Page4 –「扇風機と倉庫とダンスと稽古と・・・」

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団長の独り言 2022.08.27

8月27日(土)「扇風機と倉庫とダンスと稽古と・・・」

土曜日の朝、動かなくなった
扇風機を粗大ごみセンターへ持ち込む。

この扇風機、我が家にある
3台の扇風機の中で一番新しいもので、
3年くらい前に買ったものだけど、
突然動かなくなった。

扇風機って、
ちょっとやそっとの事では
壊れないって思っていたのに、
安かろう悪かろうだなぁ・・・
2千円くらいだったんじゃないかな?
今や扇風機も
2千円で買える時代だってのに驚くが、
ただ風を送るだけなんだから
なんだって一緒だと思い、
特に吟味するわけでもなく
なんとなく買ったのだが、
3年しか持たなかった・・・。

家にクーラーもあるけれど、
「クーラーは金持ちの人の家にしかない」
って、子供の頃はそう思っていたので、
死にそうなくらい暑い時以外は
クーラーは使わず、扇風機なんです・・・。

生まれ育った
大阪府枚方市香里団地には、
ずっとクーラーはなかったし、
(小高い丘の上の4階だったので、
北側と南側の窓を開けると
風が通って意外と涼しかった)

18歳で東京に出て来てからも
友人に扇風機を貰うまでの6、7年の間、
ずっと「うちわ」で凌いでいた。

しかし28歳の時かな?
長女の美岐が2月に生まれ、
その年の夏、汗疹が酷くて酷くて
可哀そうになり、一念発起!
四ッ葉荘の住人の中では、
大家さんともう一軒くらいしかクーラーの付いている
部屋のなかったアパートなのに、
人生初の「クーラー生活者」の仲間入りを果たす。

クーラーが取り付けられた日は、
ちょうど新宿コマ劇場「小林幸子公演」
の本番前日で、ゲネプロを終えて
劇場から帰って来ると、部屋にクーラーがあって!
もう嬉しくて嬉しくて!
あの涼しい感動は、今でも忘れられない。

ただそれでも、貧乏役者にとっては、
不釣り合いなクーラーだったので、
やはり主役は扇風機だった。

あれから日本の夏も気候変動が激しく、
年々異常なくらい暑い夏となり、
十数年前、今のマンションに越す際に
全部の部屋にエアコンなるものを付け、
リビングに関して言えば、
今年の6月に、最新型の超省エネと
謳っているエアコンに買い替えたんだけど、

それでも
「クーラーの付けっぱなしは身体によくない」
「電気代が怖い」という想いが
脳裏をよぎってしまう。

分かってますよ!
部屋の中でも「熱中症」で亡くなる方も
どんどん増えてきて、あちらこちらで
「我慢しないでエアコンをつけましょう」
ってニュースやなんかで頻繁に言っているのも。

それにエアコンの性能もあがり、
電気代もかなり安くなるモノが
出回ってきているのも。

分かってはいるけれど、「クーラーは贅沢品」って、
子供の頃に刷り込まれた意識がどこかにあるので、
なるべくクーラーには頼らないためにも、
今度は7千円も(!)出して、
すぐに壊れなさそうな「高級・扇風機」
を購入した。(風のあたり具合は、
2千円の扇風機とはまるで違う・・・
ような気がする・・・だけ。)

話を戻すけれど、粗大ごみセンターで
壊れた扇風機の引き渡しを終えると、
今度は劇団倉庫へと向かい、汗まみれになりながら、
稽古用の仮・テーブル等を車に積んで、
家に戻って美鶴さんと共に、
劇団ふぁんハウスで大活躍中の
萱場まり恵さんが出演する
ダンスパフォーマンス公演を観に両国へ。

早く着いたので、
近所で蕎麦を食べて劇場周辺を散策すると、
あちらこちらに
関東大震災や東京大空襲の爪痕が・・・。

今でこそ平和な街なんだけど、
どちらの災害時も両国一体は火の海で、
隅田川には大火災から逃れようとした
多くの人々が飛び込み・・・
凄まじい地獄絵だったというのは、
以前伺った東京都慰霊堂や
東京都復興記念館を見学した際、
じっくり勉強させていただいただけに、

今、目の前でゆったりと流れる
隅田川を眺めていると、
あらためて平和の尊さが身に染み入る。

ちなみに、
この日伺う劇場「シアターX」は、
その昔、国技館のあった場所だったそうで、
エントランスに沢山並ぶ自転車の下にある
不思議な大きなサークルは、
昔の土俵があった場所だという事を、
この日初めて知った。
(何度もシアターXに来ているのに、
全然知らなかった!)

まり恵さんのダンス公演は、
地球を相手に踊っているようなダンスで、
時に小さな家の模型を
出演者全員が腕に乗せ(三頭筋あたり)、
バランスを取りながらゆったり舞い、
小道具としてお茶碗が出て来たり、
座布団が出て来たり、
長さ1メートルほどの材木が出て来たりと、
なんとも不思議な群衆での舞の連続で、
呼吸をするのも忘れ、
ぐーっと吸い込まれながら、
「舞踏」といったほうがしっくり来る
素敵な公演を堪能させていただいた。

公演を観終えて、劇団メンバーと共に車で移動し、
時間があったのでデニーズでスイーツを食べ、
いざ稽古場へ。
(普段、まずスイーツなんて食べないけれど、
みんなが食べるので、私も食べた)

そして早速
倉庫から持ってきた仮・テーブル2個と、
小さな台を稽古場に並べると、
雰囲気がガラリと変わる。

部屋の雰囲気が変われば、
自ずと役者のやる気にも熱が入り、
テンポのいい芝居が続くので、
こちらとしてもさらなる演出が浮かんできて、
役者の特徴をより一層活かすべく、
新たな芝居をつけて実際に演じて貰うと、
すっごくおもろい芝居が現れ、
思わず声を上げて笑ってしまう箇所の連続!

稽古がこんなに楽しいって思える事は、
なかなかないのだが、
それだけ皆さんが芸達者で、
ダメのよく通る
頼もしい方々ばかりだって事だね。

こりゃー次回から始まる
2幕の稽古もかなり進化するのは間違いない。
どんな芝居が飛び出すのか?
益々楽しみな団長でありました。


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