Page13 –「初日」

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団長の独り言 2022.10.21

10月20日(木)「初日」

朝から最高にいい天気!
劇団ふぁんハウス公演って天候に恵まれている。
24年間、初日に雨が降ったって記憶はない。
(たまにあったかもしれないが・・・)

「天高く馬肥ゆる秋」って言葉が
つい口から出るくらいの澄んだ青空の下、
劇場に向かう平野カーから流れる曲は、
ハウンドドッグのフォルティシモ。

♪「激しく たかぶる 夢を眠らせるな
あふれる思いを あきらめはしない」♪

このフレーズを聞くと、
今でも涙が込み上げてくる。

劇団ふぁんハウスを続けられるのも、
私の中でこの想いがしっかりあるから。

午前9時、劇場入り。
全メンバー全員おります!
当たり前の事だけど、これが一番大事。
一息ついたところで役者も全スタッフも
全員舞台上に集合し、恒例行事である
「成功祈願」から。

明治神宮の神様を舞台上に設置して、
二礼二拍手一礼。
アマティアズの祝詞に続き首を垂れ、
各自が無事に成功させていただけることをお祈りし、
気持ちを一つにしたところで、
昨日の「場当たり」の続き、芝居の後半から開始。

基本的にサクサク進んではいるけれど、
場面転換絡みでの
照明フェードインのタイミングや、
色合いの微妙な修正、あと音響さんの
効果音と役者のセリフのバランス微調整等、
ちょこちょこあって意外と時間がかかるが、
それもこれも妥協しない芝居を創るため。

こうして、
じっくり時間を掛けて行った場当たりを終え、
約1時間ほどの休憩を挟んで
ゲネプロ(リハーサル)を開始。

ゲネプロというのは、
本番と全く同じ状態で芝居を行う
完全リハーサルの事。

役者もスタッフも
本番と全く同じ状態で芝居を行い、
ゲネで最終確認を行う。

心配していた衣裳の早替えや、
舞台転換も計算通り、
キチンとこなす事が出来て、
肝心の芝居も、皆さんとても落ち着いていて、
追加したシーンも無駄な動きはない。

・・・とは言えども、
演出の立場から気になった芝居や
各スタッフさんへ要望を最終ミーティングで出し、
約1時間半の休憩ののち、
開演5分前に全員が緞帳幕の内側に集まる。

みんな、程よい緊張感を漂わせているが、
これまで稽古して来た仲間達を信じるいい笑顔。

恒例の円陣を組み、
「行くぞ〜お〜」の掛け声と共に
各自ポジションに分かれ、
いよいよ初日の幕があがる。

まずは桃子役のゆみさん(ますだゆみ)、
うん!稽古通りの落ち着いた芝居だ。

その後に登場するみっちゃん(鈴木美千代)も、
私がずっとダメを出し続けた貫禄ある「久美」を
ちゃんと演じ、堂々と振舞っていて、
続く他の役者達も、
みんな頼もしいくらい落ち着いて、
なんだかカッコいい。

なんだろうなぁ?
「こんなすごい人達と一緒の舞台に、
俺も2幕から入れるんだぁ〜わー楽しみ!」

って、そんな感覚になってしまうほど、
皆さんホントに堂々として凄くて、
私もそんな皆さんに負けないように
集中して「啓介」を演じた。

その後も、最後の最後まで
皆さんの最高の芝居が続き、
いよいよエンディング。
出演者一同が正面を向いて、
まばゆい明かりの中で未来を見据えると、
客席から盛大な拍手が鳴り響き、
感動に劇場全体が包まれる中、
ゆっくり舞台は暗くなり、
初日は無事、幕を降ろした。

終演後、コロナ禍で暫く中止していた
お客様へのお見送りも
今回から解禁となったので、
公演を終えてロビーへと向かえば、
どのお客様も最高の笑顔で、
とても感動したと言って下さり、
無事成功した事を実感する。

10月21日(金)

午前10時劇場入り。
舞台に全員集合し、
まずはみっちゃん演じる「久美」が、
私演じる「啓介」と病室で話をする
回想シーンの稽古から。

このシーン、昨日のゲネを終えて、
どうもしっくりいかなくて、
本番直前に急きょ紗幕を下ろすって事に
変更したのだが、まさにぶっつけ本番で
昨日の本番に挑み、
なんとか上手くいったけれど、
不安要素満載なので、
動きの変更があったみっちゃんが、
もう一度確認をしたいとの事だったので、
そこの部分の確認作業や、紗幕に浮かび上がる
「20年前」「10年前」の文字の位置を、
もう少し下げる作業等も行い、

あと各自が再確認しておきたいシーンも
あったので、それら全てのシーンを通し、
約2時間かけてのウォーミングアップを終え、

1時間の休憩後、
ファンの皆様やお世話になった方々へお送りする
「全員写真」の撮影を行う。

この撮影、全員が結婚式に参列する時の
衣裳での撮影とした。
本編では私演じる「啓介」と、
ゆみさん演じる「桃子」は結婚するのだが、
実は私、結婚式に向かう「桃子」と「久美」の
感動的なシーンでは衣裳の早替え等があり、
「桃子」の花嫁衣裳姿をじっくり拝見した事がなく、
当然ながら花嫁と同じ空間で芝居も出来なかったので、
そこがなんとなく心残りであったのだが、
今回、皆さんの粋な計らいで、
正装した出演者全員が並び、
まるで本当の結婚式のような
素敵な記念写真を撮らせていただく事が出来た。

こうして、なんとも楽しく、
リラックスしたひと時を経ていると、
お客様のご入場の時間となったので、
全員楽屋に戻り、思い思いの時を過ごし、

開演5分前、緞帳幕中で円陣を組んで
小さな掛け声で各自ポジションに着き、
千秋楽の幕があいた。

役者はいつもの通りに演じている
つもりなんだろうけれど、
「これが最後」という想いからなのか、
いつも以上に感情が入っている気がする。

袖で観ている私も、その都度グッと来るものがあり、
そのまま感動のクライマックスを経て、
希望に満ち溢れたエンディングへと向かうと、
お客様から温かい手拍子が沸き起こり、
笑顔と涙と感動と大きな拍手の渦巻く中、
「久美・美容室物語」は無事幕を下ろすことが
出来たのでした。

いやぁー今回は平日のみの公演で、
しかも冬に行った公演からかなり日数も空いての
「久美・美容室物語」だったし、
それに、次回公演「人生芸夢」の稽古を間に挟んだし、
どうなることやら・・・って思った事もあったけれど、
劇団ふぁんハウスは、伊達に24年間も
活動を続けちゃーいない。

関係者一同の「熱意」と「やる気」が
なんとかする力を生み、今回もこうして
大成功を収めることが出来ました。

そんな中、
特に今回ご負担をお掛けしたのが
受付スタッフの皆様。

なにせ「平日のみ」の開催のため、
普段ならば、数十名以上の方がお越し下さる
ボランティアスタッフの皆様が
今回は全く集まらずかなり頭を抱えたのだが、

約10年ほど前から
劇団ふぁんハウスの受付業務を担って下さる
望月さんが全体を取り仕切って下さり、
また少数ではありますが、
お集りいただいた受付スタッフの皆様が
臨機応変の連続で大活躍して下さり、
大きな問題も起こらず、
無事、公演を終える事が出来たのです。

今回も、会場に足をお運びくださった大勢のお客様!
また会場には来られずとも、劇団ふぁんハウスを支え、
いつもいつも応援して下さる多くの皆様!
本当に、本当にありがとうございました。

劇団ふぁんハウスは、これからも
「夢」「希望」「勇気」をお届けできる
作品を創り続けて参ります。

負けません!
どんな事があっても負けません!

劇団ふぁんハウスらしく、
明るく心温かくなっていただけるような
お芝居をご提供すべく、
活動を続けて参りますので、
これからも劇団ふぁんハウスを末永く、
よろしくお願い申し上げます。

次回は2月25日(土)、26日(日)
赤坂区民センターにて、
「人生芸夢〜夢のとおり道〜」を
20年ぶりに上演致します。

ご期待下さいね。
ありがとうございました。

劇団ふぁんハウス代表 平野恒雄


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