Page28 –「役作りの楽しさ」(ますだ ゆみ)

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団長の独り言 2022.04.10

「役作りの楽しさ」 (ますだゆみ)

皆様!はじめまして。
「団長のひとりごと〜特別編」今週の担当を
仰せつかりました、ますだゆみです。
どうぞ宜しくお願い致します!

さて、何を書こうかなぁと思いを巡らせましたが、
やはり先日の公演「久美・美容室物語」について、
私なりのアプローチの仕方をお話ししてみようと
思います。

今回のお芝居では
「桃子」と言う久美先生を長年支えてきた
ベテラン美容師の役をさせて頂きました。

はて?桃子とはどんな人物だろう?
台本を読んでまず浮かぶキーワードは、
美容師、ベテラン、生真面目、先生の右腕、
働き者で歳はそこそこだけど独身。 

ん?何かワケアリ?
通いで働いているけど、久美先生の家族とも
仲良く暮らしてる・・・等々、
台本に散りばめられたヒントを頼りに
想像を膨らませていきます。

桃子はいつもどんな服装をしているのかな?
髪型は?
やはり美容師ですから髪には拘りがあるはず。

好きな色は?
どんな部屋に住んでる?
何をしてる時が一番楽しい?
考え出すと止まらなくなります(笑)

同時に稽古場では

「美容室のスタッフは、
お揃いのエプロンにしたいよね?」
「じゃぁ、色は何色が良い?」
と言って、久美先生やゆりちゃん達と
衣裳を考えることもありました。

みんなそれぞれ意見を出し合って
「私はこんな性格だから衣裳はこんな色。
だからエプロンはこれが良いなぁ」
とか
「私は○○色系の衣裳にしたいから、
それに合わせた○○色のエプロンが良い」

とか、みんなも役について研究し、
それぞれ拘りがあるようです。

こんな風に共演者同士でディスカッションしつつ、
更に自分自身も想像を膨らませている時間は、
とても楽しいものです。

そして自分なりの衣裳が決まると、
次は着替えが間に合うか?を考えます。

次の出番まで長いシーンが
展開される時は余裕ですが、
短いシーンの場合は、
「秒」で着替えなくてはならない事が
あります。

いわゆる「早替え」ってやつです。
その為、衣裳に色々な細工を施します。

私が今回改良したのは、ブラウスのボタンです。

ボタンをハメるのって、結構手間取りますよね。
まして時間が無いとなると、
余計にアタフタします。

なので、時間のロスを減らす為、
まずはボタンを外して上側に付け替え、
ボタンボールを塞いで、
マジックテープをつけます。
これで完成!

見た目はボタンをはめているように見えて、
実はペタっと貼っているだけ。

この「マジックテープ」、
早替えには必需品なんです!

そんな衣裳の仕込みをしたり、
あらかじめ下に着込んだり、
逆に上から重ねて着てしまったりと、
創意工夫を重ね、何とか間に合わせてる
シーンがいくつかありました。

モチロン舞台に登場した時には、
焦りの心は微塵も感じさせず、
役になりきってお芝居をしなくてはなりません。
そのオンとオフの切り替えが結構大変です(笑)

そうそう今回は髪飾りも手作りしました。
手芸屋さんへ行き、思い描くデザインに
近付ける為の材料を物色するのも
楽しみのひとつです。

そんな風にお芝居のお稽古以外にも、
役作りの為の作業は沢山あります。 

そのひとつひとつの過程を経ることで、
自分の中に「桃子」という役を
浸透させて行きます。

今回の赤坂公演では、公開ゲネプロと
本公演と2回きりの本番でしたが、
悔いなく桃子を演じられるよう、
出来る限りのことはなんでもやろう!と、
臨んだ公演でした。

が、果たしてお客さまの目には
どう映ったのかな?

心配なところではありますが、
公演はとてもご好評を頂いたという事なので、
自分もその一翼を担えたかな?と思っています。

今は束の間の休息ですが、
新芽の季節。
想像と創造の芽もウズウズして来ました!

秋の公演でも、
お客様に夢と勇気と希望を
沢山お持ち帰り頂けるよう、
桃子もバージョンアップさせます!

まだまだ不安な日々ではありますが、
そのような中でも劇場に
足をお運びくださるお客様、
又、ご事情があり劇場へ来られなくても、
お心を寄せて下さるお客様、
本当にありがたく、
感謝の気持ちでいっぱいです。

そうしたお客様のご期待に添える舞台を目指し、
これからも更に精進して参ります!


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