Page30 –「美容室が舞台の物語」 (鈴木千秋)

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団長の独り言 2022.04.24

「美容室が舞台の物語」 (鈴木千秋)

脚本執筆中の団長・平野恒雄に代わり、
今週は鈴木千秋が『独り言』を担当いたします。

2月に上演した「久美・美容室物語」を終えて、
早くも2か月が過ぎました。

その間、劇団の稽古はお休みでしたが、
新年度の公演に向けて、
出演希望の方々にお会いしたり、
メンバーが出演する舞台を観たり、
映画を観たり、美術館へ行ったりしました。

「久美・美容室物語」は今年の秋に再演予定です。
詳しくは劇団HP、SNS等で発表されますので、
引き続きチェックをよろしくお願いいたします!

では、あらためて
初演「久美・美容室物語」を振り返ります。

前回公演「ざ・クリーンキーパー」の稽古場で、
にこにこした笑顔の団長から、
『新作は美容室が舞台の物語になります』
とお話しがありました。

「美容室」と聞いただけで、
なんだかワクワクする気持ちが
湧きあがりました。
私だけでなく、
その場にいたほとんどのメンバーの
心が弾んでいるようでした。

実際、その場で「出演したい!」と
積極的に挙手するメンバーも
多くいたほどです。

美容室には今でも通っていたり、
小さい頃の思い出があったり、
割と私たちの身近にある
場所なのかなぁと想像します。

これまでの平野作品では、
売れない役者、売れない演歌歌手、
クリーンキーパー、寂びれた温泉宿、
かつては賑わっていた巨大温泉ホテル、

といった人や場所を
舞台にしたものがありましたが、
美容室が舞台となるのは初めてです。

団長と美容室は、
あまりイメージが結びつきませんでしたし、
美容室が舞台の作品を描くというのも
意外でした。

意外性もあったからでしょうか、
「美容室」と聞いて驚きながらも、
一気に楽しみが増しました。

さて、この作品で
私は主人公・久美の娘で次女の
敦子を演じました。

敦子は元美容師で、
現在は旅行の派遣添乗員です。

美容専門学校を卒業後、
10年ほど美容師の修行をしましたが、
続けられず美容師を辞めて、
派遣添乗員として働いています。

その派遣添乗員も少しずつ経験を重ね、
10年目です。
接客業に向いている性格で、
物事にも臨機応変に対応できるので、
添乗員の仕事は合っていたようです。

ところで添乗員さんって、
どんなお仕事をするのでしょうか?

なんとなくイメージはできますが、
添乗員さんが同行する旅行に行った記憶は…
学生時代にまで遡ることになりそうです?!

そういえば学生時代、
旅行業界や添乗員さんに憧れたなぁ…。

私の記憶は当てにならないので、
添乗員さんが書いた本を読み、
インターネットで情報を集めました。

が、もっとリアルに知りたく、
添乗員さん同行の日帰りバスツアーに
行くことにしました。

ツアーを探してみると、
劇中に出てくるものと
ほぼ同じ季節・コースを巡るツアーが
あったので申し込みました。

旅行会社から届くリマインドメール、
ツアーでのリアル添乗員さんのトーク、
振る舞い等を見て研究し、
直接話しを聞いてきました。

体験したからこそ
気づけることもあったので、
実際に行ってみて良かったです。

あとから聞いた話しですが、
お客様や受付スタッフの方に、
旅行会社で働いていたり、
添乗の仕事をしていた方が
観劇されていたとのこと。

添乗員役について
変なところが無かったか、
その方々に恐る恐る聞いてみたところ、
問題なくちゃんと添乗員さんに見えたと
言っていただけたので、ほっとしました。

そしてもう一つ、
美容師さんについても色々と勉強しました。
なにせ実家が美容室で元美容師の役ですからね。

美容師さんについては、
いつも行っている美容室で、
行く度にお話しを聞きました。

偶々、担当の美容師さんと
敦子が同年代だったので、
美容学校時代、修行時代、大変だったこと、
先輩との関係、美容業界のこと、
その時代の流行等々、
敦子が美容師を目指して奮闘していた
その時代についても、
詳しく教えていただくことが
できました。

またその美容師さんには
小さいお子さんもいて、
スタッフルームから聞こえてくる
お子さんの笑い声や、
たまーに聞こえてくる妹の泣き声に、
姉・昌子と敦子も
こんな感じだったのかなぁ〜と想像して、
役作りの参考にさせていただきました。

色々と見て、
聞いて、感じて、体験したこと、
調べて得たものから想像の翼を広げ、
役に芝居に繋げられるよう、
稽古を重ねました。

再演の舞台では、
さらに良いお芝居をお届けできるよう、
これから先、どのような状況の変化が
あったとしても、その時のベストを
尽くせるよう、日々鍛錬してまいります。


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