Page3 –「映画・冬薔薇(ふゆそうび)」

『団長の独り言』PDFファイル(A4サイズ)
↓ こちらからダウンロードできます。
団長の独り言 2022.06.05

6月5日(日)「映画・冬薔薇(ふゆそうび)」

映画「冬薔薇」が公開された。
私の大好きな阪本順治監督の作品で、
主演は伊藤健太郎さん。

その映画に劇団ふぁんハウス公演で
過去に何度も主演を務めた
竹本和弘が出演している。

昨年の10月くらいかな?
映画制作会社の方から問い合わせを頂き、
何度かメール等でやり取りを行い、
その中で制作サイドの方からの
ご要望に添えるかも?と思われる
該当者として、竹本和弘(たけもっちゃん)と、
もう一人の元メンバーが思い浮かび、
彼らが芝居をしている様々な作品の動画を
1分程度の作品として編集したものを
お送りしたところ、竹本と会いたいという
連絡をいただき、都内某所で
監督さんと助監督さんとお会いして、

約1時間半位かな?
色々なお話をさせていただき、
竹本和弘の出演が決まる。
(言ってみれば履歴書が1次審査で、
ビデオ動画が2次審査、
そして監督との面談が3次審査かな?)

この都内某所での面談の中で、
とっても恐縮したのは、
監督は私と会う前に
「平野恒雄ってどんなやっちゃ?」ってのを
ちゃんと把握しておくためだと思うけれど、
毎週私が描いている「団長の独り言」を、
かなり読み込まれていて、
それを会話の中でさらりと、
「平野さんも団長の独り言で、
役者との接し方について描かれていたけど、
私もね、そうそう!って思って
読んでいたんですよ」等、
団長の独り言の感想を、
さりげなくおっしゃられたのには驚いた!

あの!あの!天下の阪本監督が、
私ごときの文章に共感してくださるって事も
さることながら、
そもそも「団長の独り言を読もう!」
って思って下さった事自体、
とてもありがたい話で、
すっかり阪本監督に心が奪われてしまう。

その監督の気配りは、
撮影現場でもすっごく感じた。

キャメラを移動するためのレールを
敷いている間の待ち時間に
私と竹本の傍に来て、
よもやま話をして下さり、
また、映画つくりの苦労話も
聴かせて下さる等、
さりげなく、竹本の緊張を
ほぐして下さってきた。

若いころ、私は何本もの映画や
テレビドラマに出演したけれど、
監督というものは、とぉーくのほうにいる方って
イメージがあって、なかなか気軽に
声を掛けることって出来なかったけれど、
阪本監督は、とっても
近くにいらっしゃる監督だった。

そうそう、この作品では
とても懐かしい方との再会もあった。

かれこれ30数年前かな?
私が初めてテレビドラマでちゃんとした役を
いただいた時の番組で、アクションを付けて下さり、
また違うシリーズでは、「粗暴犯」役として、
共演もさせていただいたことのある
殺陣師の二家本さんが、
この映画でのアクションを担当されていて、
なんと!竹本のアクションシーンを
付けて下さったのだ。

二家本さんは昔と全くお変わりなく、
「いかにもオーラ!」
を出されていて、
もう嬉しくて嬉しくて、
現場では、懐かしいお話を
随分させていただいた。

さて、その竹本の出番だが、
ワンシーンではあるけれど、
とてもインパクトのある登場で、
主演の伊藤君とかなりのやり取りがあり、
結構重要な役どころ。

伊藤君の迫力あるすごい芝居に、
たけもっちゃんは飲まれる事なく、
堂々と!いやほんまに!
10数年間芝居から遠ざかっていた
ブランクを全く感じさせない芝居で、
伊藤君と対等に芝居をしていて、
なんだか私は誇らしかった。

劇団ふぁんハウス出身の
目の見えない役者の竹本和弘が、
映画初出演にもかかわらず、
物おじせず、セリフも表情もバッチリで、
いい芝居をしている。

竹本の出番全てが終わると、

「竹本和弘さん、オールアップです!
お疲れ様でしたぁ」

って言われ、皆さんから拍手を頂戴し、
監督から花束をいただく竹本を眺めながら、

これって、24年前に
劇団ふぁんハウスを設立した時から
ずーっと望んでいた姿だったのかもしれないって、
フッと思った。

目が見えなくても
「熱意とやる気さえあれば本物の芝居が出来る!」
を竹本和弘は、現実のモノにしてくれたのだ。

初号試写でたけもっちゃんの芝居を
大きなスクリーンで拝見し、
エンディングロールで「竹本和弘」と
「劇団ふぁんハウス」って文字を観た時は、
ちょっとね涙が出てきたなぁー。

とにかく、すごい映画です!「冬薔薇(ふゆそうび)」。
泥臭く、激しく、そして切ない物語を、
個性豊かで素晴らしい役者さん達が
これでもかぁ!ってくらい演じています。

このような素晴らしい役者さんの中に
竹本も加えていただき、感謝しかありません。

素敵な機会を下さった阪本監督をはじめとする
「冬薔薇」のスタッフの皆様、
現場でお世話になりました伊藤健太郎様、
本当に本当にありがとうございました。

あああ!また劇団ふぁんハウスの
稽古の様子を描くスペースがぁ!!!

今週から土日連続稽古となり、
土曜日は徹底的に読み合わせを、
そして本日の日曜日は出演者全員で、
「殺陣」の稽古を中心に行ったのですよ。

皆さんに殺陣の基礎の「き」から
レクチャーしていくのだが、
なにせ殺陣の経験のあるメンバーは
一人もいないので、
「本物」への道はまだまだ険しいけれど、
必ず「本物」の立ち回りにいきつくよう、
みなで汗を流しました。

詳しくは「写真館」を御覧いただくか、
または次回号でね!


共有: