Page7 –「ライブショーを観た。」

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団長の独り言 2022.07.02

7月2日(土)「ライブショーを観た。」

梅雨明けして、突然「夏」がやってきたけれど、
気温は36度だの40度だので、
息をするのも苦しいほどの
高温多湿の中で過ごしているからなのか、
「いえぇ〜い夏だぜ〜」って気持ちにはならない。

そんな事を考えながら稽古場へ到着すると、
とってもいい雰囲気だ。

1か月前の最初の顔合わせの時は、
新メンバーが加わり
誰も彼も緊張していた様子だったけど、
今では和やかな雰囲気となっていて、
チームとしてひとつの作品に
向かう環境としては最高!

時間となったので、早速稽古開始。
まずはダンスの練習からと思ったのだが、
そもそも今回踊る「フーフーダンス」の
ビジョンが見えていないようだったので、
「フーフーダンス」をみんなに把握してもらうべく、
11年前に上演した

「劇団ふぁんハウス・
エンターテイメントライブショー」

の映像を全員で観る事にした。

「劇団ふぁんハウス・
エンターテイメントライブショー」
というのは芝居の公演ではなく、
劇団ふぁんハウスの歴史を振り返るトークや、
バイオリン、ギター、ピアノの生演奏による
歌と踊り、そしてコミカルなマジックや
寸劇等を盛り込んだ贅沢な内容の企画で、
ファンの皆様に楽しんでいただくという
趣旨で行った公演。

そのライブショーのオープニングが
「フーフーダンス」だったので、
何かの参考になれば!との想いで、
みなにビデオ映像を観て貰う。

まずショーの前説を行う詠美ちゃんと、
尾崎君演じる
「売田事内蔵(うれたことないぞう)」の
楽しい掛け合いから始まるのだが、
二人のやり取りがとにかく可笑しくて楽しくて、
稽古場のみんなは、いきなり引き込まれる。

そのあとに続く「フーフーダンス」では、
前説とは雰囲気が変わり、
照明が色とりどりでキレイでカッコよく、
素敵なダンサー達を照らし出す。

「ターンがカッコいいね。」
「なるほど!腕はそうかぁ〜」等、

稽古場のメンバー達は、
かなり参考になったようだったので、
「じゃーここまでね」と映像を止めると、
「えー!もっと見たい!」との声があがる。

そこで、「じゃー」って事で、
私とたけもっちゃん(竹本和弘)が
劇団ふぁんハウスの歴史を面白おかしく語る
「つねかず(恒雄と和弘)の部屋」
というのも観て、今、みんなが活躍する
「劇団ふぁんハウス」が
どんな歴史を歩んできたのか?
を知ってもらう。

「つねかずの部屋」は、
自分で言うのもなんなのだが、
私とたけもっちゃんのトークの
コンビネーションが絶妙で、
劇団ふぁんハウスが
大きく変わる変革期からの話や、
キャストチェンジで涙を流し、
それでも喰らい付いてきたメンバーの話等、
真剣さの中にも笑いを織り交ぜたトークの連続で、
現在のメンバーは時に笑い、時に真剣に、
私とたけもっちゃんのトークを
食い入る様に観ている。

私もそれこそ10数年ぶりに観たけれど、
二人のテンポある会話を聴きながら、
過去の色々な事を想い出し、
皆とはまた違った感情で
10数年前の自分を眺めていた。

そしてエンディング。
ステージに一人立つたけもっちゃん。
彼自身が、視覚に障害のある立場から感じた
「劇団ふぁんハウス」って劇団の事を、
本音で丁寧に語ってくれている。

その中で特に印象的な話は、

「劇団ふぁんハウスには
バリアフリーという言葉は存在しない。
それは劇団ふぁんハウスには、
はじめからバリアがないから」

というところ。

あと感動してしまったのが、
「平野恒雄がどんな男なのか?」
を紹介してくれる場面。

私がどんな思いで、
ふぁんハウスを引っ張ってきたかを
彼はちゃんと理解していて、
その事をアドリブトークで、
熱く語ってくれているのだが、
今、聴いていてもジーンとするような
素敵な事を言ってくれている。

そして、
そのトークの最後にたけもっちゃんは、
「それでは、団長・平野恒雄どうぞ!」
と言って袖にいる私に声を掛け、
私が登場するのだが、
彼の心温かいトークを聴いていた私は
すでに涙声。

マイクを受け取り、
ステージで一人になった私のトークでは、
「どうして劇団ふぁんハウスを立ち上げたのか?」
という話や、誹謗中傷を受けた話を交えつつ、
「よくぞ13年間劇団ふぁんハウスを
続けてこれたと思う」というような事を、
アマティーのピアノのBGMをバックに語り、

「これからも、諦めないで前向きに、
どこまで出来るか分からないけど、
(声を詰まらせる)劇団ふぁんハウスを
続けられたらいいなぁーと思います」

と振り絞るように言うと、
客席から割れんばかりの温かい拍手がきて、
私の歌へと続いていた。

あれから更に10数年が経った。
あの時の私はああは言ったものの、
まさかその10数年後も
劇団ふぁんハウスが継続しているとは、
正直想像も出来なかったと思う。

それは当時も続ける事の大変さを
身に染みて分かっていたから・・・。

実際、ライブショーの1か月後、
東日本大震災が起こり、
芝居なんてしている空気じゃなくなった・・・

そのあとも色々な困難にぶつかり、
メンバーも次から次へと変わり、
自暴自棄になった時もあった。

2年前には劇団創立以来初となる
「コロナによる公演中止」も経験した。

それでも劇団ふぁんハウスは、
設立当時からのスローガンである
「夢」「希望」「勇気」を忘れずに
「熱意」と「やる気」を持って活動を続けている。

個人的には、
色々とまだまだ辛い事だらけだけど、
私を信じて、
ガムシャラになっている多くの仲間達や、
劇団ふぁんハウスを応援して下さる関係者の皆様、

そして!!
劇団ふぁんハウスのお芝居を
楽しみにして下さる多くのお客様のために、
私はこれからも劇団ふぁんハウスを
本気で続けていく!

「どこまで出来るか分からない」
という気持ちは11年前と同じだけど、
いつの日か心から笑えるその日まで、
「大切に続けて行くからな!」と
ビデオの中の40代後半の平野恒雄に、
今年還暦の平野恒雄が、
語り掛けたのでありました。


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