個分くらいの広さの玄関に
積まれた段ボール箱をよけ、
身体をよじりながら部屋に入る苦労はない。

ただ、段ボール山積みの玄関から
部屋に入るというのは、
公演前のちょっとした恒例行事だっただけに、
寂しい気もするが、諸事情が重なり、
配布作業日に合せて効率よく
我が家にチラシが届いたので、
まぁーそれはそれでよい事だ。

その素敵なチラシ、
本日(12月19日)、出演者総出で
発送作業を行いましたので、
劇団にご住所をご登録していただいている
皆様には間もなく届くかと思います。

ご登録されていない方は、
劇団宛てにメールにてご連絡いただくか、
あるいは港区の公共施設等にて
配布いたしておりますので、
劇団ふぁんハウスの
チラシを見かけましたら、
是非ともお手に取って
御覧になってくださいね。

その「久美・美容室」の稽古だが、
苦戦に次ぐ苦戦は続いている。

まずは土曜日、問題の「幕開き」から
順を追ってやってみるが・・・

「テンポが悪い」、「覇気がない」、「面白くない」
というのは前回と変わらず。

予定では前半を通すつもりでいたけれど、
あまりにも酷くて見ていられないので
途中で芝居を止めて、幕開きシーンを演じる
役者達とのディスカッションを行う。

「心が重たいまま
無理して演じていた感じです」

「声を低くすることに気を取られすぎて
完全に芝居がおろそかになってしまった」

「色々な事を考えすぎて、
逆にどうしていいか分からない中で
演じていました」等など。

一人の役者がエネルギーのない芝居をする。
そのエネルギーのない芝居が
元気はつらつだった共演者にも伝染し、
どんどんエネルギーがなくなる。

そうなると、
お互いに足の引っ張り合いっこになって、
蟻地獄へと滑り落ちていく・・・。

それなのに、
蟻地獄に落ちた状態のまま
次のシーンに挑むものだから、
そのシーンから登場した役者も
蟻地獄に引っ張られていくのが分かるだけに
焦って無理やりテンションを上げようとするが、
そこにまた無理が生じ、
役者の独りよがりの芝居となって、
全体の歯車が?み合わなくなり、
「何をやっているのか?」
結果として、面白くもなんともない
芝居になってしまっていた。

では、何故にエネルギーのない
芝居になってしまうのか?

その役者は、
本来、とってもエネルギッシュな
芝居が出来るはず。

そのエネルギッシュさと、
持ち前のオーラを見込んで
この役を任せたわけなので、
エネルギーのない芝居が本来の姿じゃない!
という事は分かっている。

しかし何度となく同じシーンを演じるが
一向にテンションが上がらない。

そこで台本を持ち、キチンとセリフを
確認しながら演じてもらうと、
急にテンポが良くなり、芝居も堂々として来て、
本来の姿が戻ってきた。

すると!その芝居を受けた共演者達も、
命が吹き込まれたように活き活きとし始めた。

ここで自信を取り戻した役者達は、
すっかりエンジンが掛かり、
初っ端から物語の世界へと入っていく。

そのあとに続く
シーンも当然ながらノリノリで、
プラスのオーラに引っ張られ、
この日の稽古予定にはなかった
後半部分まで進む事が出来た。

気が付けば、
どの役者の手にも台本はなく、
セリフも動きも自分のモノとして
堂々と演じている。

どうしようもない芝居を
繰り広げているときは、
誰もかれも無意識のうちに
眉間にしわを寄せながら
演じていたけれど、

一旦ノリノリになると
表情も明るくなり、自然とテンポも良くなる。

この感覚でどんどん進めばいいけれど、
次回の稽古まで5日間空いてしまう。

折角感覚を掴んだのに、
振り出しに戻らなきゃいいが・・・。
「3歩進んで3歩下がる」ではなく、
「3歩進んで4歩進む」という
稽古をしたいものだね。


共有: