Page12 –「さぁ!初日」

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団長の独り言 2023.07.15

「さぁ!初日」

朝、目を覚まし、
まず「あーあー」と声を出してみる。
起き掛けなのでちょっと変な声だけど
違和感はないので声は大丈夫。

次に立ち上がる。
身体のだるさもない。
よし!健康状態以上なし!

お水を飲んでお茶を飲んでバナナを食べて、
ごそごぞと身支度を済ませ、
そして親父を祭る仏壇に手を合わせ、
いつも以上に心を込めて般若心経を唱える。

そして駐車場へ。
梅雨明けしたと言っても
おかしくない「真夏」のまぶしい空。

平野カーに乗り込みスマホを操作して、
ブルートゥースに接続された
カーナビから流れてきたのは
ハウンドドッグのフォルティシモ。

劇団ふぁんハウス第1回公演の時に
初めて流してから43回目。

♪激しく、昂る、夢を眠らせるな!
溢れる想いを諦めはしない!!♪

何度聴いても、ここのフレーズでは
涙がこみ上げてくるんだよなぁ。

これまでの人生、つまずきそうになったり、
もうダメだ・・・って思った時は、
この歌詞を口ずさみ、
気合を入れて生きてきた。

今回の「人生芸夢」は、
その平野恒雄と劇団ふぁんハウスが
柱とする「夢」を真っすぐ見据えた作品。

おーし!やるぞ!という想いを乗せて、
平野カーは板橋区立文化会館近くの
公営駐車場へ到着。

ここからは徒歩で劇場に行くのだが、
朝食を摂る時間を取って家を出たので、
大山遊座商店街内のドトールとか、
珈琲館みたいなところで
モーニングセットでも食べようと
美鶴さんと共に
劇場方面へと歩みを進めていると、
「Noubutai」という
コーヒーショップを発見。

見るからに昭和の匂い満載の
ザ!喫茶店。

何度も何度も
この道は歩いて通っていたのに、
こんなお店があったとは!
入口にはボードに手書きで書かれた
「モーニングサービス530円」
の文字。

恐る恐る扉を開けると、
「常連さん達の憩いの場」
って雰囲気バリバリで、
常連さん達の視線が一斉に
私達に向けられた。

その中から店主らしき人が、
怪訝そうな顔でこちらに来たので、
私は思わず、

「だ、大丈夫ですか?」

と聴くと、
お客さんと認識していただいたようで、
「どうぞ!どうぞ!奥へ!」と、
いい感じの店主の方が案内してくれた
「予約席」と書かれた席に腰を下ろし、
あたりを見渡すと、
最近のコーヒーショップにはない
懐かしい雰囲気のレトロな店内。

モーニングサービスを注文し、
暫く待つと、珈琲、トースト、
ゆで卵が出て来た。

初日の劇場に入る前、
なんとも心穏やかになれる
とても雰囲気のいい喫茶店で、
朝食を済ませ、いざ劇場へ。

午前9時、全員おります!
みんな明るくて元気!元気!
舞台面に行けば、全スタッフさんも
すでにお越しになっていて、
皆さんにもご挨拶。

9時20分、
役者、スタッフ関係者一同が
ステージに集合し、
仮設の神棚に設置した
「明治神宮」のお札に全員が向かい、
劇団ふぁんハウス恒例の「成功祈願」を行う。

2礼2拍手1礼。そして祝詞。
全員で首を垂れて、願いはひとつ!
「成功しますように」。

その成功祈願を終えると、
すぐさま昨日の場当たりの続きから。

時間は限られているので、
基本的に場面転換を中心に行うのだが、
シーン15という場面の最後のところから。

ここは、5名のメインの役者達が
舞台上に正面を向いて並び、大声で

「夢に向かって!」
「夢に向かって!!」
「夢に向かって!!!」

と重ねるように叫ぶシーン。

このシーンで
照明の大塚さんに注文をしたのは、

「25年間、ずっとこだわってきた
『劇団ふぁんハウスの魂の叫び』を表現したい。
天から神様が降りてこられるくらいの
まばゆい明かりが舞台全体を包み込むほど、
強烈で刺激的で鳥肌がたつような
照明にしてください。」

と。

すると大塚さんやってくれました!
仕込んでいる全ての明かりをフル稼働し、
アンタリもガンガン炊いたステージ!
すごい!

全ての照明のラインが
アンタリのおかげではっきりと見え、
それが幻想的な雰囲気を作り上げ、
その中で役者が最高にかっこいい
ポーズで決めてくれる。

あとは立ち回りでの照明と効果音が、
どこまでど派手なエンターテイメントを
表現してもらえるか?

立ち回りのシーンは、
私演じる「中沢」が芯として動き回るので、
照明の状態を客観的に見せていただくために、
今回も舞台スタッフの舞ちゃんに
私の代役をしていただく。

ただ代役と言っても、立ち回りの代役なので、
誰でも彼でも出来るってものではないが、
舞ちゃんは前回の時にも素晴らしい
「立ち回り」を披露してくれたし、
なんと!舞ちゃんは、
とある道場で殺陣の教えを受け、
立ち回りにも磨きをかけ、
今回の場当たりでも、
私の代わりを見事にこなしてくれた。

おかげで、
立ち回りのシーンの照明も音響効果も、
客観的に客席から観る事が出来たので、
事細かく、役者の動きも含め
ダメを出させていただくと!
すごい!
こんなカッコいい照明の中で
立ち回りをさせていただくなんて。
身が引き締まる。

そしてエンディング。
客席の一番後ろから登場する歌姫の二人、
ピンスポが届かない場所でも、
ちゃんと明かりがあたる工夫がされていて、
ミラーボールがガンガン回るは、
ホリゾント幕には原色カラーの照明が
チカチカするわで私は大満足。

こうして場当たりを無事終えて、
残すはゲネプロ、
そして初日、
楽日へと向かうのでありました。


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