「『ゴドーを待ちながら』でワークショップ!」  福岡美佳

先日のふぁんハウスの稽古は、
劇団員以外の外部の方々も交えたワークショップでした。

発声練習でしっかりと声を出した後、
サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」の
1シーンを交代で演じました。

「ゴドーを待ちながら」は不条理演劇の代表作として有名で、
いつものふぁんハウスでは決して扱わない題材なのでとても新鮮でした。

ストーリーは、ウラディミールとエストラゴンという2人の浮浪者が
ゴドーという人物を待ち続け、
その間ひたすら他愛のない会話をしているというものです。

結局ゴドーは最後まで来ず、
ウラディミールとエストラゴンは自殺を試みて失敗するところで終わります。

ワークショップで演じたのは、
ゴドーの使いである少年とウラディミールとエストラゴンの3人が、
パッと見では意味不明な会話をしている場面でした。

最初はただ訳の分からないまま台本を読んでいるだけでしたが、
「『ゴドー』は『死』を暗示しているのではないか、
ウラディミールとエストラゴンは死を待ち侘びて
無為な時間を過ごしているのではないかという解釈もあります。
来ないゴドーを待ち続けて苛立っている気持ちを前面に出して演ってみましょう」
という団長の演出を受け、
「死を待っているのに死が訪れない。でも待ち続けることしかできない」
という焦りや苛立ちをぶつけて演じたところ、少しずつ形になり始めてきました。

そして最後に、ワークショップ会場にある
小さな舞台の上で照明も入れてグループ毎に演じました。
会話の内容は訳の分からないものなのに、
どのグループも無性に引き込まれるような出来栄えになっていて、
「これがお芝居を作っていく醍醐味なのかもしれない」
ということを感じることができました。

今回のワークショップで得た気付きを、
今月から始まる7月の「ふたりのゆめ~板橋公演」
の稽古に活かしたいと思っております。

劇団ふぁんハウスでは、
このような演劇ワークショップを不定期に開催しています。
演技経験は問いません。
このメルマガをご覧の皆様も、
次の機会にはぜひ参加してみて下さいね!


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