Page5 –「楽しい稽古場に・・・」

『団長の独り言』PDFファイル(A4サイズ)
↓ こちらからダウンロードできます。
団長の独り言 2023.06.11

6月11日(日)
「楽しい稽古場に・・・」

昨日の土曜日は
仕事のため15分程度遅れたけれど、
急いで稽古場に駆けつけて、
そろっと稽古場の扉を開けると、
物語が始まって間もないところを
全メンバーが熱心に演じていた。

私演じる「中沢」の出番まで
間があったので、ホッと胸を撫で下ろし、
そろーりと演出席に座り、
目の前で展開される皆の芝居を
じっくりと観る。

新メンバーが加わった今回の座組の稽古は、
5月から開始して、昨日で11回目。
もう11回、まだ11回?

捉え方は色々ありますが、登場人物が追加になり、
「さゆり」のキャラクターも大きくかわり、
それらに合わせ、
当然ながら脚本も2月に上演した
赤坂公演とかなり変化しているので、
新作の稽古ってほどではないが、
「再演だから」という余裕は全然なくて、
日々の稽古は毎回真剣勝負。

これまでは「抜き稽古」といって、
演出である私が「あれ?」って思ったり、
「そうじゃなくて」って思ったりすると、
その都度芝居を止めてダメを出して、
「もう一度、やってみる」
って感じで何度も修正し、
芝居を固めるという稽古を行ってきた。

この時に、
役者がダメ出しを一発で理解して、
すぐに要望通りにやってくれれば、
すなり稽古は流れるのだが(ダメが通るという)、
なかなかそうもいかない場合が多い・・・。

何度やっても私が望んでいるものにならず、
しょうがないから実際に
私が演じて見せても出来ず・・・。

演出の要望通りの芝居をしていただけないと
本当に苦労する。(ダメが通らないという)

そんな時は
「こうして欲しい」の第一候補はひっこめて、
第二、第三候補の演出に切り替え、
手を変え品を変え、役者の個性と技量に見合ったものに
ダメの出し方を変更し、
どうにかして私の演出意図通りの芝居になるように、
何度も何度も繰り返し稽古を行う。

そんな「抜き稽古」なので、
当然ながら芝居はブツ切り状態。
本番時の緊張感とは程遠い中での稽古となる。

そこで前々回の稽古から、
前半、後半と分けてではあるが、
とりあえず「通し」稽古を行う。

通し稽古というのは、
演出がダメを出したくなろうが、
役者がとちろうが、
「本番だと思って」芝居を止めないで
演じ切る稽古なので、「抜き稽古」を行うより、
かなり集中した芝居が出来る。

昨日は前半をメインで、
今日は後半をメインとした「通し」を行った。

特にじっくり観させてもらうのは、
なんと言っても、新メンバーの
須藤あゆみちゃん演じる「さゆり」絡みと、
四枝美和ちゃん演じる「真子」の絡み。

これまでの抜き稽古では、
二人とも芝居に対してのセンスの良さを
如何なく発揮してくれて、ダメを出せば出すほど、
どんどん変化して面白くなっていったので、
「これ以上、新なるダメを出す箇所はないだろう」
「あとは細かい部分の調整と
全体のバランスを観ながらの稽古だな!」
って思いながら、
昨日、今日と前・後半の部分通し稽古を行えば、
通してみて初めて見えるものって結構出て来る。

もちろん、それは二人の芝居だけじゃなく、
全体的にそれぞれの役者に対しても、
ダメを出したくなる箇所がそこそこあった。

ただ、先程説明したように、
「通し」て芝居を行っているので、
気になる箇所、修正したい箇所があっても、
その場で芝居を止めることは出来ないから、
「ん?」「おっ!?」と私の感情が動いたら
メモに各自のダメを書き留め、
通し稽古が終わったところで、
「ダメ出しタイム」を設ける。

「ではダメ出ししまーす」

と言うと、全員が演出席に向かい、
セットのベンチや椅子等に腰掛け、ダメを聞く。

「えーっと、まず誰々さん」って言ったら、
言われた役者は「何言われんだ?」って緊張する。

それが分かるから、
私はなるべく厳しい口調にならないように、
和やかな雰囲気でのダメ出しを心掛けてはいる。

ただ・・・これが本番間近の稽古ともなると、
和やかな雰囲気なんて余裕もなくなってくる。

そんな中で前回のダメ出しをすっかり忘れ、
まぁーた同じことをしている役者がいたり、
「はぁ?」みたいなミスをしていたりする役者が
続出すると、段々イライラしてきて、
語彙を強めてしまう場合もある。
(昔より減ったらしい・・・)

それでも基本的に、
「楽しい稽古場であるべき」
ってのを心掛けてはいるが、
これから先、どんな稽古が待ち受けているのか?
まっ!集中して実りある稽古にしましょうね。


共有: