Page7 -「新しいシーン」

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団長の独り言 2021.11.14

11月14日(日)「新しいシーン」

前回号で描いた
クライマックスシーンだけど、
脚本を読めばよむほど、
ますます違和感が増すばかり。

そこで解決策として、
シーンをひとつ追加することにした。

詳しい事は描けないが、

「あーそういう事ね!」
「へぇー!」

ってなシーンを描くことにしたら、
筆(というかキーボード)が結構進む進む。

こういう時は、
無理なく物語の世界に入り込めるから、
脚本を描くのも苦労はしない。

ただここに、
舞台で演じるがゆえの制約が加わると、
途端にキーボードを叩く指が
止まってしまう。

「ダメだなぁ・・」ってつぶやく私。

舞台セットがどうとかこうとか、
座るモノは倉庫に眠っている
「アレ」を使うかなぁ?

何てことを考えながら
描いてはダメなんですねぇ。

感性の赴くまま小説を書くかの如く、
好き勝手に描くのが一番!

気を取り直して登場人物の気持ちに
寄り添いながら描いていくと、
あっという間に
1つのシーンが完成した。

いつも、こうスラスラと
描けたらいいんだけど、
そういうわけにもいかないから
脚本を描くってのは
辛いんですけどねぇ・・・。

でもね!一旦完成したら、
あとは舞台で演じるためには?
って事の調整をすればいいので、
そこはさほどの気苦労はない。

で、調整した結果、
完成したのがシーン22.5。

シーン22とシーン23の間に入るから
「シーン22.5」。

シーンをひとつずつずらせば、
22・5なんて中途半端な
シーンナンバーにしなくてもいいのだが、

製本した真新しい台本には、
シーンナンバーがちゃんと描かれているから、
追加した新しいシーンを「シーン23」として
入れ込むと、

そのあとに続く「本来のシーン23」が
「シーン24」に変更となり、
そのあとに続くシーンナンバーも
全てひとつずつずらした数字を
修正しながら余白に書き込む事となる。

まだ稽古が始まったばかりなのに、
いきなり後半のシーンナンバー
全てを変更ってのも、
なんとなく気乗りがしない。

そこで「シーン22.5」として、
シーン22とシーン23の間に
入れることにしたのだ。

ってな事で、「シーン22.5」が
新しく追加となったのだが、
さて!問題はここから!

この新しいシーンを挟み込む事によって、
本当に「あの違和感のある後半」が
いい感じになってくれるのか?

それを確かめるべく、
今回の稽古では、
まずはシーン22を
いつものように演じてもらい、
芝居を止めずに、そのまま新たに加わった
シーン22.5に突入すると、

どーなんだろうか?
いい感じって気がしないでもないけれど、
私自身、
役者としてこのシーンに出演しているから、
ちゃんとつながっているのか?どうなのか?
客観的に観る事が出来ないので、
正直、良く分からない。

他の役者達に
「どう?大丈夫?」と聞こうにも、
この次に来るシーン23では、
全員が登場している。

だからシーン22、追加となったシーン22.5、
さらにシーン23という3つのシーンを
客観的に観てくれる人は
誰ももいなくなってしまう。

うーん・・・と考えながら
稽古場を見回すと、
あっ!!そっか!アマティーがいた!

ピアノ演奏のアマティーは、
どのシーンでもピアノ演奏こそ
してはいるものの、
芝居が追加になった事による
変化を誰よりも客観的に観察出来る場所で、
全体を観てくれている。

そこで休憩時間に、
恐る恐るアマティーに尋ねてみた。

「新しいシーン入れてみて、
少しは違和感なくなったかな?」

すると・・・

「あのシーンが入った事によって、
すごく分かりやすくなりました」

と言ってくれたので、
ちょいとホッとする。

しかしその追加になったシーンも、
演じる役者達は、
まだまだ模索している最中なので、
「それだ!」って芝居は現れてこない。

そりゃーそうだよね。
追加のシーンって、
この日の稽古開始前に配ったばかりだから、
そりゃー演じる側は戸惑いますわね。

果たして感動的なクライマックスを
迎えることが出来るのか?

まだまだ試行錯誤がつづく
「久美・美容室」でありました。


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