Page11 – 「苦悩する団長」

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団長の独り言 2021.12.13

12月13日(月)「苦悩する団長」

今日(12月13日)は、美容室の日だって。

由来は、12月は美容室に
多くのお客様が訪れる月だそうで、
13日の「13」をくっつけると、
「Beauty」の頭文字「B」に
なることから、この日を
「美容室の日」としたらしい。

で!この日に美容界全体で社会貢献をしようと、
盲導犬育成のための募金を呼びかけるそうだ。

どちらも劇団ふぁんハウスに
かかわりのある事柄って言えば事柄。

「美容室」は、言わずと知れた今回の作品は
「久美・美容室物語」という
読んで字のごとく美容室の物語だし、

「盲導犬」は、劇団ふぁんハウス立ち上げの
きっかけとなった目の見えない人と
「本物の芝居を創る」って事に繋がっていて、
そう考えると、12月13日という日は、
なんとなくご縁を感じるなぁーと思う。

しかしだからと言って、
劇団ふぁんハウスにとって
何か特別の日って事でもないので、
一応話のネタ程度の話なんだけどね。

そんな話はさておいて、
先週の稽古は、土日両日共、
久々に物語の前半部分の稽古を行った。

前回、この前半部分を細かく稽古した時は、
かれこれ3週間ほど前にもなるけれど、
テンポが良くてエネルギーもあったし、
作者が言うのも何なのですが、
「久美・美容室物語」
って面白い!って思った。

先日まで稽古していた後半部分が、
苦戦に次ぐ苦戦の連続で、
頭を悩ませていただけに、
手応えを感じた前半部分が観られるってのは、
みんなが自信を取り戻す意味でも、
とても楽しみにこの日を迎え、
まぁーあの余裕とまではいかないけれど、
一観客になったつもりでリラックスして、
芝居をスタートさせると!?

「あれ?あれ?」

始めから雲行きが怪しい。

セリフに覇気がなくて、
前回見せてくれた明るさや、
楽しさ、ワクワク感も全く感じない。

ただ初っ端がそんな雰囲気でも、
エンジンが掛かれば、
きっと前回のようなノリノリの物語が
現れるだろうと我慢して観ていたが、
覇気のない芝居がドンドン連鎖して、
観ていても面白くもなんともない、
お芝居ごっこがひたすら続き、
挽回する事なく、前半部分は終了。

皆さん台本を離して、
うろ覚えのセリフを思い出し思い出し
演じているがために変な間が出来て、
なんとも覇気のない
「一体どうしたの?」っていうくらい
酷い芝居となってしまった。

そこで、
あえて厳しく各役者へダメを出し、
翌日曜日、期待と不安の中、
今一度前半部分を通してみると・・・。

セリフのトチリ、思い出すためのへんな間、
挙句の果てには、プロンプが入っても
まだ自分のセリフだと気づかない
役者もいるという・・・

前日よりもさらに酷い前半通しとなる。
(プロンプ・・・セリフを忘れた役者に
陰からこそっと教える事)

この散々な前半通し、
途中で止めたくなる衝動を抑えつつ
最後まで観たけれど、

「こんなに面白くないのは、
脚本が失敗だったか?」

とさえ思えてしまい、
私自身、どうしていいか分からなくなり、
完全にブラックホールにハマってしまう。

しかし、せめてオープニングだけでも
演出で修正しようと、
以前ここの場面をやった時は、
「これはいける!」
と手応えを感じた演出は辞めて、
無難でオーソドックスな演出にしてみたら、
さきほどに比べたら、
多少はましにはなったような気がするが、
そのあとに続く芝居はやはりダメ・・・。

以前、前半シーンを行った時は、
台本を持ちながらではあるが、
本当に本当に
「これはいける!」って思えるほど、
明るくて、エネルギーがあって、
テンポも良く、観ていても
幸せな気持ちになったのに、
どうしたんだろうか?

脚本が完成した際、辛口評論をする
色々な方々に読んでもらった時も、
「ここはこうしたほうがいい」
「ここが意味が通じない」
等々の意見はあったにせよ、
総合的には「面白い」「感動する」
と言ってもらえたし、

演じる皆さんが、
脚本を初めて読んだ時の感想でも、
かなり具体的にこの作品の良さ、
面白さを語ってくれただけに、
私は調子に乗っていたのかもしれない。

次回、もう一度チャレンジしてみて、
それでもダメならば、根本的なところから
手を付けざるを得ないかもしれない。
(例えば脚本の内容を大幅に変更するとか?)

いやはや・・・頭を悩ます、
創立24年目の劇団ふぁんハウス代表
平野恒雄でありました。


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