Page27 –「劇場でお会いしましょう」

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団長の独り言 2023.02.19

2月19日(日)
「劇場でお会いしましょう」

先週の日曜日、
14時から音声ガイドの収録を行った。

音声ガイドというのは、
舞台の進行状態をFMラジオにて
お伝えするガイドシステム放送の事で、
主に目の見えないお客様が利用される。

例えば、舞台上で
恒雄が無言でグラスを眺めるとする・・・
見えているお客様ならば、
「恒雄がグラスをじっと眺めている」
のは分かるけれど、
見えていないお客様からすると、
恒雄が無言で芝居をしていると、
舞台上で何がおこったのか分からない。

そこで「グラスを見つめる恒雄」
というようなガイドを入れると、
理解していただける。

まぁーこんな感じで、
約2時間のお芝居にそうだなぁ・・・
100個以上のガイドを入れているのだ。

それ以外に舞台上の説明も上演前に流れる。
例えば舞台前方にテーブルとイスがあり、
舞台の右奥は一段高くなっている
畳敷の楽屋がある・・・等ね。

そのガイドのナレーションを担当しているのが、
テレビ局のアナウンサーで、
劇団ふぁんハウスネーム・ボイスエマノンさん。

エマノンさんとのお付き合いも、
もう24年になる。

劇団ふぁんハウス第2回公演の事が、
朝日、読売、毎日、サンケイ新聞に掲載されて、
それがきっかけで、私と当時の劇団メンバー1名が
テレビの情報番組に生出演した。

その時のメイン司会が
ボイス・エマノンさんだった。

その後、番組出演をきっかけに、
お互いに連絡を取り合うようになり、
ボイスさんと出会ってから
5年後くらいした頃かな?
劇団ふぁんハウスで
音声ガイドをやってみよう!
って事になり、ダメ元で
ガイドのナレーションをお願いしてみたら、
快く引き受けてくれて、以来20年近く、
ボイスさんはボランティアとして
劇団ふぁんハウスの音声ガイドを
担ってくれている。

そのボイスさんが
今回も稽古場にお越しになり、
素晴らしいガイドを収録して下さり、
収録後は、劇団メンバーとテーブルを囲んで
お茶会を行った。

ニュースを読んでいる時は
お堅い感じのボイスさんだけど、
関西人らしくいいノリのいいユーモアに、
みんなも大笑いしつつも、
プロのアナウンサーとは?
みたいなお話も伺う事も出来、
ボイスさんに刺激を受けたメンバー達は、
本日、ついに最終通し稽古の日を迎えた。

昨日は、照明会社・六工房の大塚さん、
舞台監督の高橋さんさん、
音声ガイドオペレーターの美鶴さんが
見守る中での通し稽古を行った。

前回の通しは散々だったので、
この日はどうかな?と
ちょっとドキドキしたけれど、
芝居そのものはテンポもよく、
いい感じでの通し稽古となる。

というか・・・この日の私は、
照明さんへお伝えするための
タイミングのチェックや、
音声ガイドが的確に入っているのかの
チェック等を行いながら、
完全スタッフ目線で芝居を観ていたので、
正直、役者の芝居は
そこまで細かくは観てはいなかった。

そのため、ダメ出しノートにも
役者へのダメはほんの2、3個。

通し稽古を観ていても、
みんな元気があっていいね!
って思えたので、
多分大丈夫なんだろうって思い安心し、
その日家に帰って録画していた
稽古風景のビデオをみると・・・

元気はいいし、テンポもいいけれど、
誰も彼も大声で叫んだような
芝居をしていて観ていて疲れてしまった。

稽古中、
「元気よく!覇気を出して!」
「エネルギーが感じられない!」

ってダメを連発していたので、
その事を意識し過ぎたがために
こんな事になっていたのだ。

そこで迎えた本日の最終通し稽古。
12時45分の入室時間と同時に、
平野カー超満載の荷物を
全員で稽古場に運び込み、
手分けして「通し稽古」の出来る準備を行う。

最初の頃は、準備にまごついていたのに、
いまでは早い事!早い事!

おかげ様で、通し開始時刻まで
多少の時間的猶予があったので、
昨日のビデオを観てのダメを出し、

舞台監督さんと
音声ガイドの美鶴さんが見守る中、
ちゃんとした広さを確保する中での
最後の通し稽古を行った。

昨日はスタッフ目線だったけれど、
今日は徹底的に観客目線で芝居を観ると、
とりあえずは申し分ないレベルで
終える事が出来た。

しかし、
ここまで出来たのならばって事で、
さらなる味付けがしたくなり、
1時間の休憩後は、徹底的に抜き稽古を行う。

連日の昼夜稽古で、
皆さんは相当疲れているはずなだろけれど、
「やるぞ!」って熱気が伝わってきたので、
この期に及んで?ってわけでもないが、
芝居の味付けのため、
大幅に動きや芝居を変えた役者もいれば、
大きな変化があるわけじゃないけれど、
人物の心情的な部分に対する繊細なダメを
出させてもらった役者もいた。

これは賭けだったけれど、
「混乱して芝居が壊れるかな?」
という心配をいい意味で裏切ってくれまして、
とーっても面白くて、
とーっても素敵な芝居が完成した。

あとは木曜日に最後の抜き稽古を行い、
いよいよ劇場へ向かいます。

25周年にふさわしいお芝居が完成しました。
皆様!ご期待くださいね。


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