Page7 –「テンポ命!」

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団長の独り言 2023.06.24

6月24日(土)「テンポ命!」

劇団ふぁんハウスのお芝居は、
舞台に向かって右側(上手側)半分が、
15センチから45センチほど
高くなった舞台セットが多い。

それは私が脚本を描く際に、
そういう
舞台セットを想定して描いていて、
その構想を舞台美術さんに
お願いしているからなんだけどねぇ。

でもここ最近の新作では、ワンパターンの
舞台セットにならないようにしようって
心掛けてはいる。

ただほら、
今回のように再演の作品だと、
前作を踏襲してしまい、
上手が高い舞台セットにしてしまう。

お金のある劇団や団体ならば、
稽古の段階から平台という台や
箱馬という箱型の足で
仮設の台を創って
稽古をするものなんだけど、

劇団ふぁんハウスでは、
自前の平台や箱馬なんて持っていないし、
もちろん自前の稽古場もないので、
普段、稽古を行う際は、
農家の方が野菜を収穫した野菜等を
入れるために使うケース
(ビールケースくらいの大きさ)
数個を裏返にして、

「台の縁に腰掛ける芝居」では、
その箱の上に座り、
「台の奥に上がり込んで座る芝居」では、
箱を乗り越えて地べたに腰掛けるって
感じで稽古をしている。

ただ正直、
これだと本番通りの動きが出来ないので、
稽古中は皆の想像力で
「台があるつもり」って事にして、
各自がそれなりの動きで凌いでいる。

しかし、この日稽古を行った施設には、
大きさが卓球台ほどで、高さが45センチ程度の
折り畳み式の台が2台、備品として備わっておりまして、
その台が劇団ふぁんハウス的には、
上手側の「高い舞台」にピッタリなので、
こちらの施設での稽古の時は、
必ずこの2台の台をお借りして、
仮設舞台セットを組み、稽古を行っているのだ。

本来の用途は、
ホールのような広い部屋で何かのイベントを行う際、
ステージとして用いるための台なんだそうだが、
ホールで台を利用していないときは、
事前に申請をすれば、台をお借りする事が出来る。

毎回、
ここの施設でこの部屋を借りる事が出来れば、
最高の環境で稽古が出来るのだが、

こちらの部屋を利用する場合、
部屋の広さや音の問題等から、
2部屋ぶち抜きでお借りする事となり、
当然ながら二部屋分の利用料が発生するため、
毎回だと、予算的にかなり厳しくなる。

まぁーそれもさることながら、
2部屋分を昼夜ぶっ通しでお借りするには、
予約自体がなかなか難しのだが・・・。

まっ!それらの諸事情により、
ここの施設での稽古が行えるというのは、
めちゃめちゃ貴重。

そこで時間を有効に使い、
無駄のない稽古を行うべく、
テキパキと全員で仮設舞台を創り、
「ちゃんとした台」のある中で
まずは「通し稽古」を行った。

通し稽古というのは、
役者陣は全員本番どおりの衣裳を身に纏い、
本番通りに演じる稽古の事で、
どんなに芝居が崩れようが、
役者のセリフが出てこなくなろうが
本番だと思って芝居を止めずに、
きっちりと行う、
いわば最終調整的な稽古なので、
皆の気合の入り方はいつも以上。

「台」のある舞台セットで感触を確かめながら、
皆さんかなり活き活きと演じていた。

全体的には、一見ちゃんとした風の
通し稽古だったけれど、
細かくチェックしていくと、
ダメを出したくなる箇所がいくつもあった。

演出席に座る私は、「ダメな箇所」がある度に
ダメ出しノートに書き込み、
その中でも「再稽古が必要」箇所には、
赤色のペンで大きく丸印を付けて、
夜の部の稽古で、
「ダメな箇所」を徹底的に行うというのが
昼夜稽古になってからの
大まかなスケジュールなんだけど、

ただこの日の通し稽古では、
1幕のタイムが、
前回の赤坂公演の時のベストタイムよりも、
5分以上も長くかかってしまい、
細かなダメ出し以前の問題に頭を抱える。

2幕ならばシーンを追加したから、
前回の赤坂公演よりも
数分延びるのはある程度想定内だけど、
1幕は脚本上は全く変わっていないし、
役者のトチリ等で、
芝居が大きく止まったってわけでもない・・・

それなのに、
5分以上も芝居が延びるというのは、
それだけ役者の芝居が
間延びしまくっていたってこと。

演じている個々の役者は
間延びしているって自覚は意外となくて、
みんなが少しずつ余計な間を取っているがために、
芝居全体が延びてしまったのだ。

この間延びした芝居って、
演じている役者の誰も気が付かないと
次から次へと伝染してしまうもの。

ここで出番の多い役者達が
「全体的に間延びしている」って気が付き、
テンポを上げれば、
自然とテンポもいい感じに戻るのだが、

ちょっと慣れてきた通し稽古の時って
皆さんタップリやりたがるからねぇ〜。
その余計な「間」が、
結果としてダレた芝居になってしまっていた。

そこで1時間の休憩後の夜稽古では、
「何がなんでもテンポアップ」
って事に各自が重点を置き、1幕のみ通してみたら、
おおお〜!!!5分も縮まりましたよ。

テンポのいい芝居だと、
当然ながら、お芝居に引き込まれる。

逆にテンポの悪い芝居だと、
同じ役者で同じ脚本の芝居でも
眠くなってしまうんです。

残り僅かな稽古期間、
「テンポよく!」を最重要課題として、
本番では、最高の芝居をお届け出来るように、
本気で!
一生懸命、努力しましょうね。


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