「演劇集団LGBTI東京「親愛なる青き地球へ」観劇レポート」 福岡美佳

演劇集団LGBTI東京は、
2010年に旗揚げしたセクシャルマイノリティの劇団で、
「自分のセクシュアリティで演じる」ことをテーマとし、
劇団員の個性を最大限に活かした作品づくりを目指しています
(今回の公演にはストレートアライの方も参加していました)。

様々な個性を持った人達がお芝居に関わっているという意味で、
劇団ふぁんハウスの理念に通じるものがあると思い、
前々から気になっていた劇団でした。

今回、同劇団の3年ぶりの本公演「親愛なる青き地球へ」を観ることができました。
ストーリーは、荒廃した未来の地球を舞台にしています。
一旦火星に移り住んだ元・地球人達が「チキュウサイコウプロジェクト」の下、
地球を再興させて再び住もうとしていますが、
再興しかけた地球がある日突然異星人に荒らされます。
ところが、異星人達には全く悪気がなく、
しかも彼らは「地球に住みたい」と言い出します。
プロジェクト主は異星人を排除しようとします。
一方、地球再興の作業員である主人公は、異星人達との対話を通して、
彼らが実はプロジェクトから排除されたセクシャルマイノリティだったことを知り、守ろうとします。
主人公自身も、元同級生の同性に恋愛感情を持っており、自分も排除されるのではないかと怯えます。
そして、主人公の周囲の人達も、異分子を執拗に排除しようとするプロジェクト主に疑問を抱き始めます。
異星人達は、地球を荒らしてしまったお詫びに虹色の花を咲かせます。
戸惑いながらも、プロジェクト主達は最終的に「虹色の花」を異星人達から受け取り、物語は終わります。
「普通」からはみ出した人達と、「普通」に囚われた人達の両方を
温かく包み込んでくれるようなストーリーに、心が温かくなりました。

一見すると荒唐無稽なストーリーに思えましたが、
気付けば主人公にも異星人にも、そして、
異分子を執拗に排除していたプロジェクト主にさえも感情移入していました。
私は「普通」と外れているかもしれない、けれども一方で、
自分が決めた「普通」からはみ出た人を
無意識のうちに恐れて差別しているかもしれないと強く考えさせられました。
この劇団の姿勢と伸びしろに惹かれ、これからも応援したいと思いました。


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